日本のアニメが大好きで、それにほれ込んで日本語学習をはじめたような中国人とネットでチャットをしていたとき、最近よく見るアニメで向こうが『輝夜様は告らせたい』と打ってきた。
*中国語のタイトルは『辉夜大小姐想让我告白』。
「輝夜」というとクラブやスナックとか夜のお店が思い浮かんでしまうけど、「かぐや」を中国語で書くとこうなるらしい。
向こうは向こうで、「“かぐや”は平仮名なんですか!」と驚く。
調べてみると「かぐや」は「光りかがやく(ような美しい)姫」という意味で、「光明美は古代における美の理想であった」(日本大百科全書)とのこと。
かぐや姫のモデルは『古事記』にでてくる「迦具夜比売命(かぐやひめのみこと)」という説もあるから、光と夜の意味のある「輝夜」はなかなか良い訳語。
『野ブタ。をプロデュース』 が中国では『野猪大改造』になっていて「なぜイノシシ?」と思ったら、日本語の豚は中国語だと猪になるから、そのまま翻訳したと自然とこうなるという。
漢字は、このまえ記事で書いた紂王や妲己のいた殷(いん)の時代に、卜(ぼく:占い)の結果を亀の甲羅や動物の骨に書き込んだ甲骨文字からスタートした。
約3500年の歴史をもつこの文字はabcのアルファベットと違って意味があるから(表意文字)、漢字を見ると絵のようなイメージがわいてくる。
だから同じ「シュウキュウ」でも、蹴球・週休・週給の漢字を見ればどのシュウキュウのことか一目瞭然。
でもそのせいで急いでいると、「敗者復活」を「歯医者復活」と書いてしまう危険性もアリ。
さて話は五輪だ。
オリンピックを中国語で「奥林匹克」と書くのは「愛因思坦(アインシュタイン)」と同じで音に漢字を当てただけけで、カタカナ表記と同じく意味はない。
漢字の意味に引きずられると、かえってわかりにくいのだが。
こういう言葉とは違い、今回の東京五輪の期間中、中国人がネットでバタフライを「蝶泳」、背泳ぎを「仰泳」と書いているのを見たときは「なるほど!」と思った。
「卓球」の中国語が面白くて「乒乓球」になる。
卓球台で互いに向かい合った状態で、球が左右に飛ぶことからこんな漢字になったという話を聞いたことがある。でも、いまネットで探してみたけど特にそんな説明は見つからず。
中国人が「卓球」という漢字を見ると、ビリヤードを思い浮かべるかもしれないとか。
ちなみに卓球のスマッシュは「強打」、バックハンドのスマッシュは「抜刀」となるらしい。
ほかの五輪競技の中国語を見てみると、柔道・空手・体操は日本語と同じだから楽勝。
游泳(水泳)・羽毛球(バドミントン)・棒球(野球)・手球(ハンドボール)・滑板(スケートボード)は見たら納得。
高尔夫球(ゴルフ)・田径赛(陸上競技)・自行车竞赛(自転車競技)・摔交(レスリング)は誰が知るかと。
サーフィンを表す中国語の「冲浪」を見ると、日本人としては葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」を連想するしかない。
中国語の「沖」には「突進する、突き破る」という意味があるから、「冲浪(サーフィン)」は「波に向かって進む」ということと思われ。
バレーボールを意味する中国語「排球」は、マンガ『ハイキュー!!』 の由来となった。
日本人なら『輝夜様は告らせたい』を見たら「アレね」とすぐにピンとくるけど、中国人は『ハイキュー!!』を見て排球とわかるのだろうか。
これは日本語発音だからむずかしいかも。
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>「卓球」の中国語が面白くて「乒乓球」になる。
> 卓球台で互いに向かい合った状態で、球が左右に飛ぶことからこんな漢字になったという話を聞いたことがある。
その説明の他に、「ピンポン」という音を写したので「乒乓」という文字を使うと聞いたことが、あったように思います。
台湾語では日本語と同じ「卓球」ですよね。ただし繁体字の「卓」はちょっと違う文字だったかな?
> 中国人が「卓球」という漢字を見ると、ビリヤードを思い浮かべるかもしれないとか。
ビリヤードは、中国語では「台球」ですね。でも確かに「卓球」の方がもっともらしく聞こえます。
日本語だったら「撞球(どうきゅう)」または「球撞き」。常用漢字じゃないので今では使いませんが。