今回は、サウジアラビアの王族と天皇、イスラーム教徒と日本人の考え方の違いについて。
でもその前に、まずはサウジアラビアという国を簡単に確認しときましょ。
サウジアラビアの面積は215万平方キロメートル。
これは日本の約5.7倍。
人口は3,228万人で、日本の約4分の1。
このデータは外務省ホームページ「サウジアラビア王国 基礎データ」から。
サウジアラビアの国土のほとんどは砂漠。
日本は国土の7割が森。
日本とサウジアラビアとでは、自然環境がまったく違いますね。
日本にとってサウジアラビアはとても大切な国。
なんてったって、日本人の生活に欠かせない石油はサウジアラビアから運ばれてくるから。
サウジアラビアは,日本にとって最大の原油供給国。日本は輸入原油の約33%をサウジアラビアから調達(2015年)。
サウジアラビアと日本にはいろいろな違いがある。
サウジアラビアはイスラーム教を国教とする国で、広大な砂漠が広がっている。
日本は「無宗教」を国教とする国で、豊かな森がある。
では共通点は?
というと、「君主制」がある。
サウジアラビアには国王がいて、日本には天皇がいる。
ともに君主制の国だ。
*日本が君主制の国だというのは、下の政府見解による。
わが国は近代的な意味の憲法を持っておりますし、その憲法に従って政治を行う国家でございます以上、立憲君主制と言っても差しつかえないであろうと思います
象徴天皇制に関する基礎的資料 – 衆議院
でも、サウジアラビアの王族は日本の皇族では考えられないようなことをやる。
2017年9月5日にサウジアラビアのジッダで、サッカーW杯アジア最終予選、日本対サウジアラビアの一戦がおこなわれる。
それだけならただのアウェー戦で、「だから?」という感じのもの。
この試合で大きな話題になったのが、サウジアラビアのサルマン皇太子がやったこと。
皇太子はスタジアムの6万席を買い占めてしまう。
そしてそれを市民に無料で開放するという。
つまり、市民はタダで試合を見ることができるというわけだ。
産経新聞の記事にそのことが書いてある。
多くの国民の声援を受けようと、同国のサルマン皇太子が観客席を無料開放すると発表したという。国を挙げてサポートし、出場権獲得に全力を尽くす考えで、関係者は「皇太子の支援に感謝したい」とコメントしたという。
このチケット買い占めにかかる金額は、約7033万円だという。
ということは、チケット1人分は1172円でになる。
意外と安い。
この皇太子の行動を知った日本のネットユーザーの反応はこんな感じ。
審判買ったほうがいいよ
アラブの皇族にとったら7000万なんてコンビニでガム買うくらいの感覚だろ
一億が俺たちの千円くらいの価値だろうね
その7000万を日本サッカー協会に寄付したら良かったのにw
結婚してください
チケットの買い占めなんて、日本の皇族では絶対にあり得ない。
これは日本人とアラブのイスラーム教徒の感覚や考え方の違いだろう。
日本人は質素や素朴を好む。
たとえば、2016年の9月にサウジアラビアの皇太子が天皇陛下と面会したときのこと。
陛下が皇太子をむかえた部屋の簡素な美しさが、世界的に大きな話題になった。
どこかの外国人がアラブ式の豪華絢爛な歓迎と画像で比較している。
著作権の関係でここには載せられないから、下をクリックして見てほしい。
日本人とイスラーム教徒とでは、考え方がや感覚が違う。
日本人は「清貧」ということに高い価値をおく。
けれどイスラーム教の場合は、この清貧という考え方がないらしい。
「平等」の価値観も日本人とは違っていて、とんでもない豪華な金の使い方を平気でする。
外交評論家の加藤英明氏がこう言っている。
このようにけたはずれた贅沢ができるというのは、彼らの特徴なのか、それともこういった貧富の差が気になるのは日本人の特徴なのか。われわられは平等というと、非常に感動するわけですね。
(中略)インドでもそうでしょうけれど、イスラム圏でも貧富の差というものに対しては、きわめて無神経ですね。あって当たり前みたいなものです。
インドの場合は輪廻転生によって、どうせいつかはいっしょになっちゃうという意識があるのかもしれませんね。
イスラムの場合はそれがどこから出てくるのかというと、ちょっとわからないんですけど、コーランからということは、ないと思うんです。貧しい者は必ず救われるとも書いてないし、逆に、清貧というような概念もなくて・・・。
「イスラムの発想 山本七平・加藤英明」
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