むかし、「魚民に感動した!」と言う変なアメリカ人がいた。
日本語を勉強していた彼が街へ飲みに行ったとき、日本人から魚民の意味を聞いて、「これはまさに、寿司と刺身が大好き日本人のことだ。魚の生食で日本ほど盛んな国はない!」とこれ以上ない共感をおぼえたらしい。
これは縄文時代からつづく食文化だから、日本人を「魚民」と呼んでも間違いではないし、個人的にも気にしない。
タイでも似たように、日本人をこう呼ぶことがあるようだ。
タイランドハイパーリンクスの記事(2020年9月7日)
タイでは日本人を「刺身の国の人」と伝える
2020年9月にタイ警察の入国管理局のウェブサイトにこんな見出しが掲載された。
BIOMETRICS สกัด 2 หนุ่มแดนปลาดิบ ก่อนหลบหนีออกนอกประเทศ
記事によるとこれは、「生体認証システムで、出国前に生魚の国の2人を検出した」という意味。
要するに、日本人2人がタイを出る直前に逮捕されたということだけど、罪状はいいとして、公式ウェブサイトで日本人を「生魚(刺身)の国の人」と表現しているところがタイらしくて面白い。
ここでもやっぱり魚民だった。
タイ人に日本のイメージを聞くと、桜・サムライ・忍者・富士山といったものが思い浮かぶと言っていたけど、生魚を食べるのはタイの食文化にないから、これも印象的だったのだろう。
タイでは過去にオーストラリアを「カンガルーの国」、中国を「龍の国」と表現することもあったとか。
中国語で刺身は「生鱼片」と書くけど、最近では日本食が浸透してきて「刺身」と日本語表記することも多いらしい。
「でも刺身って実際は切っているのに、なんで「刺す」なの?」と疑問に思った人はここをどうぞ。
「切り身」ではなく「刺身」と呼ばれるようになった由来は、切り身にしてしまうと魚の種類が分からなくなるので、その魚の「尾鰭」を切り身に刺して示したことからであるという。
きょねん「日本食が大好きです!特にお寿司は最高です!」と言うドイツ人がいたから、さかな市場に連れて行って、新鮮な魚を好きなだけ食わせようとしたら大失敗した。
そこはこんな海鮮丼が有名なところだったけど、これを見た彼は「ここまでの量の生魚はいらないです。お寿司ぐらいの大きさがいいです」と言いやがって、まさかの海鮮丼NG。
料理によって使うしょう油がちがうことにドイツ人が感心してた。
日本人にとってはご褒美のデカネタ寿司も彼にとっては罰ゲームで、100円寿司ぐらいのシャリとネタのバランスがちょうどいいらしい。
刺身の国で生まれ育ったから、このへんの感覚が分からなかった。
日本人ほど生肉を食べる民族は世界でも珍しいから、「お寿司が好きです」と言う外国人がいても「=生魚が好きです」ではないから、どのレベルの好きか確かめたほうがいい。
おまけ
これがタイの食文化
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>「切り身」ではなく「刺身」と呼ばれるようになった由来は、切り身にしてしまうと魚の種類が分からなくなるので、その魚の「尾鰭」を切り身に刺して示したことからであるという。
これなんですけど、「切り身」は「身を切られる」「縁を切られる」に通じるので縁起が悪いとされ、使われなくなった、という説を以前に聞いたような気がするのですが・・・。記憶が定かではありません。
だとしても、それがどうして「刺し身」と言い換えられたのか、その理由も不明ですし・・・。