日本の学校には、「は?」と思ってしまうような不合理な校則がある。
それは「ブラック校則」と言われているらしい。
例えば、こんなブラック校則がある。
・パーマ禁止、「くせ毛届」の提出
・眉毛と髪の毛をいじってはいけない(30代男性、国公立高)
・女子の下着は白のみ。スカートをめくられてチェックされた
・カーディガン禁止(20代男性、私立高)
・日焼け止め禁止
・通学は徒歩以外、許されず、水分補給も禁止
・カップルは一緒に帰ってはいけない(20代女性、国公立中)
これらの校則はすべて、毎日新聞の記事(2017年12月14日)にあったものだ。
「ブラック校則なくそう」運動スタート
ネットでは、「 駄や草履での登校が禁止だった」とか「うちの高校は山の上にあったから「むやみに石を転がさない」という校則があったわ」という書きこみがある。
日本の学校には、いろんなブラック校則がありそう。
校則をつくって守らせる学校側にも、「嫌われる側の論理」がある。
校則でいろいろと禁止することで、大きな問題を防ぐことができる。
禁止がなかったら、行動も服装もどんどんエスカレート、過激化していって、とんでもない事態を招くことがある。
そうなると、生徒が傷つくことになるし、ぶっちゃけ教師にとっても面倒くさい。
一見「は?」な不合理な規則でも、それができた背景やをれを必要とする理由を知ると、意外と合理的だったりする。
問題になってからでは遅い。
時間も手間もエネルギーもかかってしまう。
一番いいのは問題化させないこと。
「問題を起こさせない」「先に手を打つ」ということは、学校でも国の外交でも大事になる。
今回、河野外務大臣がしたことはそれだと思う。
NHKがこんなニュース(12月14日)を報じている。
「河野外相 ユネスコに「世界の記憶」制度改善求める」
河野外相がユネスコのアズレ事務局長に、「世界の記憶」事業について、制度を改善するよう求めた。
この背景には、日本と韓国や中国との”歴史戦”がある。
2015年に、中国が申請した「南京事件」についての資料がユネスコ「世界の記憶」に登録された。
南京事件については、日本と中国で意見が合わないところが多い。
日本の主張が無視された結果になり、日中が対立することになった。
今年も慰安婦資料が「世界の記憶」に登録されそうになり、日本と韓国で対立していた。
同じ問題でも、国によって見方が分かれるのは当たり前。
そうした事案について、「1つの国の意見を取り上げて、他国の考えは無視、排除できる」という制度だったら、争いは絶えない。
それにこれは、「加盟国間の友好と相互理解の促進」というユネスコの目的にも反する。
「加盟国の間の友好を大事にする」というユネスコが、加盟国の対立を引き起こす場になってはいけない。
そうならないように、河野大臣がアズレ事務局長にユネスコの制度の改善を求めた。
これはとてもいいことだ。
ネットでも、「外相らしい外相がやっと出て来た」「これは評価する」「これこそ外務省の仕事よ」と好意的な反応が多い。
「ユネスコの制度を改善してほしい」という河野大臣の提言に対して、アズレ事務局長も前向きだ。
アズレ氏は以前、こんな発言をしていた。
「加盟国間の確執を招く可能性のある問題はできるだけ避け、団結を図らなければならない」
「ユネスコは解決できない紛争に足を引っ張られたり、機構の機能がまひしたりしている。解決できない問題は避けるべきだ」
これは日本と同じ考え方だ。
でも、韓国はアズレ氏を好きではない。
慰安婦資料がユネスコの記録遺産に選ばれなかったことには、アズレ氏の影響があったから。
朝鮮日報の記事(2017/11/13)にこうある。
ユネスコ次期トップのこうした発言で、従軍慰安婦関連記録物が「世界の記憶」(ユネスコ記憶遺産)に登録される可能性がいっそう不透明になったとの見方が出ている。
「慰安婦関連記録物、ユネスコ登録さらに困難に」
結局、慰安婦資料が「世界の記録」に登録されることはなかった。
中央日報はこれを韓国の「外交的敗北」ととらえている。
これに関し「遺産登録を阻止するための日本政府の総力戦が受け入れられ、韓国が外交戦で事実上完敗した」という分析が出ている。
そして、このリベンジを果たすべく、ユネスコの国際記録センターを韓国に誘致した。
朝鮮日報の記事(2017/11/07)から。
韓国行政安全部の国家記録院は7日、フランス・パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第39回総会で、ユネスコ傘下の国際記録遺産センター(ICDH)の韓国誘致が決まったと明らかにした。
「韓国がユネスコICDH誘致 世界記憶遺産の管理支援へ」
韓国は、慰安婦資料を「世界の記録」に登録させることをあきらめていない。
「きっとまた、日本と韓国がこの件で対立する」と思っていた。
だから、河野大臣がユネスコのトップに制度改善を求めたのは、とても良いことだ。
これである程度は韓国へのカウンターになる。
学校で問題が起きないようにするためには、そのための校則をつくる必要がある。
これはユネスコも同じ。
加盟国が対立しないようにするためには、そのための規則をつくったり制度を改革したりすることが必要になる。
これまで日本は、「問題が起きたら、それに対応する」ということが多く、こうして先に行動して動きを封じることは珍しいと思う。
それに、これは日本(河野大臣)の一方的な思いではない。
「加盟国間の対立は避けて、団結を図らなければならない」というアズレ氏の考え方にも合っている。
だからアズレ氏は、ユネスコの制度を改革しようとしているわけで。
日本が外交で専守防衛ではなくて、”先制攻撃”をしかけたのは珍しいことだと思う。
韓国が動いているのだから、日本もそれに対応しないと、後で大変なことになる。
問題を未然に防ぎ問題化させないことは、個人の日常生活から国家の外交まで、広い範囲で必要になる。
トラブルを解決する人より、トラブルを起こさせない人の方がかしこくて優秀だ。
そのためには、問題につながる可能性を見つける目と、それにすぐ対応する行動力が必要になる。
会社の中で大きな問題が起こらない部署というのは、偶然ではなくて、そこのトップがその芽をつぶしているからかもしれない。
アメリカで、また新しい慰安婦像が建てられるらしい。
産経新聞にこんな記事(2017.12.15)がある。
米東部ニュージャージー州フォートリー区の議会は14日夜、区内に慰安婦碑の設置を認める決議を全会一致で可決した。慰安婦碑が設置されれば、同州では5例目となる。
これは、韓国系団体が主導して活動してきた結果だ。
日本はなんで、この芽をつぶすことができなかったのか?
これで日本とアメリカや韓国との関係は、また悪化してしまう。
今、海外でどんどん慰安婦像が建てられている。
これに対する日本の抗議について、「冷静に落ち着いて」「慎重に」「粘り強く」「したたかに」なんて声が日本国内からあがっていたけど、そんなことを言っているうちにこうなってしまった。
相手国が反発しようが多少ブラックになろうが、こうなる前に先手を打ってほしい。
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