神か人か? 日本人とイスラム教徒、最高の感謝の表し方の違い

 

残念ながら日本代表はクロアチアに敗れて、ベスト16でサッカーW杯カタール大会の旅を終えた。
試合に負けた直後、森保監督と日本代表選手は応援してくれたファンに向かって、深々と頭下げて感謝の気持ちを伝える。
すると、その姿に感動したFIFA(国際サッカー連盟)が「Thank you」の言葉と一緒に世界へ伝えた。

*お辞儀をする監督や選手、涙を浮かべたりゴミを拾うサポーターの写真がある。

 

 

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この投稿のコメント欄は、「日本は最高のチームだった」「日本のことは絶対に忘れない」「あなたたちはW杯の試合には負けたが、世界の心をつかんだ」といった外国人からの感謝や賞賛の声で大渋滞中。

相手に敬意や感謝の気持ちを示すために頭を下げる「お辞儀」は、日本人を象徴する動作として世界的にも有名だ。
なんで頭を下げることが相手に“尊敬”を伝えることになるのか?
その理由はよく分からないけど、東南アジアでは、子供の頭には神や精霊といった大事なモノが宿っているから、頭をなでてはいけないという国がある。お辞儀にも、頭を特別視・重要視する考え方があるような気がする。

では、海外で日本人のお辞儀はどう紹介されているのか?
英語版ウィキペディアを見てみると、こんな説明があり。

いまでは日本でお辞儀は文化に由来する社会的エチケットの基本で、敬意や社会的立場の上下を強調している。日常の挨拶からビジネスの会議、葬儀まで、お辞儀は日本社会のどこにでもあって、正しくエレガントにお辞儀ができることは、大人としての重要な資質のひとつであると考えられている。

From everyday greetings to business meetings to funerals, ojigi is ubiquitous in Japanese society and the ability to bow correctly and elegantly is widely considered to be one of the defining qualities of adulthood.

Bowing in Japan

 

W杯で見せた日本人らしい感謝の仕方がお辞儀なら、イスラム教徒のそれは、ベスト8に進出したモロッコ代表選手が身をもって教えてくれている。

 

 

イスラム教徒の選手がスポーツの試合に勝つと、こうして両手・両肘、それと額を地面につけて神(アッラー)に最大の感謝を示すことがある。
これは1日に5回する礼拝(サラート)と同じだから、子供のころから何度もやってきたイスラム教徒にとっては、日本人のお辞儀と同じように自然と出てくる動作と思われ。
この投稿にも世界中のイスラム教徒から、「アッラーは偉大なり!」「アッラーはいつも良い人間の味方です」「おめでとう!あなたたちの次の旅も、アッラーの祝福に満ちたものであるように」といった共感や祝福の雨あられ。

世界中にいるどんな人間でも、これ以上ないほどの敬意や感謝の気持ち表す瞬間はある。
でも、そのやり方は宗教や文化によってそれぞれ違う。
イスラム教徒なら神を意識して地面にひれ伏すし、基本的に無宗教で「おかげさま」の精神で暮らす日本人なら、応援してくれた人に向かって頭を下げる。
この2つが両立しない場合もあって、茶道でお茶をたててくれる先生に対して、深くお辞儀をすることを嫌がるイスラム教徒もいる。

宗教か文化か? イスラム教徒に茶道を体験させる時の注意

どんなやり方でも上下優劣はなく、それぞれが最適解。
ただ寄せられたコメントを見ると、モロッコ代表に共感や支持を示す人はアッラーを信じる人ばかりで、日本人のお辞儀には民族や宗教の壁はない。
まあ人類の約1/4はイスラム教徒だから、彼らにはどうでもいいことだろうけど。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。