【聖地メッカ】イスラム教徒を怒らせた、日本人の無神経な一言

 

来月に行われる東京オリンピックで、受け入れる観光客は1万人を上限とすることが発表された。
コロナ禍での入場制限は仕方ない。

その事情は聖なる空間、イスラム教の聖地も同じだった。

日テレニュース24(2021年6月13日)

”メッカ大巡礼”今年も国外から受け入れず

まえにインドネシア人のイスラム教徒と伊勢神宮に行った時、日本人にとっての伊勢神宮のようなところは、インドネシア人だとどこになるか聞くと彼は「メッカですね」と言う。
メッカって、それはサウジアラビアにあってインドネシアからしたら外国じゃん。
でもイスラム教徒としては一生に一度は行きたい場所だから、自分にとってはメッカが最高の聖地になると言う。

同じように考えるイスラム教徒は世界中にいて、「いつかはメッカへ」を夢見るムスリムは何億といると思うのだが、サウジアラビア政府から残念なお知らせがあって、外国人の大巡礼(ハッジ)の受け入れは中止するという。
メッカは押し寄せる信者で、地面が見えなくなるほどの超ウルトラ密の状態になるからこの判断は当然。
無制限に受け入れたら、空前絶後のクラスターが発生するかも。

 

画像はAl Jazeera English

 

イスラム教徒にとっては最高の聖地がメッカ。
日本で「メッカ」は重要な場所や多くの人が集まるところ、またはその様子を表すことばとして使われることがある。
これで日本に住んでいた前述のインドネシア人が怒った。
「秋葉原はオタクのメッカ」という文をどこかで聞いたかネットで見て驚き、「あの表現は本当に失礼ですよ!」と言う。

「高校球児のメッカ、甲子園」という言い方には、イスラム教に対する悪意や蔑視はまったくないけれど、ムスリムが聞いたらきっとひっかかる。
なかには「~は仏教のメッカ」という、いろいろとムゴイ事例もあった。

以前、生放送のテレビ番組で「渋滞のメッカ、六本木」と言ってしまい、あとから不適切だったとテレビ局が謝罪した。
アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』で登場人物のキョンがある公園を「ここは変わり者のメッカなのか?」と表現して、あとで「番組内で不適切な表現がありました」と謝罪したという。

いまの日本で「~のメッカ」は放送禁止用語なのか?

そこまで強いタブーではないが、やっぱりメッカを比喩として用いることはもうないようだ。

現在の日本のテレビ放送では「 – のメッカ」は、宗教や宗教用語について配慮し、表現の自主規制のため使用されない。

メッカ 

 

インドネシア人がどこで知ったか分からないけど、「秋葉原はオタクのメッカ」は無知か無神経かその両方だ。
アニメに出てきた場所をめぐる「聖地巡礼」という日本人らしいことばを「不適切だ!」という声をネットで見たことある。
でも、これはさすがに敏感肌すぎる。「ハッジ」という固有名詞ならマズいけれど。
国際化のいま宗教に関することばは地雷だから、悪意がなくてもウッカリ触れると「不適切な表現でした」と頭を下げないといけなくなるから要注意。

 

 

こちらもどうですか?

イスラム教とは①モスク(マスジッド、ジャーミィ)ってどんなとこ?

イスラム教徒に聞く、日本のお寺とモスクの違い:立地条件

イスラム教とは?簡単な説明 神(アラー)・ムハンマド・聖書など

聖徳太子とムハンマド・仏教とイスラム教の「共通点」

うざい国には、ワケがある!?バクシーシの意味・ザカートとは?

イスラム教徒の日本社会への不満とは?浜松市での外国人との共生

 

1 個のコメント

  • > 「秋葉原はオタクのメッカ」という文をどこかで聞いたかネットで見て驚き、「あの表現は本当に失礼ですよ!」と言う。

    ふーん、その主張は私も理解できます。でもイスラム教徒達が主張する「火葬は死者に対する冒涜」と言う一方的な見解も、日本人の伝統と宗教観を侮辱する言葉であると思いますけどね。
    海外へやってきて、自分たちの宗教上の行いを自分たちの間で頑なに守るだけなら、まあ、構いません。こちらが見ていて不愉快に思うこと、不愉快な発言も多いですけどね。それはギリギリ許容範囲。
    しかし、その行いを日本人にまで強制しようと主張するなら、反対です。嫌なら自国へ帰りなさい。ここは我々の国だ。
    世界の宗教の中でもイスラム教徒は、そのような「他の宗教に対する許容度がきわめて低い」ことからも、世界中で嫌われている原因になっている。その考え方は、特に「宗教の多様性に寛容」という日本人の価値観には合わないのですよ。そういう重要な考え方も勉強することですね。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。