ロシアとウクライナの戦争がはじまってから、もう2年がすぎた。
最近では、欧米の国々にウクライナへの「支援疲れ」がたまってきて、ウクライナでは物資や武器が不足し、戦況は不利になっている。
欧米などでは、「そろそろ停戦をしてもいいのでは…」という声も上がりつつあるが、ウクライナ側は、いまは困難な状況でも、それに同意することはできないとダンコ拒否。
個人的には、「停戦が成立すれば、インフラが大ダメージを受けたから、戦争前の生活には戻れないとしても、とりあえず平和な日常を取り戻すことができるのでは?」と思ってしまうのだけど、知人のウクライナ人に言わせると、現実はそんなスイーツじゃない。
ロシアとの停戦が実現したら、占領地にいるウクライナ市民は「second class citizen(二級市民)」になり、別の地獄がはじまると言う。
この時は、それがどんな状態か分からなかったけど、いまは見えてきた。
先日、日本の統治が終わった直後、台湾でおきた悲劇について記事を書いた。
日本がアメリカに降伏し、台湾から撤収すると、中国本土から中国国民党の役人や軍人がやって来て、今度は彼らが台湾を統治することになった。
この新しく来た中国人(漢民族)を「外省人」、ずっと前から台湾にいた中国人(漢民族)を「内省人」と言う。
当時、内省人は外省人から屈辱的な扱いを受けていたが、とうとう怒りが限界突し、爆発する。
1947年2月27日、台北市内でタバコを売っていた女性(2人の子どもがいるシングルマザー)が警察に摘発された。
貧しく、苦しい生活をしていた女性は、土下座をして許してほしいと懇願したが、取締官は銃で女性を殴ったうえに商品と所持金を没収する。
これが内省人たちの怒りに火をつけた。
翌28日から大規模な抗議活動がはじまると、軍は武力でそれを鎮圧し、最終的には数万人の市民が殺害された。
怒りが頂点に達し、激しく抗議する台湾の民衆
戦闘や混乱が収まり、平和が戻ったとしても、支配する側/される側に分かれた状態では、後者の生活は悲惨なものになる。
たとえば、彼らはこんな屈辱的な扱いを受けることがある。
朝鮮日報の記事(2024/02/29)
クリミア半島に駐屯中のロシア軍兵士ら、カフェバーで民間人に殴る蹴るの暴行…武装した仲間を呼んで銃で威嚇も
最近、ロシアに占領されているクリミア半島でこんな暴行事件が発生した。
ロシア軍の兵士があるカフェバーに入ると、客としてそこにいた女性に“ちょっかい”を出した。
このとき、彼女と付き合っていた男性が止めに入ると、兵士は怒り出し、トラブルになる。
兵士は店から出て行くと、今度は、銃で武装した仲間の兵士を連れて戻ってきた。
彼らが銃をぶっ放して威嚇すると、店内の客たちはその場にひざまずく。
すると、兵士らは床に伏せている無抵抗の市民をこん棒で殴ったり、足で顔を蹴ったりして、気が済むまで暴行を加え続けた。
これがその時の様子。
ちょっかいを出された女性の話では、兵士らはボーイフレンドを椅子に座らせた後、こん棒で殴りはじめ、兄弟や友人が助けようとすると、彼らにも殴りかかった。
女性は「映像を拡散して広めてほしい」「明日、あなたが愛する人たちにこのようなことが二度と起きないようにするため」と訴えている。
男性の目はつぶれ、顔面が血だらけになった写真もあったけれど、残酷すぎてここでは見せられない。
あのウクライナ人が言った「second class citizen」の意味が具体的に分かってきた。
戦争さえ終われば、また元の平和な生活ができるーー。
そんな幸運なケースもあるのだろうけど、ロシアにそれを求めるのは無理。
お花畑にもホドがある。
戦争で死ぬよりマシ