世界がコロナ禍へ突入するちょっと前に、夏の京都を旅行をした。
泊まったのは一泊3000円ほどのやっすいゲストハウスで、「朝食でも食べるかー」と共用スペースへ行ったら、フィンランドからきたという若い白人女性と出会う。
そして恋に落ちるようなコトはなかったけど、同じのテーブルで朝食をとるぐらいの展開はあった。
フィンランドに比べて日本で印象的に感じたことを聞くと、
「物価が安いこと! 特にレストランでの食事でお金がかからないから、旅行者としてはすごく助かる。でも太りそうでコワい」
と北欧人らしいことを言う。
たとえば彼女の目の前にある100円ちょっとで買った食パンは、フィンランドなら400円ぐらいするらしい。
時刻は午前10時ごろで、朝食を食べた後はどこへ行くのかたずねると、「部屋で休む」と予想外のことを言う。
きょうの朝、大阪のホテルを出て電車に乗って京都駅に着いて、そこから15分ほど歩いてこのゲストハウスへやってきた彼女は、すでにヒットポイントが尽きかけていた。
「日本の夏は湿度が高くてとても暑いと聞いて、覚悟はしていたけど、まだ朝なのに想像をはるかに超えててビックリした。ここへ来る途中に気持ち悪くなったから、まずは朝食を食べて休んで、体力が回復したら午後からどこかへ行くかもしれない」
ということは下手したら、きょうはこれで終了ってこと?
せっかくフィンランドから来て、それはもったいなさすぎる! と言いたいところなんだが、フィンランドで生まれ育った人からしたら、京都の夏はサウナの中を歩くようなものかも。
ネットを見たら、首都ヘルシンキの8月の平均気温は16℃だから、それプラス20℃に湿気のカタマリをくらったら、歩いただけで吐きそうになるのも分かる。
ということ彼女にとってはいまのところ、日本で感じた母国との最大の違いは不快指数だった。
覇気も精気も観光意欲も失った彼女からすると、荷物を持って速足で歩く日本人はとてもエネルギッシュに見える。
だから、その日は移動だけで終わったとしても、フィンランド人的には命を守る行動だから仕方ない。
フィンランドというと、日本でいちばん有名なものはサウナか。
サウナの由来は「蒸し風呂」を意味するフィンランド語の「sauna」だ。
ほかにもムーミンやジェンカ(フォークダンス)があるし、フィンランド人は世界でいちばんコーヒーを飲むということも知る人ぞ知る。
*コーヒーの消費量はフィンランドが世界ナンバーワン。
そんな国の大統領が先日、日本人へこう呼びかけた。
「我々は間に同じ隣国を共有し、同じ懸念と利益を抱える」
読売新聞のインタビューに応じて、こう言ったのはフィンランドのニーニスト大統領だ。
言われてみると日本とフィンランドにはロシアという隣国があって、ウクライナへの軍事侵攻を見ると、たしかに安全保障の面では共通の懸念と利益を持っている。
フィンランドが長く続けていた非同盟政策をやめて、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を決断したほど、いまウクライナで起きていることは衝撃的だ。
「ロシアは近隣の主権国家を攻撃する意思と能力があることを示した」と話す大統領の危機感は日本人も共有したほうがいい。
NATOが日本に連絡事務所を開設するという話もあるし、ロシアをはさんで、日本と西側のつながりはこれから深くなりそうだ。
これにネットの反応は?
・すっかりお仲間認定だな
・陸続きと海じゃ感覚が違う
・日本を巻き込まないでwwww
・これは有難いね
EUもどんどんこっちに来てるな
・合点承知だマリンちゃん
*サンナ・マリン氏は第46代フィンランド首相。
フィンランドには1939年にソ連から攻め込まれて多くの犠牲者を出して、領土の一部を奪われた「冬戦争」という闇歴史がある。
日本は日本で、連合軍への降伏を宣言した後もソ連軍に攻め込まれて、貴重な人命や領土(北方領土)を奪われた悪夢がある。
どっちも第二次世界大戦で起きた不悲劇で、相手もまったく同じだ。
遠く離れていて物価や気温は違っても、地政学的には重大な共通点があって、同じ不幸な歴史を持つ日本とフィンランドなら「同じ隣国を共有し、同じ懸念と利益を抱える」という認識は正しい。
まあ日本人が選ぶとしたら、プー〇ンよりムーミンだ。
「冬戦争」で機関銃をかまえるフィンランド軍の兵士
「白い死神」とソ連軍に恐れられたフィンランド軍のすご腕スナイパー「シモ・ヘイヘ」
この冬戦争でフィンランド軍に苦戦するソ連を見て、ヒトラーは「これなら勝つる!」は思ったらしい。
それでソ連へ侵攻したら(バルバロッサ作戦)、冬戦争で弱点を見つけて強化したソ連軍に返り討ちにされた。
これがナチス=ドイツの終わりの始まりになる。
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