10月の後半になって本格的な秋に入ると、江戸時代の俳句神・松尾芭蕉のこの句が思い浮かぶ。
「秋深き 隣は何を する人ぞ」
秋の夜長、隣の人は何をしているのだろうか。
芭蕉はそんな句を詠んでから、2週間後に亡くなったという。
そういう不吉なことは置いといて、韓国は隣国同士の関係に興味津々らしい。
中央日報の記事(2021.10.21)
日本人90%「中国嫌い」…コロナ渦で日中の国民感情が歴代最悪に
近ごろ発表された日本・中国の世論調査の結果、お互いの印象が悪化していることはもはや否定できなくなった。
日本に「良くない」印象をもつ中国人は66.1%(前年比13.2ポイント増)
「良い」は32.0%(同13.2ポイント減)
日本だって負けてられない、こんな惨状だ。
中国に「良くない」印象を持つ日本人は90.9%(同1.2ポイント増)
「良い」は9.0%(同1.0ポイント減)
中国人が日本に悪印象を持つ理由の上位2つはコレ。
「中国を侵略した歴史を謝罪し反省していない」(77.5%)
「日本が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化し、対立を引き起こした」(58.7%)
で、日本ではこんな感じだ。
「尖閣諸島周辺の日本領海、領空の侵犯」(58.7%)
「中国の行動が強引で違和感を覚える」(49.2%)
日中のお互いを見る目は確実に冷めている。
日本のネット民の反応を見ると、差別語・侮辱語がなくて、グーグルからペナルティーをくらいそうにない穏やかなコメントを抜き出すとこんなモノがあった。
・良いわけねーだろwwwwwww
・残りの1割は何者よ
・中国はそこまでかな。
領土侵犯やめてくれたらねぇ。
・日本に観光に来てた中国人が感じ悪すぎたからイメージは良く無い
・色々ともう諦めろよ。
ちなみに最近発表された日韓のアンケート調査の結果では、日本に悪印象を持つ韓国人は63.2%(昨年71.6%)、好印象は20.5%(同12.3%)と全体的に日本の印象は良くなっている。
一方、韓国に悪印象を持つ日本人は48.8%(同46.3%)、 好印象は昨年25.4%(25.9%)で全体としてはやや悪化している。
総じて日韓より、日中の冷え込みのほうが深刻ということが分かる。
特に中国に悪印象を持つ日本人が90%を超えたというのはなかなかの衝撃。
日中で互いに悪印象が増加している原因には、コロナ禍のため旅行ができず、相手国と直接触れ合う機会が減ったことが指摘されている。
でも二次元の世界なら、日本と中国はわりと蜜月だ。
いまNHKで放送中の『ラブライブ!スーパースター!!』に唐可可(タン・クゥクゥ)という中国人キャラが出てくる。
まさかこれを「中華人民共和国駐大阪総領事館」が公式ツイッターで称賛する日がこようとは。
今年7月からNHKで放送し始めたアニメ「LOVELIVE SUPERSTAR」では、シリーズ史上初の中国出身メインキャラ「唐可可」を起用した。情熱かつ陽気で、大胆な性格と豊かな創造力で両国の多くのファンを博した。 pic.twitter.com/ZLOfrbkHCq
— 中華人民共和国駐大阪総領事館 (@ChnConsul_osaka) October 14, 2021
しかもこのあと中国総領事館はこんなツイートを連投。
「これまでによく使われたチャイナドレスやお団子頭などの中華っぽい要素と違って、勉強一筋のため数学が上手ながらも体力はゼロ、どんな人でも馴れ馴れしい、不満ならすぐ言い出すなど、中国人らしい性格を持っており、中国でも大好評。」
このツイートへの日本人の反応はさっきの殺伐としたものと違って、ほのぼのあったか系が多かった。
・中国は学校の部活動が無く、泳げない国民の割合が多いという話は本当なのでしょうか?
・確かに、可可ちゃんは魅力的な子ですね、いい感じだ
・唐可可さんが煎餅餜子(中国式クレープ)の事をアニメで言っていたので初めて食べてみましたが美味しかったです。
最近、日本生まれで中国に伝わって定着したモノに、オタク文化、全自動麻雀卓、QRコード、回転テーブルなどがあると書いた。
この中のオタク界隈は、中国への見方は世間とちょっと違う。
先ほどの日本人の反応では載せられなかったけど、中国の印象が悪化した理由でコロナウイルスを挙げる人が多かった。
でもアニメファンは逆に、あれで日本には中国が必要だと気づいた人は多い。
というのはコロナ禍のせいで中国企業が活動停止になり、日本で放送延期となるアニメがいくつもあったから。
いまや日本アニメは日本だけでは完結しない。
中国企業に作業の一部を委託し共同制作していることで日本のファンは毎週、アニメを見ることができていた。
その当たり前の現実がなくなったことで、初めて中国の影響力のデカさに気づいた人をネットで何人も見た。
こうした人たちが優先するのは政治イデオロギーより、自分の好きな作品の安定供給だから、もう中国とは離れられないと悟った人も多いはずだ。
尖閣諸島周辺がどうなろうと、中国人コスプレイヤーと日本人ファン、そしてその逆の交流は相変わらず熱いようだし。
政治的、一般的には冷え込む日中関係の中でも、オタク界はそうでもない。
とはいえアニヲタで9割の壁を破壊するのは、風車に挑むドン・キホーテのようなものだから、とりあえず二次元だけでも日中友好はキープしていくしかない。
今年の夏、中国人作家のファンタジー小説『天官賜福』(てんかんしふく)を日本の会社がアニメ化した。
レビューを見ると、このアニメは日本で5点満点で4.1と高評価。
・中華アニメでブロマンスとかいうジャンル……? 面白いのかな? くらいで見たのですが、物凄く楽しかったー!
・中国の人名や文化に馴染みが無さすぎてかなり難易度高かったので調べながら見た。
・初中華アニメだったけど絵がめちゃくちゃ綺麗でクオリティ高かった!
純粋に作品を見て「楽しい/クソ」と評価する世界だから、「色々ともう諦めろよ」というような人はいなかった。
三国志とか水滸伝とか、二次元なら昔から中国人気は高い。
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