【日本人と差別】外国人が五輪を“完全な失敗”と思ったワケ

 

ずっとまえから日本に住んでいて、数年前に日本国籍をとって、いまは日本人として暮らしている。
そんな人があるゴルフクラブへの入会を希望したところ、「元外国籍」を理由に却下された。
これは法の下の平等を定めた憲法14条に反する! と怒った男性は提訴し、ゴルフクラブ側と裁判所で争った結果がきのうでた。

朝日新聞の記事(2023年4月19日)

元外国籍でゴルフクラブ入会拒否、違法性認めず 判決「疑問もある」

私人である団体は、憲法21条で結社の自由が保障されている。
だから今回の場合、ゴルフクラブはメンバーの加入条件について基本的に自由に決められるという理由から、裁判長は「違法性は認められない」と判断し、精神的苦痛を受けたという原告の主張を認めず。
ただ、「元外国籍」が入会拒否の理由になるかどうかについては、「合理的な理由があるかは疑問もある」という。
今回と似たような裁判は以前にもあった。
この時は1995年に東京地裁が、日本国籍を会員条件に設定することは「違法」と判断し原告が勝訴した。
だからいまの日本でこの件は、差別になる(法の下の平等に反する)かどうかのライン上にある。
でも2年前、「なぜそれがスルーされた?」と思ってしまうような出来事が東京で発生。

 

東京オリンピックが開催される直前、世界中からやってくる人に最高のおもてなしをしようと、意気込んでいる日本人にアメリカから残念なお知らせが届く。

産経新聞の記事(2021/7/18)

東京五輪「完全な失敗」 米紙「熱気は敵意に」

開幕まであと一週間ほどといったタイミングで、ワシントン・ポストの記者がこれまでのところ東京五輪は「完全な失敗に見える」と指摘した。

「熱気は敵意に」というのは、新型コロナの感染拡大が続いているなかでの開催に国民の間では不安が広がり、五輪への期待感や熱気はもはや冷めて、(特に政府に対して)敵意すらでてきたことを指す。

「完全な失敗」の具体例には、東京にあるホテルがエレベーターや食事会場に、「日本人専用」「外国人専用」と書いた貼り紙を掲示していたことがある。
感染対策としておこなった措置で、悪意は1ミリもなかったらしい。
でも、「オイこら、それは差別だろ!」といった批判が殺到して、「誤解を招く表現だった」とホテル側は謝罪し紙を撤去した。
外国人のみなさんへ、日本にできる最高のおもてなしをするはずだったのに、結果的に五輪は「内向きで外国人を警戒する別の日本像」を浮き彫りにしたとアメリカ人記者は伝える。

ただ「完全な失敗に見える」というのはビフォーで、オリンピックが始まったら世界中が盛り上がったし、コロナ禍という厳しい条件のなかで日本はよくやったと海外に評価されたから、米記者の立てた不幸フラグは回収されなかったと思う。

 

ということで、ゴルフクラブが「元外国人」の入会を拒否したことは“ギリセーフ”でも、「外国人専用」を掲げるは差別行為で、キャッチャーがジャンプしてもとれないほどの大アウト。
日本が国際大会のホスト国になって世界中の人を招待する場で、ホテルや飲食店が「日本人専用」と書いた紙を貼るのは、外国人に「完全な失敗」と指摘されても反論はできない。
このホテルの関係者は事前にちゃんと五輪受け入れの研修を受けて、複数の人間がこの紙を見たはずなのに、外部の指摘があるまでスルーされていた。
「コロナ対策でした」なんて言い訳は日本人にも通じない。
(五輪と関係なくても、ポリコレ・コンプラが厳しい今の日本で、自分のホテルに地雷を仕掛けるようなことをよくしたな。)
世界の注目を集めといての“人種差別行為”は、日本でこれが最後になりますように。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。