ある日本人がアメリカへ行った時、アイスクリーム店で「バニラアイスをくれ」と言ったら、「あいよ」と店員から渡されたのはバナナアイスだった。
「コレジャナイ…」と思ったけど、これはどちらかというと自分の英語に問題があるから、勉強代と思って食べたら、予想外のおいしさで得した気分になったという。
こんな感じに日本人の独特な英語発音が原因で、大小いろんな問題が起こることがあればその逆にもある。
日本に住んでいる知人のイギリス人がスーパーで買い物をしていて、ベーコンが見つからなかったから、「すみません、baconはどこですか?」と聞いたら、その店員さんが不思議そうな顔をする。
「何を探していますか?」と聞くから、「baconです」と言っても通じない。
別の店員も来て、3人の日本人を相手にイントネーションやスピードを変えて「bacon」と言ってもダレも理解できない。
でも、三人寄れば文殊の知恵で、そのうち店員が「ひょっとしたらベーコン?」とようやく正解にたどり着いて、そのイギリス人を売り場へ案内した。
bacon の発音記号は「béikən」で、ネイティブは「ベィカン」(正しい発音はネットで確認)と言うから、そんな本場の発音に店員はついていけなかった。
(「米韓」と聞こえなくもない。)
逆に日本では、baconを「ベーコン」ということを知ってイギリス人は衝撃を受ける。
ちなみに「Bring home the bacon」という英語表現には、「生活費をかせぐ」や「成功する」といった意味があるらしい。
そのイギリス人もベーコンを持ち帰ることができて、ミッションコンプリートだ。
「降りろ!」は客に言っていい言葉じゃない。
日本人のナゾ発音にネイティブが困る現象は、現在進行形で各地で発生している。
中学校で英語を教えていたアメリカ人は、生徒から「リンカーン」について聞かれて困った。
そんな人物は聞いたことなかったから「誰ですか?」と聞き返すと、「ええっ!先生はアメリカ人なのに、リンカーンを知らないの?」と“ダメリカ人”の烙印を押される。
アメリカの大学を卒業した彼は「Lincoln」のことなら、その中学生の100倍ほどの知識を持っていたけど、「リンカーン」という日本語は知らなかった。
日本人の英語に問題があるのに、彼の知性に欠陥があるように思われたから、そのアメリカ人としてはチョット納得がいかない。
幕末や明治の時代、日本人は「Lincoln」という英語を「リンコルン」や「レンコロン」と表記していた。
(エイブラハム・リンカーン)
ちょっと前の教科書なら「リンカーン」で、いまでは「リンカン」だ。
「アブラハム・リンカーン」だと昭和感が山盛り。
日本人の英語発音については、最近では日本人の間でも「これはマズい」という危機感が広がっていて、ネイティブの発音に合わせる動きが進んでいる。
学校で使われる歴史教科書の内容や表現の変化について、「ランキングー!」が20代以上の人を対象にアンケート調査を行った。
成人の日本人がビックリしたランキングがこちら。
10位:大和朝廷が「ヤマト政権(ヤマト王権)」へ変更された。
9位:ルーズベルトは「ローズベルト」へ。
8位:徒然草の著者が「吉田兼好」から「兼好法師」「卜部兼好」へ。
7位:日本最大の前方後円墳は「仁徳天皇陵」から「大仙古墳」へ。
6位:日本最古の貨幣が「和同開珎」から「富本銭」へ。
5位:リンカーンが「リンカン」へ。
4位:大化の改新が645年から「646年」へ。
645年に起こったクーデターは「乙巳の変」で、翌年から始まった改革を「大化の改新」という。
3位:関ヶ原の戦いで、西軍の大将は石田三成ではなく「毛利輝元」だった。
2位:江戸時代の身分制度「士農工商」は存在しない。
実際にはそんな上下関係なんてなかったから、「士農工商」という表現は削除された。
1位:鎌倉幕府の成立は1192年から「1185年」へ。
ローズベルトはニューディール政策を行って、世界恐慌でどん底になったアメリカ経済を回復させた大統領で、日本にとっては太平洋戦争で戦った相手でもある。
「リンカン」と同じように、ルーズベルトはもう「ローズベルト」と呼ぶ時代だ。
でも、ベーコンはすっかり日本人になじんでいるから、「ベィカン」に変更するのはもう無理かも。
物を供養する独特の信仰。日本の”神”を表す最も正しい英語は?
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