アニメ「進撃の巨人」でミカサが発したことでも有名な言葉、不毛。
土地がやせていて作物も草木も育たない様子が「不毛」で、なんの成果も得られないムダな行為にもこの言葉が使われる。
いま日韓で熱く行われている論争がまさにこれ。
原因はいつものように韓国発。
さらにそのきっかけをたどると、韓国政府によるGSOMIA破棄宣言にさかのる。
ことし8月、ムン政権が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表。
これで日本を揺さぶって輸出管理強化を撤回させようと企てたけど、韓国はその賭けに失敗して、3か月後にやっぱりGSOMIAは延長すると言いだす。
輸出管理について日本から何の譲歩も引き出せず(話し合いを行うという約束はした)、自分が言ったことをあとで引っ込めただけのムン政権に韓国紙は「無能外交」と精度の高い評価をした。
文大統領「日本に勝つ」→GSOMIA延長→韓国紙「無能外交」
日本政府高官が言うように、日本にとってこの勝負は「パーフェクト・ゲーム(完全試合)」で完勝と言っていい結果だ。
自爆からの自業自得とはいえ、韓国政府は自国メディアからボロクソに書かれてメンツ丸つぶれとなる。
このままでは国民の支持を失ってしまう。
こういうときは日本に対して「優位」に立っていると見せることが有効だ。
それでGSOMIA終了延期の過程について、日本が事実と違う発表をしたお抗議して、そのあと日本が謝罪する一幕があったと韓国政府が国民に発表する。
でもこれによって、「日本が間違ったことを発表して、本当に韓国へ謝罪したのか?」という問題が浮上する。
結論からいうと、これは韓国側が間違っていた。
菅官房長官も外務省も経済産業省も「そんな事実はない」とこれを一蹴。
韓国側が「フェイク発表」をした理由について、
読売新聞は「韓国政府が日本に抗議することで国内の批判をかわす狙いがありそうだ」
NHKは「韓国政府が『一方的な譲歩』という国内の批判をかわす狙いがあるとみられる」
と分析した。
でも、日本に否定された韓国はまたひとつメンツを失ったワケだ。
自尊心を守るために、韓国大統領府は「日本はたしかに謝罪した」と再度公式に言う。
聯合ニュースの記事(11/25)
メディアが問題を作り出しているとしながら「真実は決まっている」と強調した。
また「読売新聞の報道があったことは事実だが、『そのような(日本が謝罪したという)事実はなかった』という報道内容は事実ではない」と述べた。GSOMIA合意内容巡る抗議に「日本、謝罪した」 韓国が改めて主張
15年以上、複数の韓国紙を読んできたボクの経験と直感から言わせてもうらうと、韓国はクロ。
韓国政府は“ウソ”をついているか、都合のいい解釈をして勝手なことを言っている。
「メディア問題を作り出している」と騒動の責任を自分でも日本でもなく、メディアに押し付けているのがその証拠。
政府のメンツを守るために「こちらが抗議したら、日本が受け入れて頭を下げた」と国内向けに言ったところ、想像以上に騒ぎが広がってしまい、いまあわてて鎮火作業をしているのが実情だろう。
あいまいな根拠から「真実は決まっている」と決め台詞を言うとき、韓国はだいたい追い詰められている。
「言った言わない」という議論は水掛け論で、それを感情的に言い続けたところで日韓関係には何の具体的な成果はない。
その意味でこれは不毛。
でも日本が何も反論しないと韓国の主張を認めたことになって、韓国側を有利な立場にさせてしまう。
その意味でこの不毛は大事。
自尊心を傷つけられた韓国側は「道徳的優位」に立つために、これからもこういう手を使ってくると思う。
進歩がなくても後退を防ぐために、絶対に負けられない空しいな戦いをしないといけないときもある。
でも、こんなクダラナイことが大問題になって、時間とエネルギーが使われてしまうところがいまの韓日関係をよく象徴している。
本当に不毛で、実のある物が育つ気配がない。
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