タイの正月②ソンクラン期間中、タイ人や外国人の過ごし方は?

 

タイには、年に3回正月がある。

日本と同じ西暦の正月(1月1日)と、中国正月と伝統的なタイの正月。
タイの正月を「ソンクラン」という。

昔は、仏像やお年寄りに水をかけて敬意を表していたのだけど、現在のソンクランは違う。
今では水をかけ合う「水祭り(水戦争)」に進化した(のか?)。

そのおかげでソンクラン期間中には、飲酒運転・交通事故・性犯罪が増加するようになってしまった。
やっぱ、進化じゃなくて退化か?

 

デカい水鉄砲で水をぶっかけるソンクラン

 

ソンクランになると、交通事故や性犯罪が多発する。

それで今年2018年には、ソンクランが始まる前、タイの警察が国民にこんな注意を呼びかけた。

自動車やオートバイに乗っている人は、走りながら水をかけてはいけない。
水鉄砲を持ってバイクで走り回るヤツがいる。
「停車してから、通行人に水をかけるように」と警察は言う。

また通行人は、走行中のバイクに水をかけてはいけない。
前回書いたような死亡事故が起きてしまうから。

「タイランドハイパーリンクス」によれば、他にもこんな注意が出されている。

セクシーな服装は控えること。毎年女性やニューハーフの中には酒酔いと興奮とで裸になってしまう人が登場します。また痴漢行為も厳禁。水かけ祭りでは、水に溶かした白い粉を顔に塗りたくるという事を行うのですが、その際に痴漢行為に至る場合もあるようです。

2018年タイ正月の注意点、セクシーな格好を控えて高圧水鉄砲は禁止など

日本でいえば、ハロウィンの渋谷がこれに近いかも。

 

このニュースに対して、ソンクランを知ってるっぽい日本人が、ネットでこんな書き込みをしている。

・あの白い粉目にしみるんだよ
・高圧銃より、バケツでかけるのが一番いい
あと、氷入れるのは反則な
・昔は痴漢だらけやったなw
・自家製の水鉄砲も禁止か
・今年はTVドラマの影響で民族衣装の人が増えてるってね。
・マジで早く終わってくれ
こっちは遊んでるわけでもないのにバッサバッサかけやがって
今日バイクで転ぶかと思ったわ

 

 

ソンクラン期間中、外国人はどう過ごしているのか?

この”水戦争”に参加する外国人は多い。
そのために訪タイする日本人もいる。
この時期には、タイ人・日本人・外国人のツイッターやインスタグラムに、水鉄砲をかまえてドヤ顔の写真がよくアップされている。

 

水を体にかけられるのはいい。
問題はスマホやデジカメだ。
水祭りに参加してデジタル機器をやらた場合、海外旅行保険はきくのだろうか?

水鉄砲やバケツの水からスマホを守るために、最近では、変わったものも使われている。
バンコクに、外国人が集まる「カオサン・ストリート」というスポットがある。
カオサンはいつもお祭り騒ぎで、とてもクレイジーな場所。

ここで水かけ祭りがおこなわれたあと、路上には使用済みのコンドームがいくつも捨てられていた。
「こんな公の場で!本当に狂ってる!」と思ったら、実は違う。
外国人はコンドームを、”ソンクラン用のスマホケース”として使っていたのだった。

レコードチャイナの記事(2017年4月18日)

警察官が調べたところ、捨てられていたコンドームは破れていた上に輪ゴムで縛られていたという。警察は、外国から訪れた観光客が水を詰めて投げ合ったり、スマホにかぶせて防水対策に使ったものとみている。

タイの正月を祝う「水かけ祭り」、コンドームが意外なところで大活躍

こんな感じで、ソンクランは何でもアリ。

 

水戦争では、水中メガネが欠かせない。
友人のタイ人は「私のiphoneは水が入りました」と、メールで書いていた。
水戦争はだんだん激しくなっているのだろうか。

 

ソンクランの間に、田舎に帰ったり旅行に行ったりする人も多い。
人の移動が多くなるから、毎年、交通事故がよく起こる。

それで最近では、こんな”ソンクラン保険”が売り出されるようになった。

バンコク週報の記事(April 11, 2018)

4月中に起きた事故を対象とする保険料10バーツの格安保険が売り出されており、加入者数が100万人に達する見通しという。この保険契約者が死亡した場合、10万バーツの保険金が支払われる。

4月限定の格安保険が大人気 死亡事故で10万バーツ

3.5円で350万円(10万バーツ)ならいいかな。
いや、死にたくない。
10万バーツなんていらない。

 

 

タイ人が1年で1番クレイジーになるソンクラン。
それでも暗黙のルールがあるという。
例えばスーツを着た人には、水をかけてはいけないことになっている。

そうなっているのだけど、タイの子どもはそのルールを守らない。
タイ人の友人がオフィスに向かうため、革靴・スーツ・バッグの「ザ・サラリーマン」というかっこうで通りを歩いていたら、子どもから水鉄砲で狙撃された。

でも、ソンクランで水をかけられても、怒ってはいけない。
それもルール。
「あんのガキ~」と思いながら、彼はずぶ濡れのままオフィスに入った。
冷房が効いていて、正月なのに死ぬかと思ったらしい。

タイのソンクラン、恐るべし。

 

 

全身びしょ濡れになるから、ソンクランのときには外出しない人も多い。
5、6人のタイ人にソンクランの過ごし方を聞いたら、水かけ祭りをしたのは1人だけだった。
20代後半~30代前半の男女なのだけど、彼らは水かけ祭りに興味がないか嫌っていた。

冷房の効いた部屋の中で、ピザを食べながらヨーロッパ・サッカーを見ていたというタイ人もいた。
そんなソンクランの過ごし方もある。

20代後半の女の子は、「私はもう若くないから、水かけ祭りはしたくない。いろいろ準備して行くのも面倒くさい」と反ソンクランな態度を見せる。

話を聞くと、水のかけ合いが嫌いなタイ人もけっこういる。
水祭りはたぶん大学生のノリだから、ボクもついていけない。
ハロウィンで、仮装して街を歩くような感覚だと思う。

 

 

別の女の子にメールで過ごし方を聞いたら、こんな返事が来た。

We’ll respect and thank you to our older relative.
Water with jasmine.

身内のお年寄りにジャスミンが入った水をかけて、敬意を表すという。

これは伝統的なソンクランの過ごし方だ。
タイ政府観光庁のホームページに書いてあることと同じ。

仏像や仏塔、さらに年長者などの手に水を掛けてお清めをするという伝統的な風習が受け継がれて来たソンクラーン。

水掛け祭りとしても知られるタイ旧正月のお祭り「ソンクラーン」

「酒酔いと興奮とで裸になってしまう」という女性がいれば、こんな女性もいる。
ソンクランの過ごし方は本当に人それぞれ。

 

こんな感じで、お年寄りに尊敬や感謝の気持ちを表す。

 

おまけ

平日のカオサンロード

 

 

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タイの正月①伝統的なソンクランと現在の水かけ祭り(戦争)。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。