いまから2ヶ月ほど前、レコードチャイナにこんな記事(2018年10月13日)があった。
日韓関係に「前門の虎、後門の狼」、元徴用工訴訟、年内にも韓国で最高裁判決、慰安婦財団解散とも重なり暗雲
「前門の虎、後門の狼」は古代中国の書「評史」に出てくる言葉。
前から侵入しようとする虎を防いでいると、裏ろから狼が入って来るということで、「一難去ってまた一難」と同じような意味だ。
ちなみに中国と朝鮮半島には虎がいて人を襲っていたけど、日本にはむかしから虎はいない。
19世紀末(明治時代)に朝鮮を旅したイギリス人はこんなことに驚いていた。
城内でトラやヒョウが撃てると自慢できる首都はたしかにソウルをおいてはめったにない!
「朝鮮紀行 イザベラ・バード(講談社学術文庫)」
「大酒飲み」という虎なら、今でも日中韓にいくらでもいる。
日韓関係の「前門の虎、後門の狼」とは、徴用工問題と慰安婦問題のこと。
年内に韓国政府が慰安婦財団の解散を発表することと、韓国の最高裁判所が日本企業に有罪判決を出すことは、2ヶ月前から確実視されていた。
つまり、虎と狼は韓国の政治と司法が召喚した獣だ。
まずは後門の狼、慰安婦問題を見ていこう。
2015年の日韓合意にもとづいて、元慰安婦を支援するための「和解・癒やし財団」がつくられた。
日本はこのとき、支援金として10億円を韓国にわたしている。
韓国政府はこの財団を通じて、元慰安婦の人たちにそのお金を配るはずだった。
でも韓国はその責任を放棄し、「財団は解散する」と発表。
韓国は日韓合意で約束したことを実行できなくなってしまう。
それでこれを事実上の合意破棄とみる人も多い。
では財団を解散するとしたら、日本がわたした10億円をどうするつもりなのか?
韓国はその後の具体的な対応については何も言っていない。
お金の使い道については、「日本政府と協議したい」というだけでノープランだ。
反日世論に迎合して、後先考えずに解散を発表するからこんなことになる。
次は前にいる狼、徴用工問題。
いまはこっちの方がやっかいだ。
でもじつは、この問題はもう1965年の日韓請求権協定で解決している。
北斗の拳なら「おまえはすでに死んでいる」という状態だったのに、韓国の最高裁判所が「元徴用工の請求権はまだ生きている」と言って、日本企業に賠償金の支払いを命じた。
慰安婦財団の解散だけならまだよかった。
これは日韓の政府間の問題だったけど、徴用工問題は民間企業を巻き込んでしまった。
この判決は日本との約束を破るだけではなくて、国際法違反でもある。
だから日本政府は「断固として受け入れらなれない」「100%韓国側の責任において考えること」と韓国を突き放す。
でも韓国はまたしても、責任を果たそうとしない。
時事通信の記事(2018年12月03日)での文大統領の言葉を見ると、その自覚さえなさそうだ。
「歴史問題のために、今後(日韓間で)未来志向的に発展させるべきであるさまざまな協力関係が損なわれてはならない」
「歴史問題は歴史問題として別途、賢く処理しながら、未来志向的な協力をしていかなければいけない」
「対日関係への影響回避を=歴史問題で韓国大統領」
最高裁の判決後、文大統領が公の場で歴史問題について話したのはこれが初めて。
未来志向的に発展させるため、韓国は徴用工問題をどう解決するつもりなのか?
「賢く処理」と言うけど、判決が出てからもう1か月以上たっている。
その片りんぐらい見せてほしい。
いまだに具体的な対応は話さない。結局、ノープランなのだ。
韓国政府の無策っぷりには、中央日報も社説(2018年11月30日)で「最悪の韓日関係が奈落に落ちている」と危機感をあらわしている。
どうにかして政府は後遺症を最小化する妙案を一日も早く見いださなければいけない。北朝鮮の核問題だけでなく北朝鮮のインフラ開発など外交安保的な側面で日本の力が必要な時が近づいている。
徴用判決への対策、ためらう余裕ない=韓国
こうなることは2ヶ月前から分かっていたはず。
なのに、なんで韓国政府は何も手を打っていなかったのか。
「いざとなったら、日本に協力を求めよう。なんせこっちは日本の被害国だから」と都合のいいことを考えていたのでは?
そうでもなかったら、韓国政府がここまで何も言えない理由が分からない。
自分で虎と狼を招いておいて、ピンチになったら「日本ー!早く来てくれーっ!」とクリリンのように叫ぶ。
それでもクリリンは可能な限り自分で戦ったけど、いまの韓国にそんな様子はない。
日本政府はそんな“日本頼み”を予想していたから、「それは100%韓国の責任」とすぐに突っぱねた。
日本の反発がここまで大きいとは予想していなかったから、韓国側は具体的には何も言うことができないでいる。
韓国政府はもう虎と狼にかみつかれてしまった。
でもそれは自業自得。
自分の無策と無責任を日本の協力で補おうとす考えは甘すぎたのだ。
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