関係最悪の原因は? 韓国を誇るのもいいが、日本の協力を無視しないで

 

韓国についてのネット用語に「ホルホル」がある。
韓国の人たちが自国を誇りに思って「エッヘン」となった状態をこういう。
たとえば1960年代後半から始まった経済成長・漢江の奇跡はその代表例だ。
これによって貧しかった韓国は経済大国へ大変身したと、朝鮮日報のコラムにある。(2019/06/09)

大韓民国の歴史で最も誇らしい事実は世界の最貧国が世界10位圏内の国になった奇跡である点に誰も異議はないだろう。

政権博物館と化す大韓民国歴史博物館

 

「最も誇らしい事実」や「誰も異議はないだろう」という状態を日本では「ホルホル」という。
でも、世界最貧国だった韓国を先進国圏内の国にした「漢江の奇跡」は確かにスゴイ。
そんな韓国の発展を象徴するのがソウル地下鉄だ。
当時の首都ソウルには人々を大量輸送できる交通機関が必要で、1974年8月15日、韓国初の地下鉄であるソウル地下鉄1号線が開通した。

前回の記事で、ソウル大学建築学科のソ・ヒョン教授が書いた中央日報のコラムを紹介した。(2019年06月07日)
このスペシャリストがこの地下鉄を絶賛している。

檀君以来、大韓民国最高の造形物は何かを挙げるとき、地下鉄を忘れてもらっては困る。ソウルに地下鉄がなかったら、韓国現代史も別のものになっていただろう。ソウルに地下鉄がなかったら、韓国現代史も別のものになっていただろう。

地下鉄で臭いがしたら=韓国

 

このコラムには、ソさんが留学生だったときに利用したニューヨークの地下鉄について書いてある。
そのころニューヨーク地下鉄の地下鉄構内には、「あなたを目的地まで乗せてくれる。だが、それ以上は何も期待するな」という一文があったという。
ソさんが地下鉄に乗ったらそのとおりで臭いや振動はすごいし、夜は犯罪者に襲われる危険性もあった。
そんな地下鉄と比べてこう書く。

これに比べて韓国地下鉄は安全度でも世界最高だ。(中略)ニューヨーカーには理解できないだろう

 

韓国では終電に乗った若い女性が不安に思うことは、「カメラの盗み取り撮影」ぐらいだと。

ということで上の朝鮮日報と中央日報のコラムで下の2点が分かったと思う。

大韓民国の歴史で最も誇らしい事実は「漢江の奇跡」。
大韓民国最高の造形物は「地下鉄」。

誇りに思うのはいいのだけど、その背後にあった日本の協力にもふれてほしい。
そうしていれば日韓関係はいまのように、「戦後最悪」と呼ばれるほど悪化しなかっただろう。

 

 

大韓民国の歴史で最も誇らしい事実は「漢江の奇跡」という。
ただ、人間が起こす奇跡にはタネと仕掛けが必要で、韓国の奇跡的な経済成長の影には日本の協力があったのだ。
1965年に日韓が国交を結んだ際、請求権協定を結んで日本は韓国に5億ドルという巨額の経済協力金をわたしている。
この資金の他にも日本人は韓国にさまざまな技術指導をした。
これが奇跡のタネのひとつ。
「世界の最貧国が世界10位圏内の国になった奇跡」の主人公は韓国人でも、日本がその資金を提供したのだ。

大韓民国最高の造形物である「地下鉄」にも、日本の資金援助や協力があった。

日本の技術協力により建設され、開業当時の電車は全て日本製であった。地下鉄建設に日本は8,000万ドルの借款を供与し、長期にわたり現地指導、および日本国内研修を実施してきた

ソウル地下鉄

もしソウル地下鉄に乗るときがあったら、運転手が「指さし確認」をしているか見てほしい。
あの確認方法は日本のやり方だ。

 

さて、ソウル地下鉄の開通式が行われたのは1974年8月15日だった。
この日は日本にとっては終戦記念日で、韓国では独立を回復した記念日になる。
日本の敗戦日が選ばれたのは偶然であるはずがない。
日本の協力によって完成した韓国初の地下鉄の式典に、韓国側は1人の日本人も招待してくれなかった。
韓国にくわしいジャーナリストの黒田勝弘氏はこうなげく。

地下鉄一号線の建設には日本の経済協力資金が投入され日本の技術者が多数加わったが、完成式に日本人は招かれなかった。こうした韓国に対する過去補償的な日本からの経済技術協力はソウル地下鉄をはじめ韓国発展の基礎になった。しかし、“日本隠し”によってこうした事実は韓国ではほとんど知られていない。残念なことだ。

「‘日本離れ’できない韓国 (文春新書) 黒田勝弘」

 

韓国のメディアや政治家は、戦前戦中の日本から受けた被害はくり返し伝えるが、戦後の日本から受けた協力は隠そうとする。
闇と光を国民に伝えていたら、いま韓国は日本との関係でこれほど悩む必要はなかったはず。

 

このプレートはタイの首都バンコクの地下鉄にあったもので、日本の協力に感謝の気持ちを伝えている。

 

開通式はもう終わってしまったから、今さらどうしようもないが、日本の貢献をプレートに刻んで市民に見せることなら可能だ。
というタイの常識が韓国に通じるはずもなし。

でもやっぱり、大韓民国の歴史で最も誇らしい事実は「漢江の奇跡」や、大韓民国最高の造形物である「地下鉄」について書くなら、日本の協力にもふれてほしい。

 

日本の支援をうけて橋が造られたことを伝えるカンボジアのプレート

 

 

こちらの記事もどうぞ。

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

2 件のコメント

  • おっしゃるとおりです。
    それと韓国人は、日本経済のV字回復は、朝鮮戦争のおかげだという論調も大好きですよね。

  • そうです。
    日本の経済成長は朝鮮戦争の特需ということをよく言います。
    それで韓国は独立を維持できたわけですが。
    そういえば、漢江の奇跡がベトナム戦争の特需である視点は、韓国の記事では少ないですね。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。