【日本の魅力】バングラデシュ人が感じた四季のうつろい

 

今も昔も、外国人を魅了する日本の良さに「自然美」がある。
イギリスの登山家ウォルター・ウェストンは明治・大正時代に来日し、日本にハマって3度も長期滞在した。彼の目に、この島国の景色はとても美しく映ったようで、日本の季節について、

「二月の梅から始まり、桜、牡丹、つつじ、藤の花、あやめと春から夏にかけて咲く花々、さらに秋から冬にかけての菊、紅葉」

と記している。
ウェストンには春夏秋冬で、「旬」となる花が移り変わることが印象的だったらしい。
最近、バングラデシュ人20代・男性)と一緒に、「浜名湖ガーデンパーク」へコスモスを見に行ったとき、彼も同じことを言っていた。今回は、彼が話した日本の魅力(四季)を紹介しよう。

 

 

ーー日本でコスモスは秋を感じさせる花なんだ。
俳句の季語になっているし、漢字で書くと「秋桜」になる。この「秋桜」という言葉は、太平洋戦争があったころ、英語が敵性語として嫌われて、強引に和名にした名残なんだけど。

敵性語ですか。私にとって、それはウルドゥー語ですね。
バングラデシュ人はベンガル語を使いますけど、パキスタンはそれを無視して自分たちのウルドゥー語を押し付けました。それが原因で戦争になったんです。

ーー知ってる。1970年代の独立戦争で、バングラデシュ人は地獄を経験をした。バングラデシュ大虐殺
で、バングラデシュにもコスモスはあるの?

ありますよ。冬に咲きます。

ーーベンガル語で何て言うの?

コスモスです。

ーーへ〜、日本語と同じなんだ。って、世界中でコスモスと呼ばれているのかな。

 

*コスモスの原産地はメキシコ。
調和や秩序を意味するギリシャ語の「Kosmos」に由来して、スペイン人がコスモスと名付けた。日本には明治時代に、西洋からこの花と名前が伝わった。バングラデシュもイギリスの植民地時代に、イギリスから伝わった予感。
詳しいことはこの記事を。

西洋でコスモスは「秩序や宇宙」、日本では敵性語だから秋桜

 

 

日本でコスモスは秋の花なんですね。さっきも言いましたが、バングラデシュでは季節が違って冬の花なんです。

ーー日本で冬の花というと、シクラメンやクリスマスローズが有名だな。それと中島美嘉。
雪が降る冬にも緑を保ったり、きれいな花を咲かせたりすることから、日本では昔から「松竹梅」が人気がある。

バングラデシュにはそれがないのです。冬になると霧が発生しますが、雪は降りません。だから、私は日本に来て初めて雪を見て、とても感動しました。気分がアガって、すぐに写真を撮ってSNSに投稿したら、日本にいる友人もみんな同じことをしてましたww
だから、私の周りでは、冬に白川郷へ行くことを夢にしているバングラデシュ人が多いんですよ。

ーー世界遺産に登録された日本の伝統家屋と銀世界。あのコラボは全国の観光地でもトップクラスにある。同じ理由で、スリランカ人やインドネシア人も白川郷へ行きたいと言っていた。南国出身の人にとって、冬の白川郷は魅力的だろうね。白川GOだね。

 

バングラデシュでは夏に雨がドバっと降って、冬はとても乾燥していて、降水量がはっきりしています。私が日本を好きな理由の一つに、春夏秋冬の四季がはっきり分かれていることがあります。
雪の季節が終わると、桜が一斉に咲いて街がすごく華やかになって、心がワクワクします。

ーーインドネシア人もそんなことを言ってたっけ。
インドネシアはいつも暖かいから、一年を通して、目に見える風景があまり変わらない。だから、日本の四季の移り変わりはすごく良いと。

わかります。
バングラデシュも季節によって気温が大きく変わりますが、日本に比べると、植物や花はあまり変化しなくて、単調なんです。
だから、日本で春の桜や秋の紅葉の時期に名所へ行くと、世界が鮮やかなピンクや赤で包まれていて、「うわ〜」ってため息が出ます。
日本人は花が大好きなんですよね。花を大切に育てて、こんな植物園などでみんなに無料で公開してくれる。
バングラデシュでは、公園や街中に咲いているコスモスを見るのはタダですけど、植物園に行くとふつうはお金がかかります。私たちも花は好きですが、日本人ほど、季節ごとの花を楽しむ文化は発達していません。これは日本の大きな魅力です。

 

ーーバングラデシュは50年ぐらい前に戦争があって、あまりにも多くの働き手を失ったし、国内も戦場になって荒廃した。花を愛する気持ちは日本人と変わらないかもしれないけど、実際のところ、花や木を育てて整備するためのお金は無いんじゃない?

それはあります。
バングラデシュは世界最貧国を脱しましたけど、まだまだ貧しい国ですから。

ーーでも、バングラデシュは経済が順調に発展している。でも、日本は経済が低迷していて、順調に進んでいるのは少子高齢化。わー国は「これまでの国」かもしれないけど、バングラデシュはこれからの国で、未来が楽しみだ。

ドンノバード(ありがとうございます)。

ーー日本はこんな施設で、いつまで無料で四季の変化を楽しめるのか不安だよ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。