九官鳥の由来は「中国人」:すべては日本人の誤解から

 

「完コピ」という言葉は、この鳥のためにあったらしい。
オーストラリアのコトドリが人間の赤ちゃんの泣き声を、「すげえええ!」(AMAZING)というレベルで再現して大きな話題になった。

 

 

尾羽が竪琴(たてごと)に似ていることから、日本で「コトドリ」と呼ばれるこの鳥はオーストラリアの国鳥で、硬貨にも描かれている。
コイツはとにかく音真似のスペシャリストで、カメラのシャッター音やチェーンソーの音も完コピしてしまう。

 

 

ここまでの精度はムリとしても、日本で昔から人や動物の声真似で有名な鳥がこの九官鳥(キュウカンチョウ)。
で、この鳥の名前の由来をご存知だろうか。

 

画像:Nafis Ameen

 

台所や殺人現場でよくある「包丁」とは、実は中国人の名前に由来していた。という記事をこのまえ書きましたよ。

日本で有名だけど無名な「包丁」。由来は中国の伝説的料理人

これは本当にそういう中国人がいた(固有名詞ではない)けど、「九官鳥」の場合は誤解から名付けられたといわれているのだ。

 

この鳥は江戸時代に、中国人の「九官」さんが日本にもたらしたという。
人の声をマネすると説明する際、九官はこう話した。

「この鳥は吾(われ=九官)の名前をいう。」

これを聞いた日本人さんは、

「この鳥は自分(=鳥)の名前をいう。」

と誤解し、「そうか!この鳥の名前はキュウカンというのか!」と思ってしまい、日本では「九官鳥」として定着してしまった。
このエピソードは九官鳥の名前の由来を示すものとして、『本朝通鑑』や『飼籠鳥』に載っている。
だから、この鳥の本当の名前は日本では知られていないのだ。
ちなみに中国では秦吉了、鹩哥、八哥と呼ばれているとか。

 

こんな感じに、名前の由来が「誤解でした。てへぺろ」ということは海外でもある。
例えばシロサイだ。
現地アフリカの言葉で「wijde rhinoceros」と呼ばれていたのを、どこぞの外国人(イギリス人?)が英語で「白い」とカン違いして「white Rhinoceros」と呼んでそれが定着した。
日本ではその誤訳を正確に訳して「シロサイ」となったのだ。

 

直近では平昌五輪で、韓国人の「モルゲッソヨ(わかりません)」を聞いた日本人がカン違いして、それが像の名称として定着した事例が挙げられる。

ネットで話題!平昌五輪の”モルゲッソヨ”とカンガルーの共通点。

 

 

 

こちらの記事もいかがですか?

日本人の女性名「~子」を見て、中国人・台湾人は何を思う?

日本と中国&台湾で違う「同志」の意味:仲間・共産党員・ゲイ

中国文化は日本文化の起源!?①オリジナル性・香港人が驚いた京都

日本文化は独創性より創造性。中国の団扇から扇子をつくる。

外国人の好きな日本文化「着物」。歴史と特徴を簡単にご紹介。

中国人が驚いた鯉のぼりの意味と由来。「登竜門」だったとは!

「中華人民共和国」の7割は日本語。日本から伝わった言葉とは?

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。