同じ人間でも、写真の撮り方でまったく別人のように見える。
そんな画像が海外で話題になっている。
まずはその写真を見てほしい。
インスタグラムと現実
画像を加工するアプリを使ってはいない。
この人はサラという20歳の女性で、Health Bloggerをしている。
Health Bloggerというのだから、健康的な生活をブログで提案しているのだろう。
このサラさんが、現実とネットでの姿をどれだけ変えることができるのかを画像でしめしている。
加工アプリは使わない。
角度を変えることと息を吸ってお腹をへこませるだけ。
「Boredpanda」の記事には、同じ人物だとは信じられないと書いてある。
Sara Puhto, a 20-year-old body-positive Finish blogger, shares side-by-side pics revealing how much an angle or sucking your tummy in could change in a pic. In every single one of her pics, you can see a striking difference, making it hard to believe they’re the same girl at the same time. “
角度を変えたりお腹をへこませたりすることだけで、どれだけの違いを生み出せるのか?
サラさんの写真を見てみよう。
この画像を公開することで、「ネットで目にするものすべてを、本物だと信じてはいけない」ということを伝えている。
While fit models and round booties are taking over Instagram, this blogger is trying to show the world that you shouldn’t believe everything you see online.
20年前のバックパッカーの旅と今のバックパッカーの旅の違いも、本質的にはこれと同じ。
「本当の旅とネットで見る旅には違いがある」ということ。
20年前と今の旅とを比べた場合、もっとも大きな違いはインターネットの存在だ。
20年間の旅にそんなものはなかった。
でも今のバックパッカーでインターネットを使わない人はまずいない。
インターネットを使って、自分の旅をブログやインスタグラムで公開することは当たり前になっている。
そうなると、インターネット上での旅と実際のその人の旅との間に、違いが出てくることもある。
数年前にこんなことがあった。
タイのバンコクの宿で出会った日本人のバックパッカー4人でお酒を飲むことになる。
ぼくだけ30代であとは20代の日本人というメンバー。
このときの飲み会は特別もり上がったというわけではないけど、まあふつうに楽しかった。
バックパッカーの旅でよくあるような旅話をする。
ただこの中にひとり、あまり楽しくなそうな人がいた。
口数は少ないし、他の人の旅話に興味をしめす様子もない。
1時間もしないうちに、「ボクは部屋に戻ります」と言ってその場を離れてしまう。
そんな彼に、「あの人、調子良くないんですかね?」なんて言う人もいた。
ただ、部屋に戻る前に全員で写真をとって連絡先を交換していた。
次の日、フェイスブックで彼の投稿を見て驚く。
昨日とはうって変わって、彼が笑顔で写真に写っている。
テーブルの上にはビールやおつまみがあって、その後ろに楽しそうな旅人が笑顔でならんでいる。
その写真といっしょに、彼のこんな感じのコメントがあった。
「昨日はバックパッカーと旅人トークを楽しみました。いろいろな話を聞けてともて良かったです。貴重な出会いに感謝です。ありがとうございました」
昨日の彼とネットの彼とはあまりにギャップがある。
あんまり楽しんでいる様子には見えなかったけど、じつは楽しんでいたのかもしれない。
それを考えても、この投稿で見る彼と本当の彼との違いは大きすぎた。
この投稿を見た彼の知人や友人は、「旅を楽しんでるね」「良い旅してるな」といったコメントをしている。
その笑顔は昨日見せれば良かったのに。
「ありがとうございました」という言葉も、ネット上ではなくてあの場で言ったほうが良かったと思う。
この例は極端だとしても、旅行ブロにグにはこんな傾向があると思う。
でもこれは旅行ブログだけではない。
この記事のはじめで紹介した女性と同じで、インターネット上で見せるものと現実が違っていることはよくある。
むしろ、ネットと現実がまったく同じというほうが珍しい。
もちろん、これが悪いということはない。
自分も彼と同じ時代に生まれていたら、同じことをしていたと思う。
ここまでの違いをつくるのかは分からないけど。
でも彼の投稿を見て、「こんなことは20年前の旅ではあり得なかったなあ」とは思った。
旅行ブログを見ていると、実際の旅とネットで見せる旅との違いに本人が苦しんでいる場合もある。
自分の旅をネットで伝えているつもりが、ネットで見せる旅に自分の旅が引っ張られてしまう。
「ネットで見てくれる人に楽しんでもらいたい!」という変な使命感がプレッシャーになる。
自分旅のためのブログが、ブログのための旅になっている。
いつの間にか主客が転倒してしまった。
サービス精神がある人ほどこういうことになりやすい。
これでは自分のために旅をしているのか、ネットで他人に見せるために旅をしているのかが分からなくなってしまう。
それで旅ブログをやめてしまった、という人もいた。
こういうバックパッカーは20年前にはいなかったし、そんな旅人が出現することも想像できなかった。
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