今月4日にスタートした韓国の李在明(イ・ジェミョン)新政権。
李氏は大統領になる前、日本を「敵性国家」と呼ぶなど、「反日強硬」な人物として知られていた。
ところが、ことしは日韓国交正常化から60年の節目ということもあってか、李氏は大統領になると、日本を「重要な協力パートナー」と位置づけ、「強固な韓日関係の土台を築く」と、友好をアピールするようになった。
しかし、“李氏韓国”はまだ始まったばかり。本当に日本との関係を大事にするつもりなのかは不透明だ。
読売新聞によると、日本でも経済界を中心に日韓関係の強化を望む声があるが、韓国がまた「反日」に戻るのではないかという警戒も残っているという。(2025/06/05)
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2019年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が日本に大反発し、「ノージャパン」と呼ばれる日本製品の大規模な不買運動が起こり、日韓関係は戦後最悪と言われるほど悪化した。
その後、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になって、関係は大きく改善された。
今回の李政権でも、こうした良い流れが続くのか、日本は期待と不安の入り混じった気持ちで様子を見ている。
ただ、李氏が大統領になる直前に、少し気になる出来事があった。
最近、アメリカの議員が「ジャップ」と発言し、それがメディアで問題になると、彼はすぐに謝罪した。「ジャップ」は日本人に対する侮辱語だから、どんな理由であれ、これを口にしたら非を認めるしかなくなる。
こうした分かりやすい差別語だけでなく、外国語の発音をまねしてからかう行為も、侮辱や差別にあたる。
韓国語には「ザ行」の音がなく、韓国人が日本語を話すとき、「ざじずぜぞ」をうまく言えないことが多い。たとえば、「ありがとうございます」が「ありがとうごじゃいます」になる。
知り合いの日本人は、オンラインで日本語を学ぶ韓国人と話していて、相手が真剣な顔で「ありがとごじゃいます」と言ったから、「笑ってはいけない」状態になって苦しい思いをした。
「ざ」が「じゃ」になるのは、日本人にとって印象に残りやすい。
自分も韓国人の友人と話していたとき、冗談で「ありがとごじゃいます」と言ったら、真顔で「そういう言い方はやめてください!」と怒られて、反省した苦い思い出がある。
立場が変われば、日本人にも苦手な韓国語の発音がある。
これは朝鮮日報の社説だ。(2025/05/15)
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「カムサハムニダ」は韓国語で「ありがとうございます」という意味。それは分かるのだけど、なんで「む」だけが平仮名になっているのか? これは朝鮮日報のミスかと思ったら、そうではなかった。
韓国人は「カムサハムニダ」と言うとき、「ム」を発音しない。逆に「ム」をはっきり言うのは、日本人が韓国語を話すときの特徴だ。
李氏が意図的に「日本人風」の発音をしたことで、韓国国内では「日本を見下している」、「国際感覚が足りないのではないか」という批判の声が上がった。
それ以前に、台湾や中国には「シエシエ(謝謝)」と中国語を使ったのなら、日本には「ありがと(う)」と言うべきだった。
日本語で「ありがとう」と言うと、「親日(売国奴)」と批判されるのを恐れたのかもしれないが。「ジャップ」発言で謝罪したアメリカの議員とちがい、日本について韓国の議員には「謝ったら負け」という雰囲気がある。
日本で首相に近い大物政治家が公の場で、冗談でも「ありがとごじゃいます」と発言したら、韓国人への侮辱や差別として大問題になるだろうし、韓国メディアも激怒するはずだ。
ところが日本では、時事通信が「日本人の発音をやゆ? 外交巡る李氏の発言が物議―韓国大統領選」という記事を出したものの、それほど大きなニュースにはならなかった。
「カムサハムニダ」という日本式の発音は、韓国人の間でわりと有名らしい。以前、韓国人から、ドラマで日本人を面白おかしく表現するとき、登場人物に「カムサハムニダ」と発音させることがあるという話を聞いたことがある。
「韓国には、日本をバカにすることを許容する空気があります。それはいいことではないと、たぶんみんな分かっていますけどね」と彼は言う。
おそらく李氏には日本への悪意や敵意はなかったが、支持者がよろこぶと思い、“サービス”のつもりで「カムサハむニダ」と言ったのだろう。
そんな李大統領は、きのう石破首相と会談し、日韓関係を「前庭を共有する隣人のように切っても切れない関係」と表現し、「さまざまな面で互いに協力し役に立つ関係へと発展することを期待している」と語った。
言葉だけを見れば未来志向のように見えるが、これまでの言動や韓国社会の空気を考えると、今後また「反日」に揺り戻す可能性も十分にある。
日本としては、しばらくは警戒を緩めず、慎重に関係を築いていく必要がありそうだ。
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