【レイテ沖海戦】栗田艦隊の“謎ターン”、原因は日本の誤情報か

 

プーチン大統領は当初、ロシア軍がウクライナへ侵攻すれば、数日で首都キーウ(キエフ)を占領できると思っていたらしい。
でも、ウクライナが世界を驚かすような激しい抵抗をして、プーチン氏はいまはもう首都陥落をあきらめたようだ。
この大苦戦の原因はなにか?
いま指摘されているのは、側近がプーチン氏を怖れて正確な情報が伝えられていないということ。

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戦争において情報とは命。
不利でも有利でも、自軍に戦況が正確に伝わっていれば勝つる!
敵には判断を狂わせて、作戦を無効化するような誤情報を与えることが有効だ。
これが逆になると最悪で、自軍に間違った情報が伝わるとトンデモナイ状態を生んで敗北の原因にもなる。
太平洋戦争では日本軍はこの失敗をやらかした。

 

きのう4月7日は、1945年の戦争末期、戦艦大和が米軍の攻撃を受けて撃沈された日だ。
この半年前の1944年10月、フィリピン奪回を目指すアメリカ軍と、それを全力で阻止する日本軍との間で、どちらにとっても「絶対に負けられない戦い」のレイテ沖海戦が行われた。
両軍合わせて20万人以上が参加して、「史上最大の海戦」とも言われる激戦。
神風特攻隊による自爆攻撃が初めて本格的に使われて、アメリカ兵を震え上がらせたこのレイテ沖海戦は、結局は日本の敗北に終わり、海軍は壊滅的なダメージを受けた。
一方、レイテ島に上陸した米軍のマッカーサーは、ここに司令部を設置して、圧倒的優位な立場から戦いを進めることができるようになる。

このレイテ沖海戦の敗因にあるのが「栗田艦隊の謎行動」だ。
グーグルに「栗田艦隊」と入れると、「反転、なぜ、謎の反転、もし」といったワードが関連用語で出てくる。
このとき栗田艦隊は敵艦隊を攻撃するため、南のレイテ湾へ進んでいた。
後にマッカーサーが「勝利はいまや栗田艦隊のふところに転げこもうとしていた」と回想録に書くほど米軍は劣勢で、日本には大チャンスだったのに、栗田艦隊は急に進路を変えて北上してしまう。

この「栗田ターン」がナゾ過ぎて、戦後70年がたった今でも議論になっているのだ。

日本側では議論のほとんどは栗田艦隊の行動に集中しており、戦後は擁護、批判、中間的意見など様々な見解が交互に披瀝されてきたと言える。

レイテ沖海戦

レイテ沖海戦に勝利して上陸するマッカーサー

 

結論からいうと「栗田ターン」の理由に決定的な決め手はない。
諸説ある中からここでは、6名の研究者が日本の敗戦原因を徹底的に追究した『失敗の本質』にある説を紹介しようと思う。
ちなみにこの本の内容は現在の日本人にも当てはまるから、新浪剛史氏(サントリー社長)が愛読しているし、小池百合子都知事は「座右の書」として称賛した。
その名著には、栗田艦隊が反転した原因についてこう書いてある。

考えられる最も公算の多い可能性は、栗田中将の部隊を発見したわが航空機が、これを米艦隊と見誤り、その旨が情報として作戦部隊に流れたことである。そうすると、栗田中将は『自隊』を攻撃しようとして反転北上する皮肉な結果となったわけである

「失敗の本質 (ダイヤモンド社) 戸部 良一、寺本 義也その他」

 

日本軍の航空機「洋上に敵艦隊発見!」(じつは栗田艦隊)
その情報が栗田艦隊へ伝わって、「了解、ただにこれを撃滅する!」と反転。(おいっ)
しかしそこに米艦隊はいなかった。(当たりまえ)

「勝利はいまや栗田艦隊のふところに転げこもうとしていた」という戦況が、こんな誤情報から大敗北に終わる。
栗田は連合艦隊司令部にこう打電を打っていた。

「第一遊撃隊はレイテ泊地突入を止め、サマール東岸を北上し、敵機動部隊を求め決戦、爾後サンべルナルジノ水道を突破せんとす」

決戦すべき敵機動部隊が自分だったというオチ。
令和に生きてるボクからすると、もうマンガですかと。

でも日本軍の情報伝達のポンコツさからすると、こんな展開が実際にあった可能性はとても高いし、当時の状況や日本の技術力からするとそう考えておかしくない。
不可解すぎて、これを「米軍による偽電だとする説」もあるという。

正しい情報は個人にとっても大事で、戦争中なら国の命運を左右するほど。
コロナワクチンやウクライナ戦争でも、デマやフェイクニュースが乱れ飛んでいるからご注意を。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。