アメリカの韓国パッシング(無視)、韓国と日本の異なる見方。

 

トランプ大統領の韓国訪問を前にして、韓国には大きな不安があった。

それは、「アメリカは韓国を『重要な国ではない』と見なし、パッシング(無視・軽視)しないだろうか?」というもの。

だから、韓国を訪れたトランプ大統領から、「アメリカは韓国を無視しない」という言葉を引き出そうとする。
そして、マスコミがそれを記事にして国民に伝えた。

例えば、中央日報(2017年11月08日)はこんな感じだ。

トランプ大統領は首脳会談後の共同記者会見で「コリアパッシングがないと言えるのか」との質問に「韓国はとても重要な国で、韓国を飛び越えること(skipping)はないだろうとすぐに話せる」と答えた。

トランプ大統領「コリアパッシングはない」…文大統領「FTA迅速協議」

公式におこなわれた記者会見の場で、「アメリカはコリアをパッシングする」とは言えんわな。

「コリアパッシングがないと言えるのか」と質問する韓国には、切実な思いが感じられる。

 

ハンギョレ新聞も記事( 2017.11.08 )で、「アメリカは、『韓国をパッシング(無視)することなない』と言った」と、不安を解消するように伝えている。

「コリア・パッシング」論と関連し、「韓国はとても重要な国だ。韓国を迂回することはないだろう」と断言した。米国が、安保関連の重要事案に関して韓国をさしおいて日本や中国と対話・交渉しているという保守勢力の主張と一部の憂慮を、トランプ大統領が明確に払拭したのだ。

コリア・パッシングはないとしたトランプ大統領が強調したのは「堅固な同盟」

韓国紙は、「アメリカは決して韓国を軽視していない。朝鮮半島で何かあったら、必ず韓国と相談しながらことを進める」ということを国民に伝えたかったのだろう。

「韓国抜きで、アメリカが中国や日本と話し合って、北朝鮮政策を決めてしまったら?」

韓国人の中には、そんな不安が強くあるようだ。

 

 

で、実際のところはどうだったのろうか?

中央日報は、トランプ大統領が「強固な韓米同盟に対する信頼を韓国人の胸に与えて」くれたと、安心した様子で書いていた。

けど実際には、文大統領との会談の直後、トランプ大統領は文大統領を「信頼できない友人」と酷評している。
そのことはこの記事をどうぞ。

アメリカ紙「文大統領は信頼できない友人」。韓国に衝撃走る。

 

韓国はアメリカの同盟国なのだから、公式会見では米韓友好をアピールするのはあたり前。
問題はトランプ大統領の笑顔の裏側だ。

アメリカは韓国を信頼しているのか?
韓国を重要な国だと考、「韓国パッシング(無視)」は本当にしないのだろうか?

 

 

日本の報道が伝えたトランプ大統領の思いは、韓国の報道とはかなり違う。

フジテレビの情報番組「とくダネ (2017年11月8日)」によると、「信頼」や「友好」からほど遠く、トランプ大統領は安倍首相に、韓国の文大統領に対する不信感を打ち明けていたらしい。

以下、「とくダネ」のキャプチャ-

 

 

 

公式会見では、絶対に言えませんね。

 

また、「韓国パッシング(無視)はない」ということについてもアヤシイ。

サンケイビズの記事(2017.11.8 )に、文大統領のおもてなしは不発に終わり、アメリカ側は韓国を実質的にパッシングしていたと書いてある。

2者会談は26分間で終了した。通訳を除くと実質的な協議は十数分間にすぎず、初日のゴルフだけで2時間半以上を費やした安倍氏とは比ぶべくもない。

商談で終わった26分間 事実上のコリア・パッシング、文在寅大統領のサプライズは空回り

トランプ大統領が韓国を重要視しているようには、とても見えない。

 

今の韓国にとってもっとも気がかりなことは、アメリカと北朝鮮の軍事衝突だろう。
朝鮮日報によると、文大統領は韓国の状況をこう言っている。

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発成功宣言を行った現在の状況を「6・25戦争(朝鮮戦争)以来、最大の危機」とする厳しい見方を示した。

朝鮮戦争以来最悪の危機、北朝鮮に対する幻想を捨てよ

でもアメリカは、「北朝鮮に対し、ともにどう戦うのかという最大の課題を避けたことになり、本質的には、コリア・パッシングと変わるところがない」という。

 

 

結局、一番重要なことについて、アメリカは韓国と話し合っていないらしい。

それでいて、韓国紙は「韓国はとても重要な国だから、アメリカは韓国をパッシングすることはない」と伝える。
どうも、日本の報道とは違う。

 

韓国の新聞の特徴が出ているような気がする。
ソウル新聞の記者が韓国の新聞の特徴として、次の5つをあげている。

・単刀直入
前後関係を切り捨てて、必要な単語だけを寄せ集めている。
・針小棒大
小さな問題をことさら誇張する。最終的にそれほど騒ぐことではないと気付くことになる。
・我田引水
どんな問題でも自分の好みに合わせて解析する。
・竜頭蛇尾
問題提起するときはうるさいけれど、最後にはうやむやとなる。
・付和雷同
他人の主張に迎合する。

韓国新聞の特徴から。

韓国の新聞を読んでいると、この特徴はよく当てはまる。

日本の報道と比べてみた場合、今回は「我田引水(どんな問題でも自分の好みに合わせて解析する)」という面が出ているように思えてならない。

アメリカにパッシングされないといいですね。

*この記事で紹介した「とくダネ!」や「サンケイビズ」の報道は、数あるニュースの中のほんの一部でしかないです。
他の情報も見てみてください。

 

おまけ

韓国の伝統的な村。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。