韓国の“日本隠し”:「漢江の奇跡」のワケを暴露され国民激怒

 

韓国の全国紙・朝鮮日報に、違和感しかない記事を発見。(2021/06/08)

マキロイにあこがれたフィリピンの少女、全米女子OP優勝

今月7日、19歳と11カ月という若さで、フィリピンの少女が世界的なゴルフ大会・全米女子オープンに優勝した。
10代のチャンピオンが登場したのは史上2人目だ。
これを伝える朝鮮日報の記事にはこう書いてある。

「主人公はフィリピンの『天才少女』笹生優花(さそう ゆうか)だ。」
「フィリピンの選手がメジャーゴルフ大会で優勝したのは初めてだ。」

 

同じ内容を日本のメディアは、たとえば日刊スポーツはこう伝えた。(2021年6月7日)

笹生優花(19=ICTSI)が畑岡奈紗(22=アビームコンサルティング)とのプレーオフを制し、大会史上最年少の「19歳351日」で日本女子3人目のメジャー制覇を成し遂げた。

笹生優花は日本とフィリピン二重国籍、日本女子の五輪争い影響せず

 

韓国メディアの記事にも、笹生選手が日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれたことに触れてはいる。でも記事全体では、「フィリピン」を不自然なほど強調しているから日本が見えない。
東京都出身の笹生選手についてのあの記事で、違和感を感じたのはボクだけじゃないはず。

日本に関するモノや人が国際社会で活躍したり、注目を浴びたりした内容を報道するとき、韓国では国民感情に配慮して、こうした日本を隠したスタイルになることがある。
韓国の「日本隠し」で最大のタブーといえば、1960~70年代にすさまじい経済成長をとげた「漢江の奇跡」で日本の存在を指摘することだろう。
1965年の日韓請求権協定に基づいて日本は5億ドルの支援金をに渡し、韓国はそれを基に奇跡のような経済成長を実現させた。
これは紛れもない事実。
でも「漢江の奇跡」は韓国国民にとって輝かしい栄光、自慢のタネだから、すべて自力で行ったと信じたい人が多くいる。
それで韓国社会では「日本が韓国の経済成長に貢献した」ということが隠されてきたから、これを知らない国民も普通にいる。
*それでもマレに、韓国メディアがこれに触れることもあり。

 

さて2日前、元徴用工訴訟で韓国の地裁裁判所が、日本企業に賠償を求める韓国人の原告の訴えを退けた。
国民情緒より国際法を優先した結果だから、日本ではこの判断を支持する見方が優勢。
でも韓国内では、国民感情を傷つける内容だからこの判決に納得できない人が多い。
しかも裁判長は裁判の中で「日本隠し」のタブーに触れてしまった。

ハンギョレ新聞の記事(2021-06-08)

「当時、大韓民国が請求権協定で得た外貨は、いわゆる『漢江(ハンガン)の奇跡』と評価される世界経済史に記録される目覚ましい経済成長に大きく貢献した」とし、日本の“貢献”を強調した。

「日本から得た外貨で『漢江の奇跡』」…強制徴用判決、荒唐無稽な論理

 

人間が起こす奇跡にはすべてタネと仕掛けがあって、それはそうなるべき必然のもの。
「漢江の奇跡」は韓国国民の汗によってなし得た経済成長という点は間違いないが、その基となるモノは日本が提供したことも間違いない。
裁判長の指摘が韓国史の一部であることは、日本の経済支援金なしで、あの経済成長が実現できたかどうかを考えればすぐに分かるはず。
韓国にはこれを認める人もいれば、真実に耐えられない人もいる。

そういえば、先ほどのハンギョレ新聞の記事のタイトルには”問題”があったらしく、いまは「問題強制徴用判決「韓米、韓日関係を損なう」…法理よりも安保を優先」に変えられている。
日本から得た外貨で『漢江の奇跡』」は、やっぱり読者の目に触れさせてはいけないと考えたか。

 

韓国では国民が政府に、自分の要求を直接伝える「国民請願」という制度がある。
でも政府がすべての要求に対応することはできないから、そのためには30日間に20万人以上の同意が集まるという高いハードルがある。
でも今回の判決はそのK点をわずか一日で突破した。

中央日報日本語版の記事(2021.06.09)

「強制徴用訴訟却下のキム・ヤンホ判事弾劾」大統領府の請願、一日で20万人越え

 

「反国家、反民族的判決を下したキム・ヤンホ判事の弾劾を要求します」
「果たしてこの者が本当に大韓民国国民なのか疑問を感じるほど、反国家的、反歴史的な内容で綴られている」
「自ら売国奴で政治判事と規定したキム・ヤンホ判事を座視するなら」

こういった内容の請願に、1日が終わらないうちに21万人もの同意が集まった。

原告の訴えを却下した「反国家、反民族的判決」が国民を激怒させた一番の要因とはいえ、「漢江の奇跡」での日本の貢献を隠すどころか、暴露してしまった裁判長の“罪”はやっぱり大きかったらしい。
いまの空気からすれば、「フィリピンの『天才少女』笹生優花」という朝鮮日報の表現は最適解だった。

 

 

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4 件のコメント

  • >日本の“貢献”を強調
    なんで貢献にするんですかね。日本に謝罪させ賠償させた金でって言ってれば面目もたつのに

  • > マキロイにあこがれたフィリピンの少女、全米女子OP優勝
    > 今月7日、19歳と11カ月という若さで、フィリピンの少女が世界的なゴルフ大会・全米女子オープンに優勝した。
    > 10代のチャンピオンが登場したのは史上2人目だ。
    > これを伝える朝鮮日報の記事にはこう書いてある。

    彼女は両国籍を保持しているとは言え日本生まれであり、また韓国は、伝統的に「父親」の家系を重視する(夫婦は別姓で子供は父親の姓を継ぐ)国なんですがね。その程度のこと、日本側の情報発信に少し目が届けばすぐに気づくこと。民衆への迎合するために報道内容を歪めるとは、愚かしいなぁ。
    むしろ、その程度のことで国民への迎合が可能であると、日本人を含めた外国人に知られることが、恥ずかしいと思わんのか。ま、国民も国民なら、メディアもメディアだ。

  • >なんで貢献にするんですかね。日本に謝罪させ賠償させた金でって言ってれば面目もたつのに

    韓国では日本は公式に謝罪も賠償もしてないことになってますからねえ。
    日韓基本条約を認めてしまえば、今後すべてにおいて謝罪も賠償も要求できなくなる
    事を理解してるのでしょう。

  • >>なんで貢献にするんですかね。日本に謝罪させ賠償させた金でって言ってれば面目もたつのに

    >日韓基本条約を認めてしまえば、今後すべてにおいて謝罪も賠償も要求できなくなる事を理解してるのでしょう。

    私もそう考えます。なんだかんだ言って、面目よりもカネが大事なんでしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。