アニメでわかる日米の価値観 ジェンダー平等で先進的なのは…

 

海外では日本の作品やそれっぽい作品は「アニメ」、それ以外の例えばディズニーなどの作品は「アニメーション」と呼んで区別されている。
日本のアニメはそれだけ独特なのだ。
日本と外国はそれぞれ独自の文化や価値観をもっているから、表現の自由の範囲も違っていて、日本のOKが外国ではNGになることもある。

過激で暴力的なシーンが多いといった理由で、ロシアでは「東京喰種トーキョーグール」や「エルフェンリート」の配信がバンされた。
このアニメは刃物で人の体を切り刻んで血が噴き出す、その痛みに少女が叫び声を上げるといった「鬱アニメ」だから、刺激が強すぎるというのはまあ理解できる。
むしと日本が自由すぎ。

ミャンマーや韓国で人気のデスノート、ロシアでは放送禁止

 

アメリカでは子供向けの番組は特に配慮されていて、例えば『ワンピース』のナミやロビンの胸はかなり縮小されて谷間もなくなって、目のやり場に困らないようにカスタマイズされている。
ちょっと前までコンビニで成人雑誌(=エロ本)が野放しにされていて、欧米人に批判されたように日本は“エロ方面”でも自由度がけっこう高いのだ。

一方でアメリカは日本に比べ、「ジェンダー平等」についてかなり厳しい。
性の多様性に特に配慮して heや sheの代わりに、性的に中立な「they」を使うことが条例できめられている都市もあるほどだ。

【ジェンダー配慮】He や She ではなく、性的中立の「they」

日本ではつい最近、全国で唯一残っていた東京都が高校願書の性別欄を廃止をきめて話題になったが、アメリカならそれは遠い過去の話だろう。
でもジェンダー平等において、「アメリカ=先進国、日本=後進国」という評価は正しくない。
そんなステレオタイプのイメージを覆して、実は日本がアメリカより先進的な面もあるのだ。

 

このまえアメリカ人と話をしていたら、セーラームーンの話になった。
子供のころにセーラームーンを見て、彼女はこれ以上ないほどハマって日本に興味をもつようになる。
そんなアメリカ人と話をしていて、「天王はるか」と「海王みちる」は恋愛関係にあって2人はレズビアンだと言うと、向こうはしばしの沈黙の後、「ええええええっ」と驚がくする。
日本でこれは周知の事実で、2人は『百合界のカリスマ』と言われるほど不動の地位を築いている。
レズビアンではないとしたら、アメリカ版ではどんな設定になっていたのか?
それを聞くと、天王はるかと海王みちるは「いとこ」という関係だったらしい。
「でも確かにあの2人の言動をいま考えると、いとこよりも、同性愛の関係にあるほうが自然に見える」とやっと気がつくアメリカ人。

そのころのアメリカ社会の価値観では、子供向け番組で同性愛はNGだったのだろうと彼女は推測する。
スーパーマンがバイセクシュアル(両性愛者)になったような、いまのようなLGBTに寛容な社会だったら、天王はるかと海王みちるの関係も日本と同じでよかった。
日本は時代を先取りしていたらしい。

同性愛をタブー視するのはキリスト教の考え方による。

キリスト教徒が同性愛を嫌う理由は「ソドムとゴモラ」でわかる

 

子供向けのアニメ番組で、レズビアンを持ち込んだのはアメリカ人には衝撃的だったようで、「天王はるか」を担当した声優の緒方恵美さんは以前こんなツイートをした。

 

 

アメリカより「常に進んだ国」というのは言い過ぎマシマシだとしても、ジェンダー平等で日本のほうが先進的だった部分はある。
だから控えめに言っても「常に遅れた国」は間違い。
アメリカでは最近も、人工中絶が否定されて女性の権利が奪われた。
社会に対して、宗教が強い影響力を持っていないというのが、ある意味日本の強み。
にしているアニメは相変わらず、日本と外国の文化や価値観の違いを教えてくれる優秀なツールだ。

 

 

【価値観の違い】ロシアで日本の「異世界アニメ」が禁止

世界に広がる日本のアニメ、日本最古のマンガ「鳥獣戯画」

外国人が思う日本アニメの問題点“不必要なエロ・サービス”

「まるでアニメ」。外国人が驚いた日本人の発想“地域性”

【表現の自由の限界】WHOが問題視する「自殺の描写」

 

1 個のコメント

  • <<<ジェンダー平等において、「アメリカ=先進国、日本=後進国」という評価は正しくない。
    <<<控えめに言っても「常に遅れた国」は間違い。

    ゲーテ「外国の良し悪しを知らない者は、自国の良し悪しについて何も知らない。」
    出典: 『箴言と省察』

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。