日本の処理水:反日と恐怖を煽る政治家・メディアに韓国学会が科学を示す

 

「臆病者の目には、敵は常に大軍に見える」とは織田信長のことば。
恐怖心から、実態を超えてどんどん巨大化していった結果、心の中に現れた幻影に怯えてしまうことは誰にでもある。
地面に落ちてる布を勝手にヘビと思ってしまい、身動きが取れなくなるような。
実際は大したことないのに、自分がつくり出した怪物に自分がやられるという残念な展開は世界中であるはず。

 

では隣国を見てみよう。

日本政府が福島原発の処理水を海に流すと発表すると、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は「技術的に実行可能で、国際慣行に沿う」、アメリカのブリンケン国務長官は「透明性ある取り組みに感謝する」と言い、どちらも日本の措置への支持を表明。
処理水の海洋放出は韓国やカナダなど他の国でも一般的にやっていることで、科学的な根拠に基づけばこれに問題はない。

だがしかし、韓国ではメディアがこんな見出しで読者の恐怖をあおり立てる。

ハンギョレ新聞の記事(2021-04-13)

「日本の福島原発放射能汚染水放流は“核テロ”…撤回せよ」

中央日報日本語版の記事(2021.04.14)

韓国首相「日本の汚染水放出は無責任な決定…もう一つの歴史的過ちを犯すこと」

世界で最も権威のあるIAEAが認めた処理水を、「汚染水」と言い換えて報じるのは悪意に満ちている。
そもそも韓国の月城原発が処理水を海に流しているのだから、「日本はダメ」では筋が通らない。

ハンギョレ新聞の記事を見ると、これからとんでもないバトルが始まりそう。(2021-04-26)

京畿道知事「日本の汚染水、命がけの闘いが始まる」…輸入水産物の放射能検査拡大

政治家がこの世に存在しない敵と闘ってどーするのか。
命がけの闘いは、まずは日本にOKを出したIAEAに対して始めるべき。

日本の海洋放出は2年後の予定なのに、ソウル市はもう動き出した。
中央日報日本語版の記事(2021.04.26)

鷺梁津など韓国水産市場でメンタイ・マダイを捜査…日本の「放射能水産物」恐怖の遮断に出たソウル市

まだ処理水を一滴も出していないのだから、いま市場の魚を検査しても現実的には何の意味もない。
でもメディアや政治家が過激な表現で反日感情や恐怖心をあおるから、市民の間では不安や動揺が広がる。すると民心を落ち着かせるために、首都がこういうパフォーマンスをしないといけなくなる。

先入観を排除して、科学からスタートしないからこんなことになる。

 

日本の処理水排出については、国民や環境への影響は特にないときょねん韓国政府が確認したはずだ。

聯合ニュースの記事(2021.04.15)

汚染水の海洋放出 「科学的に問題ない」=韓国政府報告書

なのに年が明けると、「もう一つの歴史的過ちを犯す」と首相が日本に怒りだすという謎。
こんなに都合のいい記憶喪失があるとは。

政治家やメディアのあまりの反日扇動・事実のわい曲に、韓国の専門家が立ち上がった。
韓国原子力学会は日本の処理水放出について、韓国国民への「影響は微々たるもの」と発表する。
いま福島原発でためている処理水すべてを、そのまま1年で海に放出したとしても、「韓国国民が受ける被ばく線量は許容される線量のおよそ3億分の1で無視できる水準だ」と指摘。
日本は処理水を30~40年かけて薄めて放出する予定だから、韓国国民が受ける実際の“被害”は無視できる水準のさらに下になる。

いま国民に損害を与えているのは、「核テロ」、「命がけの闘いが始まる」、「日本の『放射能水産物』恐怖」と、ありもしない恐怖を拡散している人たちだ。

日テレニュース24の報道で韓国原子力学会がこう苦言を呈する。(4/27)

「ほとんどの韓国メディアが放射能の恐怖をあおる報道をしている」と苦言を呈した上で、韓国政府に対しても「政治的で感情的な対応を自制し、科学的な事実を土台として問題を解決するよう」促しています。

韓国学会“処理水”「影響は微々たるもの」

 

政治的で感情的な対応を否定し、科学に基づいて考えれば許容水準の3億分の1で「無視できる水準」でしかない。
それを無視して現実からかけ離れた過激表現を連発するから、消費者が市場に足を運ばなくなって水産業の人たちが悲鳴を上げることになる。

臆病者に「敵は常に大軍に見える」というのは仕方ない。
でも政府やメディアが「放射能汚染水」という化け物を見せて、国民を臆病者にさせるのはダメだろう。これで自分たちの都合のいい方向へ世論を誘導する。

韓国学会が冷静さを呼びかけたという報道は読売新聞もしていた。(2021/04/27)

韓国で、処理水放出に反対する市民団体による抗議デモや、不安をあおるようなメディアの報道が相次ぐ中、科学者が冷静な対応を促したものだ。

韓国原子力学会「処理水の影響、微々たるもの」…韓国政府に「政治的・感情的対応の自制を」

 

でもいま中央日報、朝鮮日報、ハンギョレ新聞のサイトを見てみたけれど、この大事な記事が見当たらない。
中央日報は代わりに、「地球で最も大きな井戸を汚染させる」という表現の見出しの記事を載せていた。
韓国原子力学会の声は国民に届きそうにない。

 

 

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3 件のコメント

  • 韓国人は理性的判断よりは感性の判断に左右される傾向が強いです。
    1653年に朝鮮に漂流し、12年ぶりに脱出して日本に渡った Hendrik Hamelは、朝鮮人は他人をよくだますが自らもよくだますと言った。日本の原発処理水を海洋放流するという噂をメディアで報じれば、水産市場は打撃を受けます。科学も真実も関係なく、日本がすれば何でも悪いと思うからです。
    国際社会の判断を信じるよりも、放射能で海が汚染されたと感情的に報道するメディアを信じています。
    非常に胸が痛いことです。

  • 韓国原子力学会が安全だ、感情的に反応してはいけないと言っても、政治家やメディアが騒ぎ出すから難しいですね。

  • > (韓国人は)国際社会の判断を信じるよりも、放射能で海が汚染されたと(つまり日本人が悪いと)感情的に報道するメディアを信じています。

    本当にそうですかねぇ・・・? それほど単純な話じゃないでしょうに。
    韓国のメディアも人も、色々なパターンがあると思いますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。