友人のスリランカ人の夫婦は日本に住んで7年目になる。
彼らがちょっと前に帰国して、日本へ戻ってきたということを、「お土産があるので取りに来てください」というメールで知った。
ということで、今回は彼らのアパートへ行って聞いた話を紹介しよう。
スリランカの人口は約2,000万人で、その70%ほどが仏教徒。
まじめな信者が多くて、仏教が社会に大きな影響を与えている。
ーーお土産ありがとう。
で、久しぶりの母国はどうだった?
妻「うん、すごく自由で快適だった!」
夫「そうそう。リラックスできて良かった!」
ーーなるほど。
いまボクはゲストとしてここにいると思うのだけど、スリランカでは客を招いて、挑発する文化でもあるのかな?
まぁ、いいや。具体的な話を聞かせてください。
妻「まず、スリランカの家はすっごく大きい。このアパートの建物と同じぐらいで、庭はここの駐車場の2倍ぐらいの広さがある。天井も高くて広々しているから、家に入ると、すごく解放感を感じて『スリランカに戻ってきたな〜』って実感するのよ」
ーーこのアパートには四世帯が入っていて、駐車場には車を20台ぐらい停められる。それを考えると、その家はめちゃくちゃ大きいな。
むかし聞いたジョークを思い出したよ。
「天国とは、イギリスの家に住んでアメリカの給料をもらい、中国人のコックを雇って日本人女性を妻にすること。地獄とは、日本の家に住んでアメリカ人女性を妻にして、中国の給料をもらってイギリス人のコックを雇うこと」
日本語ガイドの家
ーーいつもは日本の狭いアパートにいるけれど、スリランカの家はとても解放的だから、自由を感じたと。出所した元囚人みたいな感想だ。
夫「建物だけじゃない。前もってSNSに“〇月〇日に帰る”って報告していたから、親戚や友人、近所の人が会いに来てくれたんだよ」
妻「たくさんの料理を準備するのは大変だったけど、みんなで作る時間も楽しい」
ーースリランカ人はホームパーティーが大好物だよね。
前にスリランカを旅行したとき、何度かそんな経験をした。日本語ガイドを雇って朝から一緒に行動していて、3時ぐらいになってカフェで話を聞こうと思ったら、「それなら私の家に来ないか? そこでもっと話をしよう!」ってすごく気軽に招待されて驚いた。
夫「それは“スリランカ人あるある”だね。初対面の人でも、ちょっと話して感覚が合ったら、自宅に招待して紅茶を飲みながら話をすることは珍しくない」
妻「日本人は礼儀を大切にして距離を置いて付き合うけど、スリランカ人は人と人とがすごく近い」
ーースリランカを旅行していて、すごく感じたのがそれ。スリランカの人たちは好奇心が強くて、バスや電車に乗っていると、誰かが話しかけてきたりお菓子をくれたりした。あのためらいの無さに匹敵するのは、日本では大阪のおばちゃんぐらいじゃないかな。大阪で道を歩いていると、「あんたどっから来たん?」とおばちゃんが声をかけてきて、飴玉をくれるという伝説を聞いたことがある。
夫「親戚、友人、近所の人がふらりと家へやって来て、おしゃべりを楽しんで好きな時間に帰っていく」
妻「だから、スリランカではいつも人に囲まれていて、すごく楽しかった。」
ーー日本人なら、事前にいつ誰と会うか予定を決めておくから、そういうことは起こらないだろうね。先に親戚が来ていて、無関係の友だちがそこに合流することはない。近所の人が突然来ても、来客がいると分かったら、きっと「じゃ、また来ますね」と言って帰る。
親戚、友人、ご近所さんが一緒になる状況は日本だとちょっと考えられない。
妻「日本人は何でも正確で計画的だから。私たちの常識なら、サプライズで来てくれるのは嬉しいし、来客はいつでも歓迎する」
夫「そうそう。日本人の家に行くときは、高級レストランのように予約をしないといけない(笑)」
ーー日本ではそれが常識的だから。
スリランカ人の普通の感覚で、アポなしで家に来られたら、それはフレンドリーではなくて、失礼な行為で不快に感じる人が多いと思う。
夫「最初はその感覚に戸惑った。でも、日本に7年も住んでいるから、いまはその感覚も理解できる。それでも、“親であっても、来るときは事前に連絡がほしい”と言う日本人がいてビックリした」
妻「だから、スリランカに帰ると、家にいろんな人がやって来て嬉しい驚きがあるし、夜中までおしゃべりをしてすごく楽しかった」
夫「大きな音で音楽を楽しむことができるのもいい」
ーー日本でアパート暮らしをしていると、ご近所への配慮が特に必要だから、そういうホームパーティーは無理かな。
夫婦「そうそう。だから、スリランカに帰ってリラックスできて良かった」
ーー日本語でいう「命の洗濯」かな。日本での生活も楽しんでほしいのだけど。
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