人種差別に交流拒否、韓国の犬肉食に対する欧米人の嫌悪感

 

10年以上前に韓国を旅行したとき、宿にいた日本人旅行者から、

「いまから犬肉料理のレストランに行くんですけど、一緒に行きませんか?」

と声をかけられてドキッとした。
日本ではできな(くもな)い体験だから、チョット心が動いたけど、やっぱりそれは無理だからお断りをする。

いまの韓国にもこの習慣はあるし、日本にはクジラを食べる文化がある。
個人的には外国人が何を食べようとその国の勝手で、他人の食文化に口を出すヤツは「馬に蹴られて〇ねばいいのに」と思ってる。
でも最近の韓国では、特に若い人たちは犬肉を食べないし、この食文化をどうするかをめぐって社会的な議論がよく起こる。

中央日報の記事(2022.06.15)

韓国大統領夫人発の犬肉論争…犬肉食べない20~30代が反発

キム大統領夫人が「経済規模がある国のうち犬を食べるのは韓国と中国だけ」と反対意見を出すと、「犬肉食は法で禁止すべきだ!」という主張と、「いや、それは個人の選択に任せるべき」という意見が衝突。
若い世代でも「犬肉は嫌いだが法制化には反対」という人が多いから、この問題の扱いはホントにむずかしい。

韓国の犬肉食を取り上げることはいいんだが、それを差別に使ってはいけない。

中央日報の記事(2023.02.21)

<サッカー>「孫興ミン、犬肉でも食べろ」人種差別、ACミランも「レッドカード」糾弾

イングランドのチーム「トッテナム」に所属するソン・フンミン選手に対して、相手チームのサポーターとみられる人物が「犬肉でも食べろ」、「犬肉を食べてゴールを入れた」とツイートし、これは人種差別だと問題になっている。
ソン選手は2021年にも、「犬肉」のワードで侮辱的なことを言われた。

ただ、これを差別や侮辱と考えていない人たちもいる。
かつてイギリスのマンチェスター・ユナイテッドで活躍した朴智星(パク・チソン)選手の応援歌として、こんな「犬肉ソング」が歌われた。

「朴、朴、お前がどこにいようが、お前の国では犬を食べる。だけど、お前がリバプールだったら、もっとひどいことになるかもしれない。奴らは賃貸住宅でネズミを取って食べるから」

パク選手のファンで、応援するためにこれを歌うヨーロッパ人の感覚がわからない。

一方、日本のネット民はこのニュースに高みの見物のようす。

・日本人に鯨肉食べろっていうのが差別か?
・文化の否定
・日本人に「海苔でも消化してろ」とか博識な罵倒を浴びせるフーリガンと仲良くなりたい
・まあ英国人にオートミール食ってろとか差別だし
ドイツ人にジャガイモ野郎とかダメ

でも、これは他人事ではない。
ヨーロッパの国で街中を歩いていたら、「犬食い野郎は出ていけ!」と言われた日本人もいるのだから。
ヨーロッパ人に日本・中国・韓国人を見分けることなんてできないから、日本にいれば「大変ですね」とだけ思っても、海外に行けば日本人もこうした人種差別に巻き込まる可能性はある。
アジア人への差別は日韓中に共通する問題だ。

 

人種差別行為は論外だとしても、これはビミョウ。

中央日報の記事(2023.02.10)

韓国の青少年、犬食文化のため米国語学研修が座礁

韓国の地方自治体が友好都市関係にあるアメリカのパリセーズパーク市へ、語学研修のために高校生を送ろうとしたところ、「韓国国内の犬食文化を嫌悪する現地の世論のため中止になった」という。
その自治体は「文化的な違いとして理解するのが望ましい」とこれを受け入れた。
でも、その高校生たちは犬食はしないだろう。
それなのに英語学習と文化体験の機会を奪われた彼らは、きっとこれから反対運動の戦士となる。

 

「犬肉でも食べろ」は人種差別だから、これを言った人間は相応のペナルティーを受けないといけない。
でも、それが理由で交流が中止になったことには、不本意ながら韓国側は文化や価値観の違いとみている。
知ってはいたけど犬肉食に対して、欧米人の嫌悪感がここまで大きかったというのは正直、意外だった。

日本からその習慣を無くしてくれた徳川綱吉には感謝しかない。

【食文化の脱・東アジア】日本人が犬肉を食べなくなった理由

 

 

韓国の犬食事情。欧米人の批判に国民反発・日本にはない事件

イギリス人が韓国の犬食、日本のイルカ/クジラ食に反対する理由とは?

世界の食文化:韓国と台湾と日本の犬食、食べるなら今でしょ!

旅㉑おにぎりをめぐる日本と中国・韓国の食文化のちがい

国連もおすすめ!人類を救う昆虫食。外国人はもう食べている

日本人の食文化:江戸は犬肉を、明治はカエル入りカレーを食べていた

 

3 件のコメント

  • 1988年のソウルオリンピックを前に、フランスの女優Brigitte Bardotが韓国人が犬肉を食べるので韓国に行くなとキャンペーンを行ったことがあります。当時、韓国人は彼女を激しく糾弾しました。しかし一方では恥ずかしかったのも事実です。人に最も近い忠誠心のある動物を食べることを決して誇りに思うことはできないからです。その時、韓国人は二つに分けられました。
    一つは、”他人の国の文化に干渉するな”ということで、もう一つは”世界の常識に従うのが正しい”という考えでした。幸いなことに、現在の韓国人の中で犬の肉を食べない人がはるかに多くなりました。文化だとこだわるより、世界の常識に反するものなら改善した方がいいです。

  • これは韓国人が決めることで、他人が口を出すことではないですね。
    日本でもイルカやクジラを食べることに、西洋人から批判があります。
    伝統でもあるし、むずかしいです。

  • ノルウェーとかはクジラ取っても文句言われてないんで今だにアジア人=未開の人で認識してそう。
    白人の進んだ文明文化で、脱未開させてやろうという変な上から目線より厄介な正義感から来てそう。
    別に欧米に行って犬猫クジラ食べるアジア人いないし、迷惑かけてないのに文句つけられて可哀想。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。