日本、アメリカ、ドイツなど7カ国で構成される「G7」は、最も裕福な自由民主主義国で、経済や軍事、外交面で国際的に大きな影響力を持っている。
韓国には、自国がそこに加わり、世界的に認められる大国になりたいという悲願がある。
そして、韓国は2026年には、一人当たりの国民所得が4万ドルを超えるから、G7への加入資格は十分にある! と韓国メディアの『毎日経済』が記事で強調している。(2024-05-28)
“2026년 소득4만弗 넘는 韓 G7 가입 자격 충분히 갖춰”
韓国が入ると「G8」になるのだけど、まぁ細かいことは置いといて、とにかく意気込みは伝わった。
しかし、このグループには経済力のほかにも、「自由民主主義」という価値が尊重されているのだけど、韓国さんはその点は大丈夫かな? というのが今回のテーマだ。
日本と韓国の立場や考え方の違いが“モロ”に出ているのが、LINEヤフーの情報流出問題だ。
LINEヤフーが韓国の大手IT企業ネイバーに情報の管理を委託していたところ、ネイバー側に情報流出が起こり、日本の情報も漏れてしまった。
日本政府はこれを重大な問題と見なし、総務省がLINEヤフーに対し、二度とこんな事態が起こらないように、ネイバーとの資本関係の見直しを求めた。
そして、LINEヤフーとネイバーとの間で、持ち株の売買の話が行われた。
この件に関し、韓国では反応が真っ二つに分かれている。
先日、訪韓した岸田首相と会談を行った尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、「(総務省は)ネイバーに株式の売却を求めたものではないと理解しており、韓日の外交関係と別の事案として認識している」と述べた。
日本政府の立場もこれとほぼ同じ。
持ち株比率をどうするかは、当事者の企業同士が話し合って決めることで、これを日韓の外交問題に発展させ、関係を悪化させるべきではないと考えている。
しかし、もしネイバーがLINEヤフーに株を売却すれば、経営権を失うことになるから、韓国内では「カンタル(強奪)だ!」と激しい反発が巻き起こった。
特に野党や支持者がこの出来事を利用し、政府を攻撃するために、反日感情をあおったことで国民の怒りが激化した。
朝鮮日報の記事(2024/05/13)
「伊藤博文の子孫がLINE侵奪」…韓国最大野党・共に民主党、連日の反日・弾劾攻勢
最大野党の代表・李在明(イ・ジェミョン)氏はSNSに、「伊藤博文 朝鮮領土の侵奪 伊藤博文の子孫 韓国サイバー領土 LINEの侵奪」と書き込んだ。
初代韓国統監を務めた伊藤博文は、韓国では「朝鮮侵略の元凶」として憎悪の対象になっている。
また、別の野党代表は竹島(韓国名・独島)に上陸し、日本への対抗心をアピールした。
日韓両政府は、こうやって問題をあえて大きくしようとする勢力に頭を悩まされている。
日本人にとっては、韓国側のこうした反応は常識の斜め上にあるから、ある日本人が朝鮮日報の記者にこんな疑問をぶつけた。
「なぜ『反日』につながるのか、100年も前に亡くなった人物と何の関係があり、領土問題がそこになぜ登場するのか分からない」
これには記者も返答に困ったらしい。
日本の反応を見ると、今回の件で、松本総務相が伊藤博文の子孫だということを初めて知ったという人が多い。ほとんどの人が上の疑問に共感するだろう。
伊藤博文が松本総務相の高祖父だからといって、それが一体何なのか?
今回の情報流出問題と日本の初代総理大臣はまったく関係ないのに、韓国では公に「血」を問題視し、相手を非難する人がいて国民の支持を集めている。
2020年に、アメリカの韓国大使をしていたハリス氏にもそんなことがあった。
アメリカ政府の指示を受け、ハリス大使が当時のムン・ジェイン政権に対して、対北政策でアメリカと協力するよう求めたところ、政府の支持者に“内政干渉”と見られ、「朝鮮総督のように振る舞っている」と嫌われた。
それは、ハリス大使の母親は日本人で、彼は口ひげを生やしていたからだ。
日本が統治していた時代、朝鮮総督には口ひげのある人が多かったから、それと大使を重ねてレッテルを貼って非難する人たちがいた。
(安重根も口ひげを生やしていたのだけど)
ハリス大使の母親は日本人で、口ひげを生やしていた。
ハリス氏に日本人の血が流れていることを指摘し、あるブロガーは「彼を嫌う理由としては十分だ」と書く。
この辺の発想は、松本総務相に対する攻撃と変わらない。
当時、韓国内の反応を見て、米CNNは記事で「ほとんどばかばかしい批判だ」と一蹴。(Fri January 17)
同質性の高い韓国社会で広がる人種差別意識(the prevalence of racism in such a homogenous society)を指摘した。
そして、アメリカ国籍を持ち、アメリカ市民であるハリス大使に対し、日本人の血を引いていることを理由に彼を非難することは、アメリカではほぼ間違いなく人種差別主義者(racist)とみなされる、と強く非難した。
Harris isn’t Japanese, he’s a US citizen. And calling him out for his Japanese ancestry would almost assuredly be considered racist in the United States.
Racism, history and politics: Why South Koreans are flipping out over a US ambassador’s mustache
アメリカは人種に関する問題にはとても厳しい。
今回の情報流出問題で、日本は日韓関係が悪化しないよう配慮しているから、野党代表が「血」を問題視しても、メディアはほとんどそれを取り上げない。
ここで日本が非難すれば、野党に攻撃材料を与えることになるから、反日がさらに激化することは明らかだ。
しかし、体に流れる血を取り上げて、相手を非難するやり方をG7メンバーが歓迎するとは思えない。人権を尊重する民主主義社会において、それは最も嫌われる発想だ。
尹政権は非難しているから、これが全韓国を代表する意見ではないけれど。
企業の持ち株比率に話がなぜ『反日』につながるのか? 100年も前に亡くなった人物と何の関係があり、領土問題がそこになぜ登場するのか分からない、という疑問はほかのG7の国民もきっと同じだ。
韓国は、国内と海外の常識や感覚の違いを埋めたほうがいい。
世界的な先進国になるには、一人当たりの所得が4万ドルを超えるだけでは不十分だ。
首都の真ん中で外国大使を侮辱するような行為は、結果的に大韓民国を侮辱することになる。
この文を読んで韓国人として恥を感じました。
私が考えても韓国社会はまだ前近代的です。種族主義的で全体主義的です。
特に、日本についてはその異常の度が限度を超えます。日本を憎むのはある程度理解できますが、あまりにも無視します。
韓国の正常な知識人はこのように言います。「韓国は世界で日本を過小評価する唯一の国であり、日本は世界で韓国を過大評価する唯一の国だ」
実際、まだまだ韓国が日本を追い越すのは無理な状況なのに、韓国人は日本をすでに追い越したと思っている人が多いです。特に、国民の年俸水準が日本より高くなったことを非常に誇りに思います。韓国の大手企業(サムスン、LG、SKなど)の社員の年収は、数年前にすでに日本の大手企業の社員の年収を上回っており、かなりの中小企業の社員の年収も日本より高いです。
それでもっと日本を無視する傾向が大きくなりました。
しかし、それは錯覚であるだけで、本文に書かれているように、まだ韓国は自由民主主義の意味すらきちんと分かっていないのが現実です。
相手にレッテルを貼って攻撃することは日本でもあります。
しかし、韓国の政治では特にその傾向が強いと思います。
今回の問題も、総務省に伊藤博文の「レッテル」がついたことで、韓国世間の見方に大きな影響を与えました。
野党にとってはそれで作戦成功ですが、関係ない第三者の外国人から見たら、「血筋」を問題視するやり方には抵抗を感じる人が多いと思います。
「日本たたき」に夢中の人はその視線に気がつきません。