前回、タイ人・インドネシア人・ベトナム人の留学生から聞いた話を書いた。
東南アジア人の彼らが、日本で感じた母国との違いは「時間厳守」の感覚。
日本人の「時間を絶対に守る」という考え方に、彼らは敬意を払っていたけど、同時に嫌ってもいた。
東南アジアの人間には、ついていけない部分があるから。
「日本の電車は1分単位の正確さで走っています。本当にすごいです」と称賛する反面、3分遅れただけで「大変申し訳ございません」とお詫びのアナウンスをすることには「そこまでする必要があるのですか?」と批判的だ。
ましてや定刻より25秒早く出発しただけで、鉄道会社がホームページに謝罪文を載せるのも、彼らの感覚ではあり得ない。
時間厳守の考え方はいいのだけど、東南アジアの人間からすると「やり過ぎです」と思うこともある。
それで「日本の会社に就職して、自分は幸せになれるのだろうか?」と不安がよぎる。
前回そんなことを書いた。
くわしくはこの記事をどうぞ。
「電車の運行は1分単位の正確さ」
それが当たり前の社会に住んでいる日本人は、「待たされる」ということをすごく嫌う。
なかには5分待たされただけで、不満を口にしたり顔に表したりする人もいる。
これも、東南アジア人の感覚だと理解がむずかしい。
彼らが指摘した日本人の嫌なところは、「待たされ耐性」の低さだ。
例えば、すき家でバイトをしていたインドネシア人はこんなグチをこぼす。
「日本人のお客さんでイヤなのは、すぐ怒る人です。あるとき私はワンオペで、がんばって牛丼をつくっていました。外国人が1人で働いていても『遅い!早くろ!』と言う人がいて、私は辛くなりました」
*ワンオペ(ワン・オペレーション)とは、1人の従業員が全ての仕事をすること。深夜の外食チェーン店でよくある。
まあ、牛丼を食べに来る人は急いでいる場合が多いから。
ゆっくり会話を楽しみたいときに、日本人は牛丼屋をチョイスしないよ。
日本での牛丼屋の定義は「うまい・早い・安い」だからね。
というようなことをボクが言ったのだけど、タイ人やベトナム人もこれには同意しない。
「日本人は厳し過ぎると思います。店を見れば、1人で大変なことは分かります。タイ人なら文句を言わずに待っています」
インドネシア人もベトナム人もこの意見に賛成。
ここでまた、インドネシア人が電車の話を持ち出す。
3分遅れただけで鉄道会社がお詫びをするのも、それに怒る日本人がいるから。
インドネシアだったら、そんな放送は必要ない。
3分の遅れで怒り出す人はいないから。
人間はミスをするし、時には予想外のことも起こる。
日本人は「待たされる」ということに弱い。
すぐに怒らないで、もっと大きな心を持ったほうがいい。
この考え方にタイ人とベトナム人も同意。
ホームなのに、このアウェー感はなに?
でも、そんなことを言ったら、客には客の事情がある。
そこで牛丼を食べて、すぐ次に行かないといけなかったかもしれない。
でも確かに日本人は外国人に比べて、「予定通り」を乱されると怒りやすいと思う。
何でも正確に動く社会だから、その分、日本人の「待たされ耐性」は低くなるんだろう。
東南アジア人の「待たされ耐性」は極めて高い。
ボクが限りでは、「8時30分出発」が9時や9時30分になっても、誰もまったく気にしない。
海外、とくにアジアに行くと、「待たされ耐性」が高くなる。
そうならざるを得ないから。
例えば、きょう見た「MaedaK.jp」という旅行ブログでは、インドを旅している日本人がこんなことを書いていた。
なんかもう暗いんですけど。
ええそうです。
バラナシを8.5時間遅延で出発しましたが、アチャネラ着はもはや14時間遅延してますからね。ただ今20:00です。
バラナシからここまでって大した距離じゃ無いですからね。どうしたらこんなに遅延出来るのでしょうか。
外国に行ったら、その国のルールや感覚に従わないといけない。
時計の針を現地時刻に合わせるのは簡単だけど、日本の時間感覚を現地のものに合わせることは難しい。
タイ人・インドネシア人・ベトナム人の東南アジア人も、日本に住む限りは「3分遅れたらお詫び」という感覚に慣れてもらうしかない。
それが嫌なら、母国で就職だな。
おまけ
インドの鉄道駅
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