【日本の対韓外交】“わずか一文”の岸田首相に不満な韓国さん

 

2日前の17日、岸田首相が国会で施政方針演説を行った。
新型コロナに打ち克つことと同時に「新しい資本主義」によって、日本経済を再生させることに全身全霊で取んでいくというから、満身創痍にならないことを願う。
で、ここで取り上げたいのは日本外交の方向性ですよ。

岸田首相は「新時代リアリズム外交」の第一の柱として、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や原則を重視していくとした。
だからアメリカとの関係を最重視し、バイデン大統領との会談をできるだけ早く実現するつもりだと。
日米関係(同盟)が日本の外交・安全保障の根本であることは、ずっと前の政権から変わらない日本の一貫した態度。
次に岸田首相はオーストラリアにふれて、安全保障協力を強化するなど関係をより深めていくと述べる。

対応のむずかしい中国には「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていきます」と言い、ロシアについては領土問題の解決を目指すという。

そしてそのあと、隣国との付き合い方についてこう言った。

「重要な隣国である韓国に対しては、我が国の一貫した立場に基づき、適切な対応を強く求めていきます。」

自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や原則を重視していくという日本の構想に、残念ながらいまの韓国は入っていないようだ。

昨年10月の所信表明演説で岸田首相はこう発言。

「韓国は重要な隣国だ。健全な関係に戻すためにも、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていく」

このときは二文あったのに、今回は、取ってつけた感がぬぐえないような一文だけ。
1万1300字の演説の中で韓国については一瞬ふれただけ、実質ほぼスルーというあまりに軽い扱いに、韓国メディアはかなり不満そうだ。

朝鮮日報(2022/01/18)

岸田首相の施政方針演説、韓国への言及は一文のみ…林外相「独島は日本領」

しかもその一文「適切な対応を強く求めていきます」というのはつまり、元徴用工・慰安婦問題は韓国政府に責任があるのだから、まずはその解決策を提示してくれということだ。
いまの日本が韓国に伝えたいことはこの要求のみ。
逆にほかのことを付け加えると分かりづらくなるから、ショートメールぐらいの文量で十分ということだろう。
韓国に「適切な対応」を求めるというのは安倍政権と変わらない日本政府の公式見解だから、ここ数年、日韓関係は1ミリも前に進んでいないことがわかる。

しかもそのあと林外相は外交演説で、

「竹島は歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土だ」
「この基本的な立場に基づき、毅然と対応していく」

と日本にとっては当然のこと、でも韓国には挑発的なことを言う。

中央日報も、施政方針演説での岸田首相の態度にはガマンできないようす。(2022.01.18)

首相が日本の国民に伝えるメッセージの2回の国会演説で、韓日関係の悪化について「韓国の責任」を主張し、日本政府レベルで努力する意志を表さなかったということだ。

岸田首相「韓国に適切な対応を求める」 林外相「竹島は日本の領土」…繰り返し

 

実際のところ韓国側が1965年の「韓日請求権協定」と2015年の「慰安婦合意」を守っていれば、こんな険悪な関係にはならなかった。
合意違反によってゆがんだ状態を正常化するよう日本が韓国に繰り返し求めても、文政権はことごとく無視。元徴用工・慰安婦問題のどちらでも、日本が検討できる案を一切出さなかった。
「日本政府レベルで努力する意志を表さなかった」というのは、韓国政府が解決の意志を示さなかったからだ。
無には無で返すことが「新時代リアリズム外交」らしい。
日本メディアの報道でも「コロナに打ち克つこと」と「新しい資本主義」の中身にツッコミを入れていて、「韓国の扱いが小さい」と指摘したのは見たことない。こちらもスルー。

あと2カ月で韓国の新大統領がきまるから、文大統領の任期もあとわずかだ。
元徴用工・慰安婦問題でいまさら文大統領が何かアクションを起こすとは思えないし、もうお互い相手を無視したまま終わって、韓国の次期政権で仕切り直しだ。
たった一文だけ残った隣国への言及が消滅しないことを願う。

 

 

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2 件のコメント

  • 今度の韓国の大統領選挙は歴代最悪の”非好感”選挙だそうです。
    与,野党の候補が皆人間的、政治的水準以下の人物だというのです。
    それで、韓国人も非常に虚しい心境で、この選挙過程を見守っています。
    韓日友好関係の回復は、春の雪解けのようには回復しそうにありません。

  • 知人の韓国人もどの大統領候補にまったく期待していません。
    お互いに悪口を言い合っているだけで、韓国をどう良くしていくかビジョンを示していないそうです。
    現金化さえしなければいいのですが、それも夏ぐらいまでにしそうですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。