世界語になった“カミカゼ” 日本軍が自爆攻撃を行った理由

 

ロシアの侵略と戦うウクライナ軍が初めて「神風ドローン」を公開した。
破壊力の強い爆弾を載せて、ロシア軍の戦車に突っ込んでダメージを与えるこの神風ドローン、ウクライナ軍によると戦闘ではかなり効果的だ。
遠隔操作のこの兵器は外国製ということだから、「カミカゼ」なんて名前を付けるとしたらアメリカの可能性がきわめて高し。

このニュースに日本のネット民はこう思った。

・米国製神風という違和感
・KAMIKAZEを名乗るなら旭日旗を揚げてもらおうか
・アメリカの映画とかドラマだと半分くらいカマカジって発音してるよな
・神風ってマジでアメリカのトラウマなんだな
・神風とか名前、使ってほしくないわ
なんか腹立つ
・神風の本元の日本がこのドローンを作ったらめちゃくちゃ売れそうなのにな

 

ロシア軍の戦車を撃破するウクライナ軍の「神風ドローン」

 

太平洋戦争の末期、爆弾を搭載した戦闘機がそのまま艦船に体当たりして、アメリカ軍に大きなダメージと恐怖を与えた日本軍の神風特攻隊。
英語版ウィキペデアにはこんな説明がある。
神風は通常の攻撃よりも精度が高く、より大きな被害を米軍にもたらした。なかには、機体が故障した後でも目標に命中させることができるものもあった。

kamikaze was more accurate than conventional attacks and often caused more damage. Some kamikazes were still able to hit their targets even after their aircraft had been crippled.

Kamikaze

 

この自爆攻撃がいまでは「カミカゼ」として、世界で最も有名な日本語にひとつになっている。
2001年にニューヨークのワールドトレードセンターに旅客機が突っ込んだ「アメリカ同時多発テロ事件」や、フランスでテロ事件が起きたとき、欧米メディアは「kamikaze(仏語:kamikazes)」という言葉を使っていた。
中東の自爆テロもアラビア語で「カミカゼ」と表現することがあるから、これはもはや世界語だ。
ただ、神風特攻隊は米軍だけにダメージを与えた一方、テロでは民間人を殺害している。
両者は本質的に違うから、テロに「カミカゼ」と言わないでほしい。

神風特攻隊についての誤解は日本人にもある。
「いまでは考えられないけど、当時の日本軍ではあれが常識だったんだゼ」なんてことを言う人がたまにネットでいるけど、そんなワケない。
あの自爆攻撃は日本軍にとっても常識を超えた、非常で非情なものだったのだ。

 

日本軍が神風特攻隊を編成した理由は何か?

まず3年近くも戦いがつづいて、アメリカとの体力(生産力)の違いが残酷なほど明らかになっていた。
戦車や弾薬、戦闘機などの生産もそうだし、兵士の育成でも日本はアメリカにはとうていかなわない。
飛行機はすぐにつくることができるとしても、技術と経験を兼ねそなえた優秀なパイロットはそうもいかない。
モノだけでなく、人的資源でも日米には大きな差があって、通常の攻撃ではもう絶対に勝ち目がないという段階にまで日本は追い詰められた。

そんな日本軍が米軍を迎え撃つ捷号作戦(しょうごうさくせん)を行おうとしたとき、すでに予想以上の航空機と経験あるパイロットを失っていたことに気づく。
となると作戦を変更する必要があるのに、その時間がなかったこともあって、とにかく日本軍はこの作戦を続行する。

作戦を無理にでも遂行するには、飛行経験の少ない若い兵士でも、米軍に大打撃を与えるような作戦が必要となり、神風特攻隊が創設されて、終戦の10カ月ほど前に初めて自爆攻撃が行われた。
「特攻隊の生みの親」ともいわれる大西瀧治郎でも「外道」と表現したぐらいだから、この攻撃はけっして日本軍の常識だったわけではない。

航空支援を任務とする第一航空艦隊は劣弱な航空戦力を補うために、立案者自体(大西 滝治郎中将)が「作戦の外道」と考えた特攻攻撃に踏みきることによって、計画と実際のズレを調整しようとした。

「失敗の本質 (ダイヤモンド社) 戸部 良一、寺本 義也その他」

 

練度の低い兵士でも自分の命を犠牲にすれば、通常攻撃よりも精度が高くなり、大きな被害を敵に与えることができる。
ただ、それは外道で本当に特別な攻撃だ。

 

手前の大西に敬礼する特攻隊員

 

それでも日本はアメリカには勝てなかった。
1945年8月15日、国民に降伏を発表する天皇の声を聞いて大西はこう言ったという。

「俺はあんなにも多くの青年を死なせてしまった。俺のような奴は無間地獄に墜ちるべきだが、地獄のほうが入れてはくれんだろうな」

この翌日、大西は自決する。

卑劣なテロを「カミカゼ」と表現することは論外でも、自らの死をもって特攻隊員の英霊とその遺族に謝罪した大西なら、無人の「神風ドローン」だったら納得できるかも。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。