親が子供の輝かしい将来を期待して、「末は博士か大臣か」と言っていた時代もあった。しかし、どんなに地位が高くて高給でも、韓国の外務大臣にはなりたくない。韓国外相は国内の反日世論と国際常識の板ばさみになり、よく苦労しているから。
例えば日本が原発の処理水を海に放出すると発表すると、国際原子力機関(IAEA)は「歓迎する」と支持を表明したが、韓国社会では怒りがうずまいた。
国内の反応がどうであれ、外相という立場上、IAEAが認めたことを否定するのはむずかしい。そのため日本の決定に「あえて反対しない」と述べたチョン・ウィヨン外相は、「国民の情緒と違う!」と国会議員から猛批判を浴びた。
日本の処理水放出について、IAEAのグロッシ事務局長は「技術的に実行可能で、国際慣行に沿う」と明言した。しかし、韓国の市民団体は「全世界人類に対する核攻撃と同じ破滅的行為」とIAEAの見解を否定し、日本を強烈に非難する。
国際常識と国民情緒の矛盾に直面したら、ボクなら胃がもたない。
ただし、韓国は月城原発で処理水を流しているのだから、日本が同じことをすると怒るという二重基準がまずおかしい。
韓国の外相は日本の反応とも向き合わないといけない。
現在の日韓関係で、韓国外相にとって最もやっかいな外交問題は元徴用工・慰安婦問題だ。そのことについて先日、ソウルのプレスセンターで開かれた討論会でチョン外相が怒りを爆発させた。
「Wow!Korea」の記事(2021/04/21)
韓国外相「日本が韓国を“国際法違反国家”と罵倒」…「日本にそんな資格があるのか」
外相は慰安婦問題について、日本の態度に限界を超えたらしく、こうぶちまけた。
「青瓦台(韓国大統領府)の国家安保室長に在職していた時、この問題(慰安婦問題)解決のために非公開で日本に行き協議したが、日本の交渉態度には驚いた」
「一貫して自分の主張だけをし、交渉を壊そうとしているのではないかと思った」
なるほど。しかし待ってほしい。
2015年に日韓両政府は慰安婦問題の解決で合意し、日本は約束をすべて守ったが韓国はまだ実行していない。韓国側が合意を履行していれば、日本大使館前にある慰安婦像は今ごろ撤去されていたはずだ。あの像はあの場所で、今年で何度目の春を迎えたのか。
「自分の主張だけをし、交渉を壊そうとしている」というのは、約束を守らない側が言っていいセリフではない。
慰安婦問題の解決についてチョン外相は「非常に現実的な方案を日本側に提示した」にもかかわらず、日本からは“塩対応”をされたとお怒りだ。
しかし待ってほしい。
解決案というものは、受け取る側が「非常に現実的」と評価するもので、出した側が自画自賛するものではない。
そんなチョン外相の最大の怒りポイントは「国際法」だ。
「日本は“政府間の合意”であるため、韓国が守らなければ“国際法違反”だという理屈に合わない主張をしている」
「韓国を『国際法を違反する国だ』と罵っている」
外相はこう言って、「日本がそのように言う資格があるのか」と声を荒げたという。
しかし、日本とチョン外相が指摘する「国際法違反」にはズレがあるようだ。
日本が主張する「違反」とは、韓国の裁判所が日本の主権を認めず、元慰安婦などの原告側に賠償を命じた不当裁判のことのはずだ。一方の国が国家間の合意を国内法でひっくり返す行為は国際法に違反する。国内事情で、あとから約束を白紙にしたら、その国は信頼を失い、合意を結んでも無意味になる。
韓国側がそんな国際常識に反することをしたから、茂木外相は「自らの責任で国際法違反の状態を是正する措置を求める」とその是正を求めたのだ。
しかし、チョン外相は(政府全体がそうだろうが)、韓国側は解決のための“現実的な案”を何度も提示したにもかかわらず、日本がそれを受け入れないことを問題視し、そ高圧的な態度が韓日関係を悪化させたと考えているらしい。
ことし1月、そんな外相にとっては悲報か吉報かよくわからない判決が下った。
韓国の地裁が日本の主権免除を認めず、日本政府に敗訴を言い渡したのだ。しかし、その3か月後、同じ案件で今後はソウル中央地裁が日本の主張を認める判決を言い渡した。元慰安婦ら原告側は敗訴し、日本政府が勝訴した。1月にもこれと同じ判決を出していれば問題はなかったのだけど。
主権免除を認める判決を下せば、韓国は『国際法違反国家』の汚名を返上することができるが、元慰安婦や支持者、世論の大反発は避けられない。韓国の外相はこうした国民情緒と対峙しないといけないが、この判決で、日本の態度が軟化することは期待できると思ったかもしれないが、日本政府の態度は相変わらず冷たかった。
加藤官房長官はこの判決について「内容について精査する必要があり、現時点で政府としてのコメントは差し控えたい」と実質的に無視した。「それは韓国の国内問題で韓国政府が対応することだ」と放置したと思われる。
そして、これが日韓関係に良い影響を与えるかどうか問われ、加藤官房長官はこう答えた。
「基本的に何ら変わりはない。韓国が国家として国際法違反を是正するため、適切な措置を講ずることを強く求めていきたい」
つまり、「日本勝訴」にあまり意味はないらしい。
今回の件はこれでいいとして、問題は日本に賠償を命じた1月の判決だ。
この点については「コメントは差し控えたい」では済まされないから、加藤長官はこう強調した。
「極めて遺憾であり、断じて受け入れることができない。国家として自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講ずることを引き続き強く求めていく」
韓国側は「日本にそんなことを言う資格があるのか!」と怒るが、日本は相変わらずの無反応で相手にしていない。そんな大声を出しても、今の日本の政府や国民には通じない。
ある外務省幹部は、これまでの韓国側の判決が異常だっただけで、今回の判決は極めて妥当な措置だと話し、これで両国関係にプラスになることはまったくないと言う。
韓国の外務大臣は本当に大変だと思うが、国家間の約束と国際法はしっかり守らないといけない。
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日本の新聞が文大統領に「”反日”体質・歴史のわい曲」と批判。

コメント
コメント一覧 (5件)
日本が、戦後の教育が誤っていることに気づくまで50年かかりました。
韓国はまだ数十年はかかるでしょうね。
おはようございます
いつもわかりやすい記事で愛読さてていただいております。
今後の、日韓関係を注目してまいりますので、関連記事を
またよろしくお願いいたします。
慰安婦問題は韓日間で解決が不可能です。韓国人たちにあまりにもこの事実が間違って認識されているからです。いっそのこと、国際司法裁判所にこの問題が回付されて、国際的に確実な判決が出た方がいいでしょう。
おはようございます!
そう言ってもらえると書いたかいがあります。
ええ、がんばって書いていきますよ。
国際司法裁判所に持って行く案は日本にもあります。
問題が大きくなって嫌がる人もいますが、個人的にはそれに賛成です。