アメリカで生まれた子供には、アメリカの市民権を付与する。
日本人がハワイやサイパンを旅行中に子供を産んでも、その子はアメリカ国籍となる。
アメリカはそんな「出生地主義」を採用している国。
そして、それを“悪用する”人たちについてきのう書いた。
今回の話はまあ、このオマケみたいなものだ。
いまは「出産旅行」のためにアメリカへ行く人がいるけど、昭和40年代には逆に、お腹にいる子供をおろすためにアメリカ人が外国へ行く「中絶旅行」があった。
医療技術が進んでいて、周囲にバレないところがいいということで日本を選ぶ人もいた。
当時は中絶手術をうけるために日本へ行くアメリカ人女性が多かったことから、「アボーション(中絶)・エアライン」なんて言葉が使われていたのだ。
キリスト教では子供をおろすことは“殺人”と考えられているから、キリスト教の影響の強いアメリカでは現在でも中絶を許さないという空気がある。
それを言葉にして表現するのならいいけど、物理的手段に訴えるキリスト教原理主義者がいるから困る。
キリスト教宗教右派による根強い抵抗があり、活動家が中絶を行う医師を射殺したり、病院に異臭物を投げ込んだり放火したり爆破するテロリズムも多発し、殆どの病院で爆発物専門スタッフが雇用され、郵便物の開封は慎重に行うことなどを強いられている。
50年ほど前のアメリカなら、中絶手術を受けるハードルは山のように高かったはず。
ある意味「中絶はいけない」という空気のおかげで、アメリカ社会は子供を生んだ若い女性を積極的にサポートしていてる。
だから、子供を産んだ女子生徒のために託児所を設ける高校もあるのだ。
それどころか、全生徒が母親という高校もあったでござる。
朝日新聞の記事(2017年9月6日)
生徒は全員、母親か妊婦という米コロラド州の公立高校。生徒たちは子どもを校内の託児所に預け、授業を受けたり、部活に励んだり。
生徒全員がママか妊婦 米国の公立高、3歳児連れ登校も
ベビーカーで子供を連れて登校して、子供を託児所に預けたあとは授業や部活に励んで、またベビーカーを引いて下校する。
日本だとマンガの世界みたいだけど、アメリカの現実だ。
でも、「アボーション・エアライン」よりはこっちのほうがいい。
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宗教は同じ宗派に属しても国によって考え方が全く異なるのは当然です。
また、フィリピンやブラジルを除く中南米諸国は国民の大半がカトリックを信仰している影響で妊娠中絶はご法度です。
キリスト教では原則として「中絶手術は悪徳である」とされています。でも結局、日本へやってきて中絶手術をして「周囲にバレなければ」いいのですかね? キリスト教の「全知全能の神」って、それほど目が節穴なのですか? まあ、迷信に毛が生えた程度のいいかげんな宗教ですね。
さて、中絶手術をさせないために妊婦の高校生が通学できるようにするとか、高校内に託児所を設けることでアボーション・エアラインよりも「解決策として進歩した」とのことですが、本当にそうですかね? この記事では触れられていませんが、中絶禁止の他にもう一つ、「性行為で避妊してはいけない」というキリスト教での伝統的な教えも大きな問題だと思います。(最近、ローマ・カソリック教会の一部では「避妊を許す」という見解も表されているらしいですが。)
根本的には、「経済的に独立できていない自分が子供の時期に、肉体的には可能であっても、子供を作るべきではない。それでも性行為がしたければちゃんと避妊をしなさい」と教えるべきだと思いますね。まあ、米国のように伝統的なキリスト教社会ではそれは無理なのでしょうけど。
国によって考え方が全く異なるという場合、その決定権は誰にあるでしょうか?
「解決策として進歩した」という言葉はどこから出てきましたか?
それと、「ローマ・カソリック教会の一部では「避妊を許す」という見解も表されているらしい」の根拠は何でしょう?
早期であれば堕胎が可能だといっても心にも体にもすごく負担がかかります。
色々と問題もあるでしょうが堕胎するくらいならそれよりも前に処置できる可能性の高いアフターピルは必要だと思います。
アメリカはアフターピルが比較的簡単に購入できると聞きましたが中絶旅行問題がきっかけだったんでしょうか。
自宅でもないビルの7階だか9階だかから手が滑って子供を落とした母親が逮捕されていました。 4人目の子供だと言っていました。 こういうことをなくすためにも日本でもアフターピルの必要性を感じます。
なるほど。
アフターピルという発想はなかったです。
それについてはくわしく知らないので何とも言えませんが、ダメな理由は母体への危険の他に何か利権がからんでいるからでしょうかね。