「中国が嫌い」と言う日本人が多いわりに、日本にはチャイナタウンがいくつもあるし中国料理店はそこらじゅうにある。
だから日本人の言う「嫌い」って、実は大したことなくね?
日本に住んでいて、そんなことを思ったというインド人の話をこのまえ書いたんだ。
でもそれは中国の政治であって、食べ物や歴史的建造物などの文化は好きだし、中国の歴史上の偉人に敬意を払う日本人もたくさんいる。
だから中国のすべてを拒否しているわけじゃなくて、好きなところと嫌いなところの差が大きいだけ。
ニュースで知る中国はほぼ政治面だから、日常的にそんな情報に接していると印象も悪くなる。
日本語が好きな中国はいくつもあるが、三国志はその筆頭に挙げられる。
それは中国でも知られているようで、中国メディアの快資訊がその理由について分析した。
サーチナの記事(2021-05-07)
三国志をこよなく愛する日本人、もはや「中国人以上だろ」=中国
三国志に関するゲームや映画、アニメは昔から人気があるのはいいとしても、三国志に出てくる英雄・豪傑が美少女キャラにされることには、中国人としては困惑してしまうという。
「一騎当千」や「恋姫†無双」のことですねわかります。
あれには日本でも批判はある。
関羽や張飛が女子高生になって太ももやパンツを見せることには、「三国志を侮辱している」と怒る日本人もいるのだから、中国人はもっと怒っていい。
個人的にも、三国志に露骨なエロ要素を持ち込むのはやめてほしい。
でもとにかく、それも日本人が三国志を愛していることの表れだと快資訊はみている。
おやさしいですね。
なぜ日本人は三国志に夢中になるのか?
その理由をこの中国メディアはこう考えた。
まずは「乱世は英雄を出す」ことだ。
あのときの中国は天下統一をめぐって、武力や知力の限りを尽くして戦う動乱の時代だったから、多くの魅力的な英雄が現れた。
なかでも諸葛孔明は日本人にとても人気がある。
これは作家の吉川英治が日本人の価値観や感覚に合わせて作り変えた、日本版・三国志の影響が大きい。
快資訊は、吉川英治の三国志は孔明の死で物語が終わっていることを指摘する。
(ということは、ここが中国と違うのだろう。)
横山光輝のマンガだとそのあとも描かれているけれど、孔明の死をもって「三国志は終わった」と考える日本人は多いと思う。
また、日本では曹操の人気が高い。
曹操をあまり好意的にみていない中国の「三国志演義」と違って、吉川英治の三国志では曹操の良い面を強調している。
だから日本人は曹操を「織田信長のような強硬さと豊臣秀吉のような臨機応変さ、徳川家康のような権謀術数に長けた人物」と評価していると快資訊は説明した。
日本で好きな歴史上の人物についてアンケートを行うと織田信長はいつも上位、ナンバーワンか大体トップ3には入っている。
いまの日本人は「和を以て貴しとなす」の精神が好きで争いごとが嫌いな人が多いから、だからこそ逆に、非情で強い織田信長に魅かれる人が多いのだろう。野心の大きさやリーダーシップ、カリスマ性にも魅力を感じる人もいるはずだ。
吉川英治の描く曹操はそのイメージに近いと思う。
ほかにも中国は広大な国だから、日本に比べて戦争のスケールもけた違いだったことも人気の理由だろうと中国メディアは指摘。
全体的にみれば日本人のような三国志好きの外国人はほかにいないから、中国人としてもまんざらでもないようだ。
でこの記事にネットの声は?
・学校の図書室に置いてあったからでしょ。
・キングダムの影響で春秋戦国時代ファンも増えてるぞ
・コーエーのおかげ
・史記や水滸伝も好きなひと多いよな
・そう言えば本場だと曹操の知名度すら低いって聞いてビビったわ。
・今の中国の主席の名前や日本の総理大臣の名前は知らないが「孔明」は子供でも多くが知ってるからな
昭和生まれのボクはNHKの人形劇から三国志ワールドに入って、いまでも好きだから、やっぱりあの影響は大きかった。
日本にいる中国人にきくと、中国料理店には行かないと言う人がよくいる。
理由は単純、おいしいと思わないから。
これとは逆に、中国で食べる中国料理は油が多すぎたり辛すぎたりして、日本のほうがいいと言う日本人も多い。
味覚が違うから同じ物を食べても、その感想がそれぞれ違うのは当たり前で、日本では日本人の舌に合わせた中国料理が発展したから、中国人からすると「コレジャナイ感」がする。
三国志も同じで吉川英治・横山光輝・NHKの人形劇の三国志は、オリジナルを基に日本人の価値観や好みに合わせて作り変えたから広く受け入れられて、中国人でも驚くほどのファンをつかむことができたのだ。
曹操の描き方もそうだけど、現代の日本人には共感できないという理由で吉川英治は「人肉食」のシーンをカットしようとしたが、日本人には理解できないだろうけどという注釈を付けて載せた。
ただのコピーだったら、日本でここまで長くて深い人気は出なかったはず。
ちなみに上の「人肉食」については、これまで話を聞いたすべての中国人が「え?三国志にそんな場面があるんですか?」と驚いていたから、この描写は現代の中国人の価値観にも合わないから削除されたのだろう。
日本人にとって「人肉食」のイメージはかなり強烈のようで、こんなキーワードでいらっしゃる人が以前から一定数いる。
こちらの記事もいかがですか?
韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
> 現代の日本人には共感できないという理由で吉川英治は「人肉食」のシーンをカットした。
> (引用ブログ記事→)【本当は怖い三国志】劉備の「人肉食」を中国人はどう思う?
あはははは、また同じ指摘をしなければなりません。
吉川英治は、「人肉食」のシーンをカットすることも検討はしたが、結局はちゃんと記述していますよ。
上記の「引用ブログ記事」に対するコメント、ならびに返信コメントを下記に再掲します。
ブログ主さんはよほど「吉川英治が人肉食シーンを描いた」ことが、嫌いなのですねぇ。信じたくない?
まあその気持は理解できないでもないですが、事実は事実です(いちおう私も理数系なので)。
> NETで調べてみたところ、やはり、吉川英治「三国志」にも劉安の話はちゃんと出ているとのこと。吉川の注釈付きで紹介されているようです。
> https://akanisin.hatenablog.com/entry/20130402/1364904363 より転載:
> >=読者へ
> > 作家として、一言ここにさし挟むの異例をゆるされたい。劉安が妻の肉を煮て・・・
kokontouzai より 2019年9月9日 10:50 PM 返信コメント:
> ご指摘のとおりです。
> 吉川英治は削除を検討したものの、「読者へ」と語りかける欄をもうけてこの話をのせていました。
> 劉備の食人についての記述を削除したこととその理由が書いてあったと思ったのですが、記憶違いでした。
ご指摘ありがとうございます。
誤解というより、「そんなはずはない」という強い先入観があったのでしょうね。
以後、気を付けます。
光栄と横山三国志が大きいかね。その後は吉川から羅漢中、正史への流れ。三国以外の人物は後漢書。
わざわざ向こうの書籍を取り扱っている代理店経由で取り寄せた時はあまりの紙質の悪さに驚いたけど。吉川と正史とで人物像が真逆なのはあるある。