友人のように見えて実は敵。
そんな人物をフレンドとエネミー(敵)を合わせて「フレネミー(Frenemy)」という。
「友を装う敵」、「ライバルと同時に友である者」という意味のこのことばについて詳しいことはフレネミーでどうぞ。
外敵よりも、内部にいる敵のほうがやっかいことはよくある。
韓国文政権の立場に近いハンギョレ新聞にきのう、市民団体の代表キム・ヒョンジョン氏によるこんな寄稿があった。(4/2)
2015年合意はそもそも「書き換え可能な代物」ではなかった。「慰安婦」問題は、全人類が末永く記憶し、再発を防止しなければならない反人道的犯罪であり、世界の重大な人権・女性問題だからだ。(中略)そのような合意の直後に、ドイツの首相が自ら謝罪する考えは「毛頭ない」と言ったとしたら?
対日歴史対応、このままでいいのか
このキム・ヒョンジョン氏については初耳なんだが、これを読んだだけで、かなり反日的な市民団体の代表ということはよくわかった。
「慰安婦」は世界のいろんな軍隊でいたのでひとまとめにはできないけれど、日本軍によるものであれば「反人道的犯罪」は確認されていない。
日本と韓国、それとアメリカ政府でさえこの件については、日本軍の戦争犯罪を裏付ける根拠はひとつも見つけられなかったのだから。
日韓の外相が握手をして、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を世界に約束した15年の合意を、いまになって「そもそも「書き換え可能な代物」ではなかった」と言い出す。
日本と韓国の関係を、600万人ものユダヤ人を虐殺したナチス=ドイツとその被害国であるイスラエルになぞらえるのも見当違い。
韓国が比較できるのは、同じ日本統治という過去をもつ台湾だ。
先ほど安倍前首相に向けてこんな感謝のことばを述べた台湾は、日韓関係をナチスとイスラエルに置き換えるようなことはしない。
「合意の直後に、ドイツの首相が自ら謝罪する考えは「毛頭ない」と言ったとしたら?」
まず日本とドイツの首相をすり替えてはいけない。
日本は当時、安倍首相が心からのお詫びの気持ちを表明して10億円の支援金をわたすなど、慰安婦合意で約束したことをすべて誠実におこなった。
だから、約束になかった謝罪要求を断るのは当然のこと。
謝罪する気は毛頭ないと安倍氏が強く言ったのは、追加要求に応じることも、合意内容を1ミリでも変更することも絶対にないという強い決意からだ。
キム氏は文大統領も批判する。
慰安婦問題については、被害女性が納得できる解決が大事で日韓合意では解決できないと、文氏はこれまで何度も強調してきたのに、対日関係を重視するようになると態度急変、ことし1月の演説では国民に向かってこう発言した。
しかし今年初めには、韓日関係の改善を理由として、2015年合意を認めるという衝撃的な立場を発表した。
それまでの文大統領にとっては、こういう反日的で妥協を許さない人物はいい味方で、こういう人たちから支持を受けてきた。
その期待に応えるように文大統領は慰安婦財団を解散させ、合意を紙切れに変えた。
でもそんな反日強硬策が行き詰まりを見せ、韓国政府は対日融和に力を入れるようになる。
きょねん11月の国際会議で「日本の菅総理、お会いできて嬉しいです」と笑顔でラブコールを送ったのはその表れだし、ことし1月、日韓合意を「政府間の公式合意」だと明言したのもそうだ。
キム氏にとってはこの変節が許せないようで、「せめて今からは「被害者中心主義」の原則へと立ち返らなければならない」と対日歴史対応を変えろと訴える。
局面が変わって日本を重視する文大統領にとってはこういう昔の支持者が、いまとなってはわずらわしい存在に感じているはず。
韓日関係を何とかして改善したいいまの韓国政府には、「反人道的犯罪」なんてことばが出てくる雰囲気はなく、むしろこういう強い日本批判はおさえる方向にある。
日本に近づけばそれだけ、フレネミーも増えてくる。
日本がこの件で韓国にゆずる気は1ミリもないし、どんなに苦しくてもそれは自分の過去の行いの結果。文大統領にはまとめてツケを払ってもらうしかない。
その点、蔡総統は一貫しているから、こういうムダや悩みはない。
日韓関係が日台関係のようになる日はくるのだろうか。
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当分ないですね。あと50年は必要でしょう。
というのも、米国はじめ連合軍が日本人に対して教育を通じて植え付けた「自虐史観」から多くの日本人が覚めるまでに、戦後50年くらいを要しました。でもそれは、自国がそのようにひどい国ではなく、誇りを持って良いだったという方向で目覚めたのです。