中国語に「逆鱗(げきりん)」という言葉がある。
これは日本でも使われている。
「逆さの鱗(うろこ)」とは何か?
中国の空想上の生き物・竜には81枚のうろこがある。
その中に1つだけ逆さのうろこがあって、これを逆鱗といった。
竜は逆鱗に触れられるのをとても嫌がっていて、これに触れる者がいたら、その場ですぐ殺してしまうと考えられていた。
そのことから、相手を怒らせる行為をすることを「逆鱗に触れる」と言うようになる。
竜に限らず、人間だって触れられたくない過去やポイントはある。
それを言われると激怒する「逆鱗」は、誰でも1枚ぐらいは持っているだろう。
韓国の場合は、「サード」を配備したことで中国の逆鱗に触れてしまった。
ある日、韓国の済州島を訪れた中国人が、コンビニの入り口に「中国人出入り禁止」という貼り紙があるのを見つけた。
「ハハ。ワロスワロス」と笑い飛ばすことはなく、中国人はそれを動画で撮影してネットに投稿。
全中国が激怒した。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
21世紀の現代で、「~人はお断り」はあり得ない。
なんでそのコンビニ店は、1950年代のアメリカのような差別をしたのか?
以前、中国人の客が小銭を投げつけてトラブルになったことが理由にあるらしい。
でも、これだけではないだろう。
中国人に対して、他にもいろいろな不満がたまっていって、“小銭投げつけ”事件で爆発したのでは?
「他にも」というのは、例えばこんなこと。
中央日報の記事(2017年03月14日)
済州島に下船拒否した中国人観光客3400人、ごみ2トンを捨てて出港
去年3月、 3400人の中国人観光客を乗せた巨大クルーズ船が済州島にやってきた。
これだけの客が来たら、済州島にどれだけのお金を落としてくれるのか?
・・という期待はインドの砂糖菓子より甘かった。
船はそのまま港に入ったものの、全員が下船を拒否。
そして2トンのごみだけを捨てて、次の目的地に行ってしまった。
「さすが中国」と言っていいかどうか分からないけど、日本人には絶対できないことを軽々やってしまう。
そこにしびれるけど、あこがれは皆無だ。
日本でこれをやられたら、ネットは大荒れ間違いなし。
入港したけど韓国の地は踏まず、ゴミだけ降ろしてグッバイ。
この背景にあるのは、中国政府の「サード(高高度防衛ミサイル)報復」と言われた。
韓国軍がサードを配備すると、中国軍の基地がのぞかれてしまう。
それで中国政府がこれに激怒。
報復として「禁韓令(韓国への団体観光旅行禁止)」を発令した。
今回の件も、政府の「旅行禁止令」にしたがったものという。
当然、韓国への怒りもあったはず。
といっても、ゴミ処理の費用は船会社側が負担したらしい。
でも、これはやり過ぎた。
「禁韓令」を出した中国政府も、「過度な愛国行為はかえって我が国の評判を下げてしまう。とくに海外では、秩序ある行動が求められる」と批判した。
・・ということはなく、中国は逆にこれを称賛する。
中国共産党機関紙の人民日報はこの日、中国人の大々的な下船拒否事態に対して「中国人観光客のこのような行為は愛国的行動であり、方式も文明的」と評価した。
済州島に下船拒否した中国人観光客3400人、ごみ2トンを捨てて出港
これが中国の「文明的方式」か。恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
「中国人出入り禁止」の張り紙で中国人の逆鱗に触れてしまった韓国には、次にどんな文明的方式があたえられるのだろう。
以下余談
3400人が下船を拒否してゴミだけ捨てて去る、というマネは日本人には到底できない。
でも、自分たちの怒りを分かりやすく文明的に伝える方式には注目していい。
世の中には、上品で配慮のあるやり方では通じない相手もいるから。
身の回りにも1人や2人はいるだろう。
「獣を相手にするときは、まず自分が獣にならないといけない」という言葉をアメリカの大統領が言っていたと思うのだけど、ネットで探しても出てこない。
記憶違いだったかも。
とにかく、「獣になれない私たち」は中国人の分かりやすさと恐ろしさを見習ってもいい。
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