20世紀はじめ、上海は外国の租界となり、中国当局は手を出すことができなかった。そのため、黄浦公園には「犬と中国人は立ち入るべからず」と解釈できる注意書きがあった。
それから約100年のトキが流れ、ことし、広東省のある飲食店が「犬とフードデリバリー配達員は入るべからず」という紙を貼り出し、配達員を怒らせた。
現代では中国当局が権限を持っているから、飲食店はきっと痛いペナルティを払うことになる。
さて先日、静岡の大学で学んでいる20代の中国人留学生と紅葉を見に行き、その際にいろいろな話を聞いた。これからその内容を紹介しようと思う。
ただの機械的な一問一答では面白くないので、以下のキャラクター設定で進めていく。
ケンジ: 日本人の男子高校生。知的で落ち着いた性格。
リン: 中国人の女子高校生。明るく、たまにツンデレな性格。

日本に親しみを感じるわけ
ケンジ: リンさん、日本に来たのはこれで3回目だよね。でも、長期滞在は今回が初めてだ。きょう一緒に見た紅葉とか、改めて日本の印象ってどうだった?
リン: そうね。べ、別にあなたに教える義務はないけど…。でも、正直に言うと、親しみを感じるわ。
ケンジ: 親しみ、か。てっきり異文化に驚いているのかと思ったけど、どんなところにそう感じるの?
リン: 私の故郷、四川省にももちろん紅葉はあるわ。それに、日本人は漢字を使っているし、私たちと同じようにお茶を飲む生活があるでしょ? 自然の風景も生活も中国と似ているから、まったく違う国に来た感じはあまりしないのよ。
普洱(プーアル)茶はどんなお茶?
ケンジ: なるほどね。文化的な基盤が似ていると安心するんだ。じゃあ、この店で売ってるプーアル茶は、その「親しみのあるお茶」になるのかな? 中国でこのお茶にはどんな特徴があるの?
リン: プーアルは中国南部の地名で、そこで作られる「普洱(プーアル)茶」は、歴史ある高級なお茶なの。中には、ものすごく高く取引される銘柄もあるんだから。
ケンジ: 具体的にはどれくらい?
リン: 1キログラムあたり3000万円を超える銘柄もあるわ。プーアルは、「飲める文化財」みたいなものね。
ケンジ: 家が買える…。それはすごいな。
緑茶とジャスミン茶の違い
ケンジ: ちなみに、日本でよく飲まれるお茶と中国のお茶って、やっぱり違うもの?
リン: ええ、全然違うわ。日本ではみんな緑茶が好きみたいだけど、中国では一般的にジャスミン茶が飲まれることが多いわね。日本ではジャスミン茶はあまり見かけない。
ケンジ: 日本人は渋みのある緑茶が好きだから。
リン: でも、知ってた? そのジャスミン茶も、実は緑茶から作られているのよ。
ケンジ: え?
リン: 「え?」ってあなた、それも知らなかったの? 頭良さそうな顔してるくせに、変なの。
ケンジ: ちょっと待って、すぐ調べてみる。(スマホを操作して)…ホントだ! 「緑茶にジャスミンの花の香りを吸着させたのがジャスミン茶」って書いてある。てっきり別の植物からできてるのかと思ってた。知らなかったよ。
リン: ふふん、たまには私の知識も役に立つでしょ。昔から、中国のお茶栽培は南部が盛んなの。でも、長い時間をかけて北部へ運ぶと、緑茶の風味や鮮度がどうしても落ちてしまったの。
ケンジ: 昔は馬が運んだいただろうし。それでどうしたんだ?
リン: だから、鮮度が落ちたお茶でも美味しく味わえるように、ジャスミンの花の香りを付けて工夫したの。それが美味しくて定着して、今では定番になったってわけ。
ケンジ: なるほど。文化的な背景には、必ず合理的な理由がある。勉強になったよ、リン。ありがとう。
リン: べ、別にあなたのために教えたわけじゃないわよ。たまたま知ってただけなんだから!

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