総理が「日本は神の国」と言えば、野党は「日本は神の国? いいえ、民の国です」と批判するCMを全国に流す。
2000年のときなら、このパフォーマンスは国民に受けた。
でも、今はどうなのか?
最近の野党によるパフォーマンスといえば、やっぱアレでしょ。
麻生大臣の辞任を要求して行った審議拒否。
政権支持率は低いし、このときボクは、これが通じると思った。
「麻生大臣の辞任は避けられない。安倍内閣を倒すところまでいくかどうか?」と考えていたのだけど、結果は大失敗。
野党のクリティカル なオウンゴールに終わる。
「麻生大臣が辞任するまで、国会審議には応じられない!」と言ったはいいけど、希望の党の玉木代表は、親から「そろそろ(国会に)出たほうがいい」とさとされる始末。
産経新聞の記事(2018.5.5)によると、他の野党議員も困っていた。
「審議を通じて真相を明らかにしてほしい」「ずっと審議拒否していると国民に忘れ去られてしまう」 民進党の若手参院議員は大型連休中、支持者からそうした苦言を伝えられたといい、「日程闘争をしていても仕方ない。追及の材料を得ても審議をしなければ意味がない」と漏らす。
別の民進党若手も「後援会幹部に『ずる休みのイメージはよくない』と繰り返し言われる」と明かした。
日経新聞の世論調査では、野党の審議拒否を「適切でない」と答えた人は64%で、多くの国民はこの戦術的パフォーマンスに批判的。
審議拒否を「職務放棄」や「ずる休み」と見た国民が多い。
このパフォーマンスはまったく通じなかった。
野党が国会に出てこなかった間、テレビの画面には、質問者のいない国会のがら~んとした様子がず~っと流れていた。
与党議員が腕を組んで座っているだけで、何も始まらない進まない。
ただ、むなしい時間が過ぎていくだけ。
もちろんこの「国会空転」も与党のパフォーマンスなんだろう。
で、そのパフォーマンス合戦は野党の負け。
「zakzak」の記事(2018.5.9)から。
いわゆる野党6党は、前代未聞「18連休」もの職場放棄を続けたあげく、8日午後の衆院本会議から審議に復帰した。
復帰条件としていた「麻生太郎副総理兼財務相の辞任」などは通らず、成果「ゼロ」の惨敗というほかない。
野党の欠席作戦は、ぼう大な金と時間の消費に終わった。
「朝日新聞まで猛批判」とあるように、いつもは野党にやさしい朝日新聞も、ことのきはさすがにあきれた様子だ。
「空転国会 折れた野党」
「満額回答にほど遠い」
「国会の正常化は、与党ペースで決着した」
と「結局、野党は何をやってたんだぜ?」という調子で書く。
読売新聞も「野党 欠席戦術に限界」と批判する。
審議に戻ったら戻ったで、野党はこのときのことを揶揄(やゆ)される。
fnnニュース(2018年5月26日)から。
自民・小泉 進次郎筆頭副幹事長は「野党の皆さん、18日間でしたっけ。国会を休まれて。それで、質問時間が足りないというのは、まずどういうことなのか」と述べた。
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結局、18日の審議拒否とは何だったのか?
安倍政権を倒すことも、麻生大臣を辞任に追い込むことすらもできなかった。
一時は20%台にまで落ち込んだ政権支持率も、最近は回復傾向にある。
それでも、モリカケ問題で国民の7割は総理の説明に納得していない。
安倍政権を信頼していない国民は多い。
そんな状況でも野党は支持を集められず、新潟の選挙で敗北してしまう。
チャンスをいかせず、自滅した。
この間、野党議員は「MeToo」や日大アメフト問題を安倍政権に重ねて批判していたけど、これも効果と呼べるほどのものはなかった。
いまの国民に、パフォーマンスはもう通じない。
なんで政治パフォーマンスは通じなくなったのか?
その大きな理由はネットでしょ。
報道研究者の米重克洋氏が行った調査によると、今回の新潟知事選では、若い人たちとお年寄りの間で支持傾向がハッキリ分かれている。
年代別に見ると、60代から80代までの世代では池田氏への支持が上回る一方、20代から50代までの世代では花角氏への支持が上回っている。
「新潟県知事選 池田氏と花角氏横一線 終盤までもつれる大接戦に=JX通信社 独自情勢調査」
若い人が与党を支持して、お年寄りが野党を支持していたことは、去年の衆議院選挙でも同じ。
ネットを使う人たちは、特定の新聞やテレビから情報を得ている人よりも、接する情報の種類が違う。
例えば、産経新聞と朝日新聞では、価値観や考え方が大きく違う。
いろんなマスコミや個人が発信する情報に接している人は、それぞれを比較することができる。
だから政治パフォーマンスに対しても、いろんな角度から見ることができるから、それに動かされにくいのだと思う。
言い替えれば、マスコミの影響力が低下したということでもある。
2000年の「神の国解散」のときの日本なら、新潟知事選の前に、安倍政権はつぶされていただろう。
いろんな問題があるにもかかわらず、安倍政権に国民の支持が集まっている。
ジャーナリストの田原総一朗氏も、その理由が理解できない。
しかし、それでもなぜ国民は、安倍内閣を支持するのか。僕の長いジャーナリスト人生でも、これだけ問題山積みの内閣が、支持率を下げるどころか、上げるなんてことは初めてだ。
与党も野党もメディアも、この初めての状況に、とまどっている。
この理由は一つや二つではない。
ただ、安倍内閣を支持するというより、「パフォーマンスで訴える野党が信頼できない」ということは大きいはず。
安倍政権を倒すのはいいけど、その後、日本はどうなるのか?
日本を安心してまかせられるイメージを、野党は国民に伝える努力をしてほしかった。
今回の知事選の結果には、ヤフコメの「野党はなぜ国民に支持されなくなったのかを考えるべきだ」に本当に多くの同意が集まっている。
国民は、政権批判のネガティブキャンペーンに飽き飽きしている。
それが今回の選挙結果にも表れた。
だから野党はしっかり対案や政策を出して、国民にアピールしてほしい。
でないと、安倍政権の隠ぺい体質じゃなくて、野党の「政権批判ばっか」の態度が民主主義を崩壊させてしまう。
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