在日中国人の話 粥と雑炊、東と西の竜の違い・クリスマスの習慣

日本と中国は漢字を使っているから、「文化」や「社会」などの漢字を現地の発音に直せば意味が通じることが多いけど、そういかないこともある。
以前、日本に住んでいた中国人がちょっとしたカルチャーギャップをSNSに書き込んだ。
彼が日本人に「ハンジカンかかります」と言ったら、相手は不思議そうな顔をして、「3時間?」と聞き返す。彼はそこで初めて、日本では30分のことを「半時間」と言わないことを知って意外に思った。
同じ体験をした中国人は多いらしく、この投稿には「あるある〜」とたくさんの共感コメントが寄せられた。

日本語では「1時間半」と言うことはあっても、「半時間」という表現は使わない。…と思ったら、じつはそうでもなかった。「半時間」は昔の日本語で、今でも関西地方で使われているらしい。

さて最近、静岡の大学で学んでいる20代の中国人留学生とレストランで話をした。
おっさんと大学生の普通の話ではツマラナイので、その様子を「若い日本人女性のケイコと中国人女性のリンリンの会話」という設定で紹介しようと思う。

 

AIに描いてもらったお粥と雑炊の絵

目次

「粥」と「雑炊」の違いは何?

リンリン:この「もつ鍋」って超おいしそう! でも、この「もつ」って何?

ケイコ:リンリン知らなかった? 「もつ」って、手で持って食べる鍋のことだよ。

リンリン:そっかー。わたし、手の力が弱いからなー。でも、アンタに痛みを感じさせるくらいの攻撃力はあると思うよー。

ケイコ:「もつ」って、牛さんや豚さんの内臓のこと。

リンリン:いいねー。わたしコレにしよ。このトッピングにある「雑炊」ってなに?

ケイコ:それは「ぞうすい」って言って、ご飯に肉や野菜の具を入れて、だしで煮込んだ食べ物。中国に雑炊は無いの? それとも漢字が違うとか?

リンリン:それなら「粥」かな。野菜が入っていれば「菜粥」で、鶏肉入りは「鶏肉粥」になるの。「雑炊」なんて漢字は見たことない。「いろんな食材を煮込んだ料理」っていうイメージがするけど。

ケイコ: 日本の雑炊って、中国では「お粥」になるんだ〜。日本にはそれもあるよ。

リンリン:じゃあ、「粥」と「雑炊」って何がちがうの?

ケイコ:雑炊はシメにピッタリだから超おすすめ。

リンリン:ねえ、「粥」と「雑炊」って何がちがうのかな?

ケイコ:チッ。グーグル先生が言うには、お粥のほうが水分の量が多くてやわらかくて、具材を入れないことも多いんだって。だから、日本では病人食として食べられることが多い。どっちも、米をドロドロにしたやつで、わたしでも分からなかったし、気にしなくていいよ。

リンリン:でも、低い基準に合わせると、いつか恥をかくかもしれないから…。

ケイコ:おいコラ。でさー、リンリン、雑炊を食べる時に使うこの「レンゲ(散蓮華)」は中国にもある?

リンリン:あるよー。「汤匙(タンチー)」って言う。これ、中国から日本へ伝わったんじゃないの?

ケイコ:「汤」って日本の漢字だと「湯」なんだ。それと正解、レンゲ(汤匙)は平安時代に中国からきたんだって。

リンリン:「汤」ってスープのことだから、「湯」とは意味が違うんだけどね。

 

中国語的には「女のスープ」と「男のスープ」?

クリスマスとりんご

ケイコ: ねえリンリン、もうすぐクリスマスだけどさ、中国ではちょっと変わった習慣があって、りんごをプレゼントするって聞いたんだけどマジ?

リンリン:ケイコちゃん、よく知ってるね! ひょっとしたら、頭の中に脳みそが入っているかも。

ケイコ:やったー! でも、なんか地味なプレゼントだけど、それで中国人はテンションが上がるの?

リンリン:上がるよ〜。中国語で「りんご」って「苹果(ピングオ)」って言うんだけど、この「苹(ピン)」の発音が、「平安(ピンアン)」に通じて縁起が良いのよ。

ケイコ:つまり、キットカットで「きっと勝つ」みたいな言葉あそび?

リンリン:「あなたの平和や安全を願っています」という意味が込められているから、もらったら嬉しいよ。クリスマスにフライドチキン

ケイコ:なんかロマンチック。でも、わたしは実践派だから、プレゼントならショートケーキをちょうだい。

リンリン:ケイコちゃん、体に心は入っていなかったんだね。

 

西洋風の竜

東洋と西洋で違う竜のイメージ

ケイコ:話は変わるんだけどさ〜、日本のマンガやアニメにも「竜(りゅう)」はよく出てくる人気キャラだけど、日本と中国の竜西洋文化の竜は違うよね?

リンリン:それはそうだけど、ケイコちゃん、話が急に変わりすぎ! もう少し段階を踏んで。

ケイコ:欧米のゲームや映画に出てくる竜は、ゴツくてムキムキで口から火を吹く! でも、日本や中国の竜は体が細長くて、ヘビに近い形をしている。ドラゴンボールの「神龍」みたいにね。

リンリン:あと、ケイコちゃん、マイペースすぎ。わたしを置き去りにしないで。まぁ、たしかに中国文化で竜は強さや権威の象徴で、皇帝のシンボルになっていたよ。それに対して、西洋文化の竜はゴジラみたいな形で、「倒すべき悪者」っていうキャラ設定。

ケイコ:そうそう。東洋の竜は神様っぽいけど、西洋の竜は邪悪な感じ。でも、守り神みたいに旗に描かれることもあったから、西洋には2つのイメージがあるよね。

リンリン:結局、竜とドラゴンはちがうんだよ。

 

東洋的な竜

 

 

中国 「目次」

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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