【日本人の偏見】黒人のイメージ・イラン人を怒らせたこと

 

韓国人が自国の仮想通貨を「キムチコイン」と表現するのはOK。
でも、アルゼンチン人がブラジル人を「ジャングル出身」と表現するのはNG。
という記事を前回書いたわけですよ。

【偏見】韓国の“キムチ”は〇、ブラジルの“ジャングル”は✖

で最近、日本人男性と結婚した台湾人がSNSに「我們家的桃太郎」と書いていたから、「わが家の桃太郎ってなに?」と思ったら、彼女のダンナのことだった。
台湾人の女性は日本人男性に親しみを込めて「桃太郎」と呼ぶことがあるらしい。

ある国や国民を、その国を象徴するモノやコトで表現することは一般的にあって、基本的にそれは問題ない。
でもそれには一線があって、相手を不快にさせる表現はアウトだ。
個人的には台湾人が「桃太郎」と言うのはいいけれど、欧米人から「ピーチボーイ」と呼ばれるとバカにされてる感がしてイラっとくる。

 

ブラジル人を「ジャングル出身」と表現したアルゼンチンの大統領はすぐに謝罪に追い込まれた。
特定の国や人に対する偏見からモノを言うと、こんなふうな騒動に発展する。
日本でも昔からこういう問題がちょくちょく起きて、なかなかなくならない。

知人のイギリス人は日本人からよく「英国は紳士の国」と言われるから、それを聞くと複雑な思いがすると言う。

「たしかに知的で上品なイギリス人もいる。でも、そう言う日本人はフーリガンを知らないのだろう。フーリガン(一部の過激なサッカーファン)は暴徒と変わらない。オレはヤツラが大嫌いなんだ」

そう考える彼はイギリスの一部を全体化した「紳士の国」ということばを聞いて、悪い気はしないけれど、素直にはよろこべない。
むしろそのイギリス人には、全体的には日本人のほうがマナーが良くて紳士的に見える。

こういう「好意的偏見」ならいいとして、いまからちょうど1年前、NHKの国際ニュース番組『これでわかった!世界のいま』がこんな動画を投稿して物議をかもす。

 

*「ヨーソロー」は「宜しく候(よろしくそうろう)」が変化したことばで、「そのまま前へ進め」という航海用語。

 

アメリカ社会の格差や人種差別について、白いタンクトップを着たマッチョな黒人が説明するというのは、いったい何の冗談か。
過度に筋肉質な外見で、乱暴で粗野な言葉づかいが強調された男性。
そんな黒人に対する日本人のステレオタイプで描かれていることが問題視され、「偏見を助長する」といった批判が殺到。

海外のメディアには「侮辱的で無神経」と書かれ、駐日アメリカ臨時代理大使からは「採用されたアニメは侮辱的」とツイートされた番組側は、動画を削除して謝罪する。

くわしいことはこの記事を。

NHKも失敗:差別につながる日本人のステレオタイプ表現

外部から指摘されるまで、本人ではなかなか気づかないのが偏見のコワイところだ。

 

最近、知人のイラン人も日本人の偏見に怒った。

 

 

イランについて紹介したいと日本のメディアから依頼を受けた彼は、日本人に正しい情報を伝えられるのならと、好意の気持ちから無償でその取材に協力した。

後日、そのメディアの報道を見た彼はSNSでこうぶちまける。

「またイランについて古くてステレオタイプの嘘を報道した!それはおかしすぎる!!二度と〇〇を信用しない!」

日本人にいまのイランについて正しい姿を知ってほしくて事情を説明したのに、報道では彼のことばは断片的にカットされて編集され、彼の意図とはまったく逆の内容となっていた。
イランについて日本人の「古くてステレオタイプ」の具体的な内容を聞いたら、「イランは戦争中とかイラン人はテロリストとかイランの全体は砂漠とかです!」とのこと。
結果として彼は「裏切られた」という気分になった。

 

たしかにイランにはこんな砂漠もあるんだが、

 

 

こんな森林や、

 

雪山もあるから、一部を全部にしてはいけないのだ。

 

偏った見方で国やヒトを判断し、そのまま表現してしまって問題になることはこれからもきっとある。
でもそれは、自分じゃなかなか分からない。
イラン人を怒らせた日本のメディアの報道を見た日本人は、それが偏見だとは気づかないで「イランとはこんな国で、こんな人たちか」と理解するだろう。

 

 

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1 個のコメント

  • > 日本人にいまのイランについて正しい姿を知ってほしくて事情を説明したのに、報道では彼のことばは断片的にカットされて編集され、彼の意図とはまったく逆の内容となっていた【と彼は主張した】。
    > イランについて日本人の「古くてステレオタイプ」の具体的な内容を聞いたら、「イランは戦争中とかイラン人はテロリストとかイランの全体は砂漠とかです!」とのこと。
    > 結果として彼は「裏切られた」という気分になった。

    うーん、どうなんですかね。そのイラン人は、正確な情報をメディアに対して説明したのかな?単に、彼が主張したかった内容と、放送で紹介された内容が食い違っていたというだけのことでは?放送を見てないので、片方の当事者の言うことだけではどちらがどうこう言えませんね。
    森林や雪山に比べて砂漠地帯が多いかどうかの論争は、面積割合の数値を併記すれば済むことです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。