安倍首相が平昌オリンピックの開会式を欠席するという。
産経新聞にその記事(2018.1.11)がある。
安倍晋三首相は韓国で2月9日に行われる平昌五輪の開会式への出席を見送る方針を固めた。
韓国政府としては、「残念無念」というより、怒っていると思う。
韓国は前から、安倍首相の平昌オリンピック参加を望んでいたから。
ここでそのことを簡単に振り返ってみよう。
韓国の取り組みから、韓国の考え方も見えてくる。
「安倍首相には、ぜひ来てほしい」という気持ちから、文(ムン)大統領はロシアで安倍首相と会ったとき、平昌オリンピックのマスコット「スホラン」と「バンダビ」の人形をプレゼントした。
中央日報の記事(2017年09月07日)にそのことが書いてある。
平昌冬季五輪の開催を控えた文大統領は安倍首相と可愛い人形を手にした「認証ショット」も忘れなかった。
この画像で、安倍首相と文大統領がツーショットで笑顔を浮かべている。
でも、たぶん安倍首相は浮かべているだけで笑っていない。
それから、平昌オリンピックの開催がだんだんとせまってくると、韓国側は安倍首相の訪韓を積極的に働きかけるようになる。
11月には、李駐日韓国大使が記者団にこう話していた。
中央日報の記事(2017年11月15日)から。
来年2月の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)の時に安倍晋三首相が訪韓すればシャトル外交が復活する」としながら「このために共に努力していくことを確認した」と述べた。
これが11月15日ということに注目してもらいたい。
この1週間ほど前、11月7日に何があったか?
この日、トランプ大統領の夕食会に「独島エビ」と「元慰安婦」が出てきたことで、日本中に衝撃が走った。
韓国政府が日本を怒らせた1週間後には、「安倍晋三首相が訪韓すればシャトル外交が復活する」と言う。
この韓国人メンタルには、もうあこがれるしかない。
この日、李大使は河野太郎外相と会談をしていた。
でもそのときには、”反日”夕食会のことは一切話をしていない。
韓国には、こういうことがよくある。
自分の都合の悪いことは口を閉ざす。
黙して語らない。
その場だけ、一時的に記憶を失ってしまってしまうのかもしれない。
この前の慰安婦合意の検証報告でもそうだった。
韓国政府は、「少女像の撤去について韓国はどうするか?」という一番大事なことについて、何も言わなかった。
でも、今日の「安倍首相、参加やめるってよ」という発表で、文大統領のプレゼントも李大使のラブコールも意味がなくなってしまった。
辛、それが日韓関係。
文大統領と安倍首相が可愛い人形を手に「認証ショット」を撮った3ヶ月後、文大統領と安倍首相は”冷戦状態”になった。
文大統領は慰安婦合意について「重大な欠陥がある合意では慰安婦問題は解決されない」と言うけど、安倍首相は「合意は1ミリも動かさない」とはねつける。
それで今日、安倍首相が平昌オリンピックには参加しないことが発表された。
でも、首相の欠席については、年末からそれをにおわせていた。
文大統領が「慰安婦問題は解決されない」と言った時の前後から、「安倍首相の平昌オリンピック出席は難しい」とか「見送る方向で調整されている」といった報道を何度も見たし。
日本経済新聞なんて、「今韓国に行ってもいいことはない」と書いていた。
だから今回、安倍首相の平昌オリンピック欠席が発表されても、ネットで驚く人はいない。
「そりゃ行かないわな 」「当然や 」という反応ばかり。
「これで最終的に解決しました」という慰安婦合意を、今になって文大統領が「これで解決にはならない」と否定して、日本に謝罪を求めた。
この韓国政府の態度に今、日本中があきれて怒っている。
読売新聞は社説で「韓国の文在寅政権の態度は、外交常識に外れ、非礼である」と怒り、産経新聞は「日本に甘えるのはやめよ」と突き放した。
そんな国民感情を考えたら、安倍首相が韓国に行かないことはできないだろう。
むしろ、そこまでして行く理由が見つからない。
「安倍首相が行かないのは当たり前」と思っていたけど、でもそうだろうか?
始めに紹介した産経新聞の記事には、こんなことも書いてある。
日本政府内には安倍首相が訪韓し、日韓合意の順守を文氏に直接求めるべきだとの意見も根強くある。
安倍首相が文大統領に「合意を守りなさい」と釘をさすために韓国へ行く。
そのついでに、平昌オリンピックに参加する。
これはアリだろう。
感情的には行ってほしくはないけれど、「それをすることで、日本にどんな得があるか?」という国益から考えたら、首相訪韓も悪くない。
「韓国に合意を守らせる」ということにつながれば、日本の利益にかなう。
「大人の対応」という言葉がある。
好き嫌いの感情を殺して、損得で行動することも大人の対応だ。
ネットではよく「韓国とは断交するべき!」といったコメントがあるけど、現実的にそれはムリ。
政治家やジャーナリストなど言葉に責任をもつ人で、そんなことを言う人はいない。
個人的な愛憎は置いといて、日本のメリット優先で韓国とつき合っていくことを考えたらいい。
おまけ
人生には「どっちがいいか?」と、ものごとを判断しないといけない場面がある。
そういうときに感情にもとづいて判断すると、だいたい失敗する。
「判断が正しいか・間違っているか」ということの前に、「判断をしてはいけない時」がある。
「今の心理状態で、自分は正しい判断ができるのか?」ということをまず判断してから、ものごとを判断するといいと思いますよ。
コメントを残す