アイルランド共和国はイギリスのすぐ隣にある。
イギリスとアイルランドはとても近いのだけど、国民性は大きく違う。
アイルランドという国については前回紹介した。
今回はイギリスとの違いのひとつで、アイルランドの特徴でもある保守的な面について書いていこうと思う。
「今年4月にアイルランドでヌーディストビーチができる」という知らせに、世界の人たちが驚いているらしい。
CNNニュース(2018.03.31)から。
同国では初の「ヌーディスト海岸」が公式にお披露目することになった。このニュースは多くの驚きを誘っている
アイルランド出身の20代のイギリス人女性もそのひとり。
この話を聞いてこう話す。
「フランスやドイツなら分かる。そこなら裸になることが好きな人は多いし、ヌーディストビーチもいくつかあるから。でも、イギリスでそういう人は少ない。アイルランドはカトリックの影響が強くてイギリスよりも保守的なのに、ヌーディストビーチが認められるなんて驚いたわ」
このイギリス人はアイルランドを「保守的な国」と思っていた。
アイルランドにそんなイメージを持っている欧米人が多いから、アメリカのCNNは「このニュースは多くの驚きを誘っている」と伝えたのだろう。
ところで、「保守的(保守主義)」ってなんだろう?
辞書的にはこんな意味になる。
ほしゅしゅぎ【保守主義】
旧来の伝統・慣習・考え方などを尊重して、急激な改革を好まない主義。
大辞林 第三版の解説
大ざっぱな見方だけど、保守的な考え方を持っている人は昔からのやり方や制度などを大切にしていて、社会の急激な変化を望まない。
日本の政党でいえば、自民党が保守的な政党になる。
自民党は保守政党だけど、憲法を変えようとしているから、保守ではなくて革新的な政党と見られることもある。
自民党は今の日本国憲法を「アメリカから押しつけられたもの」として、日本の伝統を重視をしたものではないと考えている。
2017年に民進党が分裂したのも、「保守かリベラルか?」という考え方の違いが大きい。
毎日新聞の記事(2017年10月5日)から。
民進党が「寛容な保守」を掲げる希望の党と、そこから排除された中道・リベラル派の立憲民主党に事実上分裂した。
ちょうど今日、東京新聞にいい社説があった。
「ジェンダーフリーの考え方に立ち、日本の学校(社会)から『男らしさ』『女らしさ』をなくしてしまえ」といった内容のもの。
学生服のデザインや選択から男女差をなくす試みが始まっている。制服が「女らしさ」「男らしさ」を押しつけていないか。性的少数者への配慮も求められる中で考えたい。
学校の制服 「らしさ」を押しつけず
千葉県のある中学校が男女の性差に関係ない制服を導入した。
この社説によると、この学校では生徒が制服を選ぶことができる。
だから女子中学生がスラックスとネクタイ、男子中学生がスカートとリボンという格好でもOK。
一般的に保守的な人はこうした変化を嫌って、リベラルや革新的な人はこれを歓迎する。
ちなみにファッションの世界でも、保守(conservative・コンサバティブ)という言葉は使われている。
どちらかというと控えめな服を「コンサバ系」と言うらしい。
これは、コンサバティブの略。
どういったファッションかというと「お姉さん系」のような服装のことをいいます。
コンサバ系は流行に流されにくいのに、どの年代や性別からも受けがよい万能スタイルと言われています。
友人のイギリス人はアイルランドを保守的な国と考えていた。
その根拠として彼女が挙げたのも、東京新聞と同じく、男女の性差についての態度。
「アイルランドは保守的な国だから、同性婚をなかなか認めなかったの」とそのイギリス人が言う。
国民の約80%がカトリック教徒というアイルランドは、イギリスと違ってカトリックの影響がとても強い。
2015年にアイルランドで同性婚が合法化されたとき、ロイター通信は「社会革命が起きている」と伝えた。
カトリック教徒が多く、同性愛が処罰対象から除外されたのが約20年前という伝統的に保守的な同国にとって、同性婚合法化は大きな社会変化といえる。
なんでアイルランドは、「伝統的に保守的な国」と見られているのか?
イギリス人にその理由も聞いてみた。
「イギリスと違ってアイルランドには、外部の人間があまり入って来なかったからだと思う」と彼女が言う。
イギリスは歴史的に、世界中から様々な人たちを受け入れている。
今のロンドン市長はパキスタン系のイギリス人でイスラーム教徒だ。
そういえば、ロンドン出身のイギリス人がこんなことを話していた。
「白人、黒人、アジア人のイギリス人がたくさんいるから、イギリスでは、見た目で外国人かどうかの判断はできない」
イギリスは移民を受け入れてきたけど、アイルランドはその反対。
アイルランドに住んでいた日本人はこう書いている。
アイルランドという国はもともと移民を排出する国であって、移民を受け入れる国ではありませんでした。というのも国自体が貧しかったからです。
ナイジェリア生まれの黒人やベトナム戦争時に受け入れた難民は、<アイルランド人>としてなかなか受け入れられないのです、たとえ20年アイルランドに住んでいたとしても。
伝統的に保守的な国だったアイルランドでも、ついにヌーディストビーチが認められた。
これでナチュラリストたちは、ビーチで生まれたときの姿になることができる。
ヨーロッパ人がヌーディストビーチで裸になってウロウロするのはいい。
でも、外国でそれをやって迷惑をかけるのはやめてほしい。
最近タイで、神聖な岩に金髪の白人女性が全裸で抱きついたことが大騒ぎになった。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
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それにしても、なんでそんなに裸になりたいのか?
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