旅行会社の破産:格安は得?損?安さをとればリスクも負う

 

ボクは海外旅行が好きで、20年以上前からちょくちょく海外にでかけている。

今まに東南アジア・中東・アフリカの28の国や地域を旅してきた。

その旅行経験のなかで、いろいろな人に出会ってトラブルの話を聞いたことがある。
インド人にだまされて4万円のぼったくりツアーを購入させられた。
中国で5、6人に囲まれて、3万円を脅(おど)し取られた。
そういう悲惨(ひさん)な目にあったという話はたくさん聞いてきた。

 

そのなかでも、てるみくらぶの倒産で被害にあった人のトラブルは最大級に入る。
被害の大きさとかかえた問題の大変さでいえば、これほどのトラブルはなかなかない。

振り込んでいた旅行代金がかえってない。
それだけならまだいい。
旅行前に代金を支払ったにもかかわらず、現地についたらホテルから「お金が振り込まれていない」ということで料金を請求された人が続出している。
報道によると被害額が30万円をこえるという人もいた。

 

 

ボクが聞いたバックパッカーのトラブル話は、被害額はが3万円ぐらいで何とか「勉強代」ですまされるものだった。

てるみくらぶの場合、「イタイ目にあった」ではすなまい。
海外に行ったら帰りの航空券がないことを知る。
「なんとか自力で返ってきてください」
こんな無慈悲なことを言われたバックパッカーに会ったことがない。

 

しかも、てるみくらぶを利用していた人はバックパッカーじゃなくてツアーの旅行者だろう。
そうした人が「あとは自力でお願いします」と突き放されたときのショックは、ちょっと想像できないい。

いきなりふってわいたトラブルをクリアして日本に帰国するには、かなりのエネルギーやストレスをつかうはず。

 

「なにか起きたら自己責任」というバックパッカーでも、これほどの災難はめったいにない。

ちなみに旅行中にトラブルにあってお金がなくなっても、日本大使館でお金を貸してくれるわけではないという。
支援を受けることができるけど、帰りのチケットなどのお金は貸してくれない。
自分でなんとかするしかない。

「あっこにおまかせ」でそんなことをいっていた。

 

 

「てるみくらぶの倒産した」

というニュースを聞いても、ボクの驚きはふつうの人よりは小さかったと思う。

同じようなことで、今までに2回驚いてきたから。

1998年には、「四季の旅社」という旅行会社が倒産している。
このときも、振り込んだ旅行代金が返って来なくて社会問題になった。
さらに2008年には、「マップインターナショナル」が解散している。

両社ともに「格安」を売りにしていた。

その安さにひかれて、ボクも四季の旅社やマップインターナショナルで航空券を取ったことがある。

だからこの2つの旅行会社がつぶれたというニュースには、さすがにビックリした。
四季の旅社やマップインターナショナルといえば、一時期は「H・I・S」と同じぐらいの知名度がある大きな会社だったと思う。

「この旅行会社がつぶれたのか!」

こんな驚きを2回しているから、今回てるみくらぶがつぶれたと聞いてもそれほどのショックはうけなかった。

 

個人的に、旅行会社の倒産で一番ショックをうけたのはバンコク(タイ)にあった「MPツアー」という小さな小さな旅行会社だった。

2012年にこの旅行会社はつぶれている。
それを知っときは言葉を失った。

つぶれたというより、客の旅行代金をうばって夜逃げをしてしまった。

航空券の予約を持っていた日本人客が乗れなくなるなど、被害も出始めており所轄のチャナソンクラン警察署は日本人スタッフの行方を追っています。

カオサン最古の日系、MPツアーがドロン

 

被害の大きさでいえば、上の3社とは比べることができないほど少ない。
でもボクがバンコクに行ったとき、このMPツアーの森さんという人に旅の相談をしたりチケットをお世話になったりしたことがあった。

言葉を交わして笑顔もおぼえている人だったから、この倒産には一番ショックをうけた。

*「そういえば、あの旅行代理店はどうなってんだろう?」と思ってバンコクのプログラムDという旅行代理店を調べてみた。
そうしたら、ここも2015年に夜逃げしている。

 

 

だから旅行会社の倒産でボクが驚いたのは、てるみくらぶで4回目になる。

ボクは四季の旅社・マップインターナショナル・MPツアー・てるみくらぶを利用したことがある。
すべて「格安」をアピールしていて、ボクが選んだ理由もまさにその安さにあった。

 

今回つくづく感じたことは、「安いものには、必ずワケがある」ということ。

海外旅行にかぎらず、他より安いものには目に見えない理由がある。
なにかを安く手に入れたということは、そのぶん高いリスクを引き受けたということになる。
だから値段とリスクを総合的に考えたら、安いものを買っても「得した!」ということにはならない。

 

 

てるみくらぶの倒産から何かを得るとしたら、「自分が被害にあわないようにするためにはなにが大切か?」という教訓を学ぶことだと思う。

「安い航空券を取るときは、旅行会社には気をつけよう」

なんていうあいまいなアドバイスでは役に立たない。
その会社か信頼できるかどうかなんて、事前にわかるはずがない。
それがわかっていなかったから、今回これほどたくさんの人が被害にあっているわけで。

てるみくらぶは数年前から粉飾決算をしていたというから、ふつうの人が「外見」から会社の実態を知ることはできなかったはず。
ここはいろいろなところで広告を出していたから、体力がある会社だと思っていた。

倒産した今になってから、「でも私にはわかっていた」なんて言い出すのはフェアではない。
後出しジャンケンなら誰だってできる。

 

 

 

次回、いろいろな旅行会社を利用してきた経験から、トラブルをふせぐために大切なことを2つ紹介したい。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。