「もう鎖国なんてやってる場合じゃねえ!」
と日本が開国して明治時代になってから、たくさんの外国人が来日するようになった。
当時の外国人にとって、日本のイメージはどんなものだったのか?
明治の日本を見たシドモア(1856年 – 1928年)というアメリカ人女性は、旅行記にこう書いている。
日本は今世紀最大の謎であり、最も不可解で矛盾に満ちた民族です
「シドモア日本紀行 (講談社学術文庫)」
いまの日本は「今世紀最大の謎」というほどじゃないけど、外国人から見たら、ワケの分からないことが起こる。
知り合いのアメリカ人女性は、「『痴漢が電車の車両から逃げ出して、線路上を走って逃げた』なんてことが起こるのは、世界で日本だけ」と言っていた。
そう言われると、なんも言えねえ。
ちなみに、いまでは英語になっている「TSUNAMI(津波)」という言葉を、初めて西洋世界に伝えのがシドモアだった。
FM FUKUOKAのホームページから。
明治三陸地震を取材した女性ジャーナリスト、エリザ・シドモアが書いたもので、死者、2万数千人という痛ましい惨状を伝えた記事は、世界に初めて「TSUNAMI」という言葉を紹介したことでも知られます。
明治時代にやって来た外国人の数は分からないけど、昭和7年には、外国人観光客は5000人近くいた。
それが戦後、1950年代に10万人に達する。
1970年代に100万人になって、1990年には1,000万人を突破。
去年2017年の訪日外国人の数は、2869万1000人で過去最高を記録した。
今年はきっと3000万人を超える。
「トラベルボイス」から。
約3000万人の外国人が日本に来るようになった!
というのは、誰にとっても同じ。
でも、この受け止め方はいろいろ。
これを歓迎する人がいれば、これで困っている人もいる。
うれしい悲鳴をあげているのは、外国人が買い物をしてくれて、笑いが止まらない百貨店だ。
流通ニュースの記事(2018年05月23日)から。
免税総売上高は約316億1000万円(42.9%増)と、初めて単月で300億円を超し過去最高額を記録。17か月連続のプラスとなった。
訪日外国人の増加で、よろこびの悲鳴が聞こえる一方で、ガチの悲鳴をあげる人たちもいる。
日本にやって来る外国人が増えることは、全体としてはいいことなんだけど、いろいろな問題も起きている。
例えば、けがや病気の外国人を治療したけど、治療費を払ってもらえなかった病院は大変だ。
いまこうしたことが全国で続出している。
産経新聞の記事(2018.6.12)から。
外国人患者をめぐる医療費のトラブルは各地で相次いでいる。厚生労働省の調査によると、平成27年度に外国人患者を受け入れた1378病院のうち35%で医療費未払いがあった。
なかには、「1人で約800万円が未払いのまま」というケースもある。
でも、そういう外国人が出国してしまえば、病院側は何もできないという。
800万円は病院が負担することになる。
病院が患者の治療をして、病院が患者の治療費を払うという不合理なことが起きている。
こういう病院にしてみれば、訪日外国人の増加は、素直にはよろこべない。
でも実は、悲鳴をあげてもおかしくない人たちがまだ他にもいる。
それは日本国民。
訪日外国人の治療費問題については、知らないうちに、国民も”被害者”になっている。
まだそのことに気づいてないから、悲鳴を上げないだけ。
いま日本では、とんでもないことが起きている。
次回、そのことを書きます。
おまけ
先ほど書いたように、治療費を払わずに帰ってしまう外国人がいま増加している。
といっても、政府も何もしていないというワケではない。
問題を起こしそうな外国人の入国禁止を検討している。
毎日新聞の記事(2018年4月28日)
自民党のプロジェクトチーム(PT、萩生田光一座長)は27日、医療費未払いを繰り返す恐れのある外国人に対し、入国を拒否することを柱とした政府への提言をまとめた。
医療費未払い、再来日で入国拒否 自民PT提言
こういうことは早くやってほしいのだけど、実際に入国禁止ができるようになるまでには、たぶん相当な時間がかかる。
日本では、訪日外国人のおもてなしは進んでいるけど、問題への対応が遅れているように思う。
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