いま日本で最も多く食べられていて、日本人の食生活に欠かせない果物がBANANA。
疲労回復に効果的なビタミンやミネラルがあって、腹持ちのいいバナナはスポーツやダイエットの友で、朝食にこれを食べる人も多し。
ゲームの『マリオカート』ではカートをスピンさせる妨害アイテムとして使われて、女子高生の「戦場ヶ原ひたぎ」がバナナの皮を踏んで足を滑らせて、階段から落ちてくるシーンからアニメ『化物語』は始まる。
食べ物以外でも、日本でバナナは八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍だ。
他にも、外は黄色くて中身は白いことから、白人のような言動をするアジア人を揶揄して「バナナ」と言うことがある。
では、そんなバナナと日本人の関係について知っていこう。
この果物が日本に伝わったのは戦国時代で、1569年に宣教師のルイス・フロイスが織田信長に献上したという記録があることから、初めてバナナを食べた日本人は信長ともいわれている。
生まれて初めて黒人を見て「いやいや、体に墨を塗っているのだろう」と疑った信長は、体を洗わせてみたけれど、黒人の肌の色は変わらない(アタリマエダ)。
それで気に入って、このアフリカ人を家臣にした好奇心旺盛な信長なら、バナナの味見をしてもおかしくなさそうだ。
いま岐阜には、皮まで食べられる「信長バナナ」を生産する農家さんもいる。
ちなみに、このときフロイスはガラス瓶に入った金平糖も信長にプレゼントした。
いまの日本では一般的な海外からの「輸入バナナ」は、明治時代に日本統治下にあった台湾から、初めてバナナが移入されたことが始まりといわれる。
*国内だから「移入」になる。
当時は、信長への献上品レベルではないとしても、庶民には手の届かないような高級フルーツだった。(日本における歴史)
日本には昔から、バナナと同じバショウ科の植物の「芭蕉」がある。
英語で「ジャパニーズ・バナナ」と言われる芭蕉は観賞用で食用ではない。
「古池や 蛙(かわず)とびこむ 水の音」
「夏草や 兵どもが 夢の跡」
「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」
こんな俳句を詠んだ松尾芭蕉の名前は、「ジャパニーズバナナ」と呼ばれるバショウにちなんで誕生したのだった。
芭蕉は中国原産といわれ、西遊記には火焔山の炎を消すために、孫悟空が鉄扇公主(てっせんこうしゅ)に「芭蕉扇」を借してほしいと頼むシーンが出てくる。
日本では江戸時代によく観賞用として芭蕉が植えられていた。
桃青(とうせい)という俳人がいた庵(いおり)には立派なバショウの木があって、弟子が「芭蕉庵」と呼ぶようになる。それで師匠である桃青も「芭蕉」と自称するようになって、「松尾芭蕉」が爆誕したという。(江戸深川の芭蕉)
ちなみに桃青という名は芭蕉の理想とした中国の詩人「李白」にちなんで、「李(すもも)と白」で李白なら、自分は「桃と青」の「桃青」だというでこの名になったとか。
戦国時代に織田信長が日本人として初めて食べ、江戸時代には松尾芭蕉がこれにちなんで名前を付けて、さらに現代では戦場ヶ原ひたぎが滑って転んで物語が始まる。
バナナと日本人の関係は昔からとっても深いのだ。
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