今、京都のあるホテルが行った「差別行為」が問題になっている。
イスラエル人の男性がそこへの宿泊を希望したが、ホテル側はイスラエル軍によるガザ侵攻を理由にそれを拒否。
区別はいいが、差別はダメだ。
客が伝染病に感染しているなどの合理的な理由があれば、ホテル側は宿泊を拒否をすることが法的に認められている。でも、今回の場合、ホテル側は主張は「その男性を泊めるとガザ侵攻に加担する可能性がある」というものだから、第三者から「うん、それは合理的ですね」と認められるとは思えない。
ホテルはイスラエル大使館から抗議を受け、京都市からも事情を聞かれている。
職場に政治を持ち込むのはNGで、これは普通にアウトでしょ。
さて、ここ最近、日本のインバウンドは絶好調だ。
訪日外国人の数は3か月連続で300万人を超え、5月は304万と、過去最高だった2019年5月の277万を上回った。(by 日本政府観光局)
しかし、副作用もある。
国別で見ると最も多いのが韓国人で、2023年には約700万人が来日した。
それだけの数になると、一部には「迷惑系ツーリスト」もいて、いま対馬で大きな問題になっている。
禁煙とされている神社でタバコを吸って吸い殻を捨てたり、境内で飲食をし、ゴミを捨てて帰る。神社の職員が注意すると逆ギレし、暴力を振るう人もいて、神社側は韓国人の立ち入りを禁止した。
すると、韓国人だけを“狙い撃ち”にするのは行き過ぎで、「人種差別」にあたると批判する人が出てきた。実際、これが「合理的」と認められるかは微妙。
神社の関係者は「差別だといわれるかもしれないが、仕方がない」と話していて、この対応を撤回する意思はなさそうだ。
神社側は観光客の迷惑行為に困り果て、行政に相談しても「個人で対策してください」といわれ、警備員を雇う余裕はないから、仕方なく「立ち入り禁止」の張り紙を張ったという。
市役所も何もしていないわけではない。
韓国から対馬へ向かうフェリーの中で、マナー向上を呼びかけたり、迷惑行為をしないように訴えたりする動画を流しているらしい。
しかし、残念ながら、その効果は「微力だけど、無力じゃない」以下で、現実的にはゼロだろう。
ポイ捨てを注意されると、怒って暴力行為をするような人間に啓発動画やチラシは無意味だ。
このニュースは韓国でも報じられ、「そんなやつは捕まえて、厳しい罰を与えてやれ!」と怒る人が多かったが、対馬市はそれには消極的で“平和的解決”を願っているらしい。
京都のホテルも対馬の神社も特定の外国人の利用を禁止していて、表面上は差別行為と見られても仕方ない。
でも、前者には悪意や差別的な意図があり、後者にはそれがなく、やむを得ず行った処置だから、この2つを“同じ”と考えることは差別的だ。
神社の関係者の話を聞いて、以前、日本に住んでいたアフリカ出身の留学生の“なげき”を思い出した。
彼には、髪が伸びるといつも利用する理髪店(リハツテン)があって、何度も通っているうちに、そこの店主と仲良しになった。
コロナ禍がはじまったころのある日、彼がそこへ行くと、店主のおじさんが申し訳なさそうな顔をして、こんなことを言う。
「悪いけど、商店街の店の話し合いで、外国人の利用はダメになった。コロナの原因が外国人にあると思う人も多くてね。ルールで決まったことだから、今はここであなたの髪を切ることはできないんだ。個人経営の小さな店だと、1人がコロナになったら、店がつぶれちゃうかもしれない。ホントにごめんなさいね。」
彼は、このおじさんはとても良い人で、人種差別主義者ではないことを知っている。欧米にある“本当の人種差別”にこの人は当てはまらない。
でも、コロナと外国人を結びつけ、拒否することは合理的な判断とはいえない。やっていることは明らかな差別行為だ。とはいえ、この人のルールや店を守りたい気持ちは理解できるし、ある意味“被害者”だから、おじさんを責める気持ちにはなれない。
不満や怒りなどのネガティブな感情を抱えたまま、彼は留学生寮に戻るしかなかった。
SNS上で、外国人が日本の店などで「外国人お断り」のサインを見つけ、怒りの投稿をするのを何度か見たことがある。
でも、これには、人種や国籍に対する憎悪に基づく差別は少なく、自分たちだけでは対応できなくなり、“仕方なく”するものが多いと思う。
知人のアメリカ人はそんな店を見つけたから、オーナーに“説教”をしてやろうと問いただしたところ、「あなたは日本語がうまいですね。それなら歓迎しますよ」と言われて拍子抜けした。
対馬の神社みたいに周囲の助けを得られず、自力での対応は不可能だったため、やむを得ず外国人の立ち入りを禁止した店は多い気がする。
政府や地方自治体は外国人観光客を呼び込むのと同じぐらいの積極さで、というのは無理だろうから、その10分の1の積極さで迷惑観光客の取り締まりに乗り出し、厳しい対応をとるべきだ。
でないと、外国人に差別意識のない日本人を差別主義者にしてしまう。
人種と民族の違い。黒人の日本人(民族)がいて「ふつう」の時代
> 政府や地方自治体は外国人観光客を呼び込むのと同じぐらいの積極さで、というのは無理だろうから、その10分の1の積極さで迷惑観光客の取り締まりに乗り出し、厳しい対応をとるべきだ。
> でないと、外国人に差別意識のない日本人を差別主義者にしてしまう。
うーん、それは日本人の「弱点」が現れているところですよね。
政府や地方自治体には、そんなことをする「度胸」はないでしょう。また、地元の日本人観光業従事者も、面と向かって迷惑外国人に対決する「度胸」はないから、やむを得ず、ポスター等掲示物で対処しているということです。
これ、海外だったらどうでしょう? 警察に逮捕される程度のことならまだマシな方、下手すりゃ地元民に殺されてしまいますよ。
まあ、それだけ日本人は「平和主義者」だということです。
そのことが、もっと重要な問題で、裏目に出なければいいと思いますが。
シンガポールだとポイ捨てをすれば数万円の罰金をとります。
シンガポールは厳罰主義で環境を守っていますが、日本の自治体はそういう厳しい対応を嫌うでしょうね。
でも、そうなると、現場に「おまかせ」されるから、立ち入り禁止の看板を出すしかなくなる。
警察が逮捕して罰すことも必要です。実際、韓国の人たちはそれを支持していました。