SNSを見ていたら、あるイギリス人が日本を旅行して、とても気に入った食事として「コンビニ飯」をあげていた。
彼が住んでいる地域にもコンビニに近い店があるけれど、深夜は閉まっているから、日本のコンビニの便利さにはかなわない。何よりも、おにぎりや弁当など食べ物の質の高さが「レベチ」で、旅行中に必要以上に足を運んでいろんな商品を試して、良い思い出になったという。
日本のコンビニエンスストアは独特らしく、日本語の発音をそのままローマ字にして、SNSに「conbini」と書く外国人もめずらしくない。
さて先日、日本に5年以上住んでいる30代のイギリス人女性と会って「果物事情」について話をしたので、これからその模様を、日本人の「アキラ」と「スカーレット」という設定でお届けしようと思う。

アキラ: 日本の冬と言えば、やっぱり「こたつにオレンジ」だよね。
スカ: オレンジじゃなくて、「みかん」でしょ?
アキラ: 英語で「orange」って言うから、そのほうが分かりやすいかなと思ったんだけど。
スカーレット: 言わないわよ。だって、みかんとオレンジは別物じゃない。
アキラ: えっ、そうなの?
スカ: 知らなかった? オレンジはみかんよりも大きくて、形も丸い。皮が硬いから、ナイフで切るイメージがある。みかんはオレンジよりも小さくて、平べったい。皮は薄くて柔らかいから、手で簡単にむくことができるわ。
アキラ: 言われてみればそうかも。そう言えば、イギリスではみかんを「サツマ(Satsuma)」って呼ぶよね? あれを知ったときは衝撃的だった。
スカ: そうだけど、なんで?
アキラ: あれは「薩摩藩」のことだから。鹿児島県の昔の呼び方で、江戸時代はサツマって呼ばれていた。イギリスではみかんを意味すると知ったら、日本人は驚くって。
スカーレット: ちょっと待って、じゃあ、サツマイモのサツマと「Satsuma」は同じってこと?
アキラ: そのとおり。
スカ:それは衝撃的な事実ね。なんでイギリスでは、みかんをサツマって言うようになったんだろ?
アキラ: 個人的には、幕末の薩英戦争が理由とにらんでいる。
イギリス人はみかんを「サツマ」と呼ぶ理由 ② それは薩英戦争では?

アキラ: ドイツ人やブラジル人から、柿は日本語が由来で「カキ(Kaki)」と呼ばれているって聞いたんだけど、イギリスで柿はなんて呼ばれてる?
スカ: イギリスでは「パーシモン(persimmon)」や「シャロンフルーツ(Sharon Fruit)」って呼ばれることが多いかな。「カキ」は聞いたことないわ。
スカ: イギリスで日本語が使われているものなら、「ユズ」もあるわね。
アキラ: へ〜、イギリスでもゆずは人気があるの?
スカ: 今はそんなでもないけど、知名度はだんだん上がってる。レモンやライムと違った独特の甘い香りがあって、私も日本に来てから大好きになった。
アキラ: 日本は消費量と生産量が世界最大の「ゆず大国」だからね。冬になると、イギリス人もバスタブにゆずを浮かべる?
スカ:それもう日本人でしょ。スーパーでゆずが売られているのを見たことない。レストランでゆず風味のメニューがあったり、ゆず味のアイスクリームがあったり、ゆずのジュースなんかはあるけど。
アキラ:AIに英語で聞くと、イギリスでゆずがカバーする範囲は広い。
カクテル、マリネ、サラダドレッシングからカスタード、ソルベ(シャーベットのようなデザート)、ケーキ、ドーナツなど、一般的な食べ物から高級レストランのメニューまで、「流行の風味(trendy flavour)」として使われているんだって。
ゆずの香りのするハンドソープや洗剤もあるらしい。
スカ:そうそう、そんな感じ。もともとイギリス人はレモンやライムが好きだったし、ゆずはそれに代わる新しいシトラス系のフルーツとして勢力を拡大すると思うわ。

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