【タルサ暴動】アメリカの歴史上、最悪の人種間暴力・虐殺事件

 

これから書くことはアメリカの歴史上、最大級と言われる人種間暴力、1921年にオクラホマ州で起きた「タルサ暴動」について。
“虐殺”とも呼ばれる事件だから、ハッピーな内容ではないのでそのつもりで。

でもまずは、人種差別が空気のように当たり前だった当時の時代背景を知っておこう。

日露戦争が始まった1904年のころ、アメリカの南部では白人が黒人をリンチして殺してしまうことは珍しくなかった。

たとえばAFPの記事(2015年2月12日)によると、白人を殺害したと思われた黒人男性ルーサー・ホルバートは妻とみられる黒人女性一緒に大勢の白人からこんな私刑を受けた。

2人は木に縛り付けられて指を切断され、暴漢たちはその指を配った。ホルバートは耳も切り落とされ、頭蓋骨が砕けるまで殴打された。さらに暴漢たちは大きなコルク栓抜きで2人の体に穴を開け、肉の塊を取り出したという。

黒人リンチで4000人犠牲、米南部の「蛮行」 新調査で明らかに

 

このときのアメリカ南部では、白人による黒人リンチは「エンターテインメント」。
白人はレモネードを飲みながら黒人が拷問される様子を見て、殺害した後は切断された身体の一部を「お土産」として持って帰ることもあったのだ。

くわしいことはこの記事を。

米の人種差別:かつて白人はこうやって黒人リンチを楽しんだ

タルサ暴動が起きたのはそんな時代。

*日本が国連で人種差別撤廃を主張しても拒否られるわけだ。

日本が世界初!1919年に「人種差別撤廃案」を国連に提出

 

破壊され、略奪され、燃やされるタルサ市の黒人居住区(グリーンウッド地区)

 

オクラホマ州は1907年につくられた新しい州で、これからの可能性に満ちていた。

チャンスを求めてたくさんの黒人がオクラホマ州へやってきて、彼らのコミュニティを形成する。
そこでは多くの黒人が成功して、「黒人のウォール街」(グリーンウッド地区)と呼ばれるほど繁栄する地域を作り上げた。

そこへ最悪の人種差別主義者で、白人至上主義団体であるクー・クラックス・クラン(KKK)が登場。
彼らは北方系の白人だけが魂を持ち、神によって選ばれた人間と考えていた。
そして他の人種を“駆除”していく。

1923年にはオクラホマ州だけで2,500件以上の暴行事件を起しており、放火や殺人が日常的に行われた。暴力行為も凄惨の限りを尽くし、両手を攻撃、縄で縛って列車に轢かせる、焼印を押すなど残虐さを極めた。

クー・クラックス・クラン

初期のKKKメンバーを描いた絵

 

タルサ人種暴動が起きたころ、1923年のKKKメンバー

 

KKKメンバーだけでなくて、この当時、黒人を当然のように差別・蔑視する白人は普通にいた。
彼らにとって、成功した黒人というのは許しがたい存在だ。

オクラホマ州タルサ市で1921年、17歳の白人女性がエレベーターで黒人青年に襲われるという事件が発生。
これがきっかけだった。

 

当時の記事の見出しには、いまでは黒人に対する差別用語の「Negro」(ニグロ)がある。
現在のアメリカでマスコミ関係者がこのことばを使ったら、きっと社会的に抹殺されてしまう。

 

怒り狂った大勢の白人が、アメリカで最も繁栄していた黒人社会のひとつだったグリーンウッド地区を襲撃する。
英語版ウィキペディアで、「the single worst incident of racial violence in American history」と表現されるアメリカの歴史上、最悪の人種間暴力事件「タルサ暴動」が始まった。

 

破壊され、略奪され、燃やされたあとの黒人居住区

 

このときの犠牲者の数は正確には不明ながら、300人にのぼるという説がある。

1200以上の家に職場、学校や教会などが破壊されて町は廃墟と化す。
被害は2019年のレートで3200万ドル(約35億2千万円)という。
そして1万人(ほとんど黒人)がホームレスとなった。

The Red Cross estimated that 10,000 people, mostly black, were made homeless by the destruction.

Tulsa race massacre

 

massacreとは「虐殺」のこと。
英語版ウィキペディアの説明ではこの言葉がよく使われている。

「The Tulsa race massacre (also known as the Tulsa race riot, Greenwood Massacre, or the Black Wall Street Massacre)」

こんな時代に日本が人種差別撤廃を主張しても、欧米列強が受け入れるはずない。

日本が世界初!1919年に「人種差別撤廃案」を国連に提出。

 

 

タルサ暴動の悲劇を伝えるポストカード
と思ったら、じつは黒人に対する“勝利”を祝うために白人がつくったポストカードだった。

 

現在のアメリカ人はこの歴史上、最悪の事件をどう思っているのか?
大学で歴史学を専攻したアメリカ人に、メールで聞いてみるとこんな返事がきた。

I think most people don’t know about the Tulsa Race Riots
The people in power in the US government don’t want people to know about it.

意外なことに、アメリカ人のほとんどはタルサ暴動のことを知らないようだ。
アメリカ社会で力のある人たちは、このことを人々に知らせたくないからという。

I think we should spread the true history so that more people know.
Black people were working very hard to create a successful community, but that community was destroyed by racists.

より多くの人が知るように、正しい歴史を広く伝えていくべきだという。
黒人が懸命に働いて成功をつかんだけれど、それは白人の人種差別主義者による暴動で破壊されてしまった。

日本の歴史でこれに似た出来事を考えてみたけど、さっぱり見当たらない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。