イスラエルに首都を攻撃され、“拍手喝さい”するイラン国民がいる理由

今、日本人が絶対に行ってはいけない国がイラン。
「核とミサイル開発を止めるため」という理由で、4日前にイスラエルがイランのミサイル発射基地核などにミサイル攻撃をおこない、大打撃を与えた。それと同時に、「革命防衛隊」の司令官や軍参謀総長、核科学者などの要人を殺害した。
先日もイスラエルは、軍の司令官を殺したと発表した。イランの最高指導者ハメネイ師は、側近が次々と消され、今ごろ首筋が寒くなっているに違いない。
しかし、イランは「全面戦争も辞さない」と強気な態度を見せている。
イランの発表によると、3日間で224人が死亡し、その9割以上が民間人だったという。日本の外務省がイラン全土に「退避勧告」(最も高いレベル4)を出したのもアタリマエ。

 

ニュース映像を見ると、イスラエル軍のミサイルが轟音を立てて飛んできて、首都テヘランに着弾し、すさまじい爆発と炎が発生している。そんな地獄のような光景を見たイランの人々は、恐怖と悲しみ、そして強い怒りに包まれているに違いない。

今のテヘランの様子はどうか?
あるイラン人がSNSでこう発信している。警報が鳴ったら急いで地下の避難室に逃げ込み、安全になったら出てきて、また普段の生活に戻る――そんなことを何度も繰り返しているという。
多くの人が地方に逃げ、店や会社も入口を閉めて営業を止めている。テヘランの街から活気が消えてしまった。でも、スーパーや薬局などは開いているので、生活はなんとかできている。それでも緊張が続き、家族の心がいつまで持つか分からないという不安があるそうだ。

そこまでは分かるとして、ビックリしたのは、イスラエルを応援するイラン人も少なからずいるということだ。
あるイラン人は、「イスラエルのミサイルやドローン攻撃よりも、テヘランが攻撃されて喜んでいるイラン人がいることのほうが、はるかに恐ろしい」と言う。

自国の首都が攻撃されて拍手喝さいするなんて、通常なら考えられないことだが、今のイランにはそれなりの理由がある。

2022年、ある若い女性がテヘラン市内で、「ヒジャブ(髪を隠す布)の着け方が正しくない」という理由で警察に捕まり、その後死亡した。多くの人は、警察が彼女を暴行して殺したと信じ、それに怒った市民たちが抗議デモをおこなった。すると、政府はそれを弾圧し、500人以上が殺された。(Mahsa Amini protests
こんな独裁的で強権的なイラン政府に反発する市民はたくさんいる。そういう人たちにとっては、イスラエルの攻撃で要人が死に、政府が弱体化することはうれしくて仕方ないのだ。

 

実際、テヘランのあるカフェでは、反政府の人たちが集まり、イスラエルの攻撃を「お祝い」するパーティーまで開いたという。
この動画を投稿した人は、「自分の国が攻撃されたことを喜んでいる、世界で唯一の人々だろう」と書いている。たしかに、首都にミサイルが落ちるのを見て、歌ったり踊ったりしている様子は信じがたい。(これがフェイク動画でなければ)

 

テヘラン市内の壁には「Hit them, Israel. Iranians are behind you」(やっちまえ、イスラエル。イラン人はあなたたちの味方だ)」という落書きがあり、あるアパートでは市民が窓や屋上から「独裁者に死を! 独裁者に死を!ハメネイに死を!」と大合唱していた。
今のイラン政府はイスラム教を国教と定め、その考え方を市民に厳格に押し付けている。2年前に500人以上が殺されたことを考えると、今回の攻撃を利用し、政府を倒そうとする動きが起きてもおかしくない。

イスラエルはそれを熱望している。
ネタニヤフ首相はイラン国民に向けて、過酷な専制政治を倒して国を自由へ導くため、「狂気に立ち向かう時だ」と蜂起を呼び掛けた。

おそらく政府崩壊がイスラエルの落としどころで、それを望むイラン国民もいる。イスラエルの攻撃が終わった後には神聖イランが崩壊し、新生イランが誕生しているかもしれない。

 

 

中東 目次

イスラム教 「目次」

イランの基本情報・日本との関係・日本好き/親日国の理由

親日的イラン人の話 日本語や日本人、文化や歴史について

イランの英雄アーラシュと台湾の五輪選手が日本で話題のワケ

イラン女性とヒジャブ 「着けろ→脱げ→着けろ」の歴史

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • それら「反政府」の人々のうち、いったいどれほどが「イスラエル側のスパイ」なんでしょうね。
    なるほど、米国トランプ大統領が「最高指導者の居場所はハッキリしている、暗殺しようと思えば簡単にできるが今はやらない」と言い切れるわけだ。

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