【衝撃的光景】インドネシア人が日本で見た人生初のヒト

 

日本とインドネシアの共通点はアジアにある島国ってことで、最大級の違いといえば宗教に対する”熱”。
アンケート調査をすると「無宗教」と答える人が多い日本と違って、インドネシアでは国民の約9割がムスリムで、イスラム教が社会に強い影響を与えている。

インドネシアを旅行中、日本ではあり得ない光景と出くわした。
地方から首都ジャカルタへ電車で移動して、2時間ほど遅れて到着して駅を降ると、床が見えないほどの人・ひと・ヒトが座っているのを見て思わす足が止まった。(トップ画像)
何の集会か知らんけど、駅の入口でこんなことをされたら激しく迷惑じゃないか。
でも、あの帽子を見たらピンとくる。
彼らはみんなイスラム教徒でもうすぐお祈りの時間になるから、こうして礼拝の準備をしているところだった。
インドネシアの人口は日本の約2倍で、特にジャカルタに集中しているから、遅れてやってきた人はこのスペースに入りきれず、新聞を買ってそれを下に敷く。

駅の構内で集団礼拝をするというインドネシアの日常風景は、日本では絶対に見ることはできない。
でもインドネシア人が日本へ来れば、当然、立場は逆転する。

 

ひざまずいて玉音放送を拝聴する日本人を思い出した。

 

日本の桜は海外でも有名で、ことしは日本に住んでいるインドネシア人から、花見に連れて行ってほしいと頼まれたんでそのリクエストに応えた。
キレイなものを見て、楽しむ気持ちに国境はない。
植物園や公園を歩きながら、花を見ることはインドネシア人にも人気のアクティビティというが、それは花を楽しむだけでお酒を飲むことはない。
日本人のいう花見とは、桜を見ながらみんなで食べたり飲んだりすることだから、外国人にはピクニックやパーティーといったほうが分かりやすい。

イスラム色の強いインドネシアでも、アルコールを飲むことは可能だ。
多民族国家のインドネシアには中国系やキリスト教徒の国民もいるから、ビールを売る店があれば、それを買って家で飲む人がいる。
でも、インドネシア人の話では日本と違って、公園や海岸といった公共の場でお酒を飲むことはたぶんできない。
飲酒を禁止されているイスラム教徒へ、酒を飲んでいる姿を見せるのは挑発行為になってしまう。
下手したら、怒った人たちに囲まれて自分の身が危なくなるから、インドネシア人の常識としてそんなコトはやらないらしい。
公共の場で飲酒をする人なんて聞いたことないから、政府がそれを法的に禁止しているかどうかはハッキリ分からないけど、たぶん禁止されているだろうと彼は言う。

そんなインドネシア人が日本へやってきて、生まれて初めて「酔っぱらい」を見てショックを受けた。
日本人はまじめで礼儀正しいのに、お酒が入るとひょう変して、顔を真っ赤にして大声を出したり、フラフラ千鳥足で歩いている。
そんな人たちが夜の街を徘徊しているのは、インドネシアでは考えられない。
ホームレスの人が路上で寝ているのは、インドネシアで何度も見たことあったけど、スーツを着ている人が路上に座り込んでいる姿を見たのは初めてだったから、彼にとってはかなり衝撃的な光景だった。
そんなだらしない姿を見て、酔っぱらうと神(アッラー)のことを忘れてしまうから、飲酒は絶対にしてはいけないと改めて思ったという。

ジャカルタでボクが驚いた駅での集団礼拝は、この知人にとっては日常風景で、彼はイスラム教徒だからむしろその中の1人になっている。
でも、日本の夜の街では立場が逆になる。
イスラム色の強いインドネシアと、無宗教で飲酒にゆるい日本では広がる世界が違うのだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。