韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領はいま慰安婦問題についてどう考えているのか?
きょねん8月14日、韓国文政権が定めた「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」を迎えたとき、文氏がはっした国民へのメッセージが朝日新聞の記事(2019年8月14日)にある。
文大統領、慰安婦問題めぐり「国際社会に拡散していく」
慰安婦問題といえば日韓両政府が話し合いを重ねて、2015年に最終的で不可逆的な解決を確認したことで、長年にわたる両国の最大の外交問題は終わった。
日本では安倍首相が心からのお詫びの気持ちを表明して10億円を韓国側にわたし、この時約束したことは全て実行済み。
でも韓国はまだ。
ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像を撤去しないといけないのだけど、5年後のいまも像は1ミリも動いていない。
ソウル市が新しい「平和の少女像」の除幕式をおこなった昨年の8月14日、いまだ約束を守らない文大統領はこう言った。
「政府は被害者の尊厳と名誉を回復するため最善を尽くす。人類の普遍的な観点から、平和と女性の人権に対するメッセージとして国際社会で共有し、拡散していく」
ツッコミどころの宝庫だけど、人類の普遍的な観点に立つならば、まずは自分の言ったことを守ろう。
数々の有限不実行によって失った、隣国の信頼を回復することがまずは先で、国際社会に拡散するのはそのあとだ。
それと同時に日韓合意の範囲内で、被害者の尊厳と名誉を回復するための最善を尽くせばいい。
まあここでそれはいいとして、文氏はこういう言葉を言うのが大好きで、世間の反日をあおったり迎合したりしながら大統領にまで上り詰めた人。
大統領になる前から日韓合意を否定して、「被害者中心主義」を強調していた。
でも多忙な大統領が全ての被害者に寄り添うことは無理で、すくわない声もある。
さいきん『韓国人、韓国を叱る』(小学館)を世に出したジャーナリストの赤石晋一郎氏が、文大統領が相手にしない小さな声に耳を傾けた。
NEWS ポストセブンの記事(2020/4/9)
元米軍慰安婦の韓国人女性が告白「国は少し支援してほしい」
慰安婦は日本軍だけではなくて韓国軍にもいた。
韓国政府が組織的・計画的に女性を集めて、韓国軍慰安婦として米軍や国連軍の兵士の相手をさせたこともあったのだ。
ただこういうことは他の国でもあって、そのときはその時代の価値観や常識で動いていたのだから、現在の感覚で単純に善悪を判断することはできない。
韓国軍慰安婦についてはここにくわしい説明がある。
韓国政府・軍は慰安婦に対して「あなたたちはドルを得る愛国者」として「称賛」したという。
慰安婦は前線に送られる際には、ドラム缶にひとりずつ押し込めてトラックで移送し前線を移動して回り、第五種補給品として韓国軍と共に米兵も利用した。
赤石晋一郎氏が話を聞いたのも、いまは70代の元米軍慰安婦の韓国人女性。
「17歳のときに男性経験がないまま、韓国人の業者に騙されるような形で米軍慰安婦という人生を歩むことになった」というこの国民の声は文大統領に届いているのだろうか。
その時代を振り返って女性は話す。
私は教育を受けることが出来なかったので読み書きも出来ないし、他に仕事を選べない。お金もないし、行くところもなかったから、売春するしかなかったの。(中略)『今晩、行かなかったらどうなるか覚悟しなさい』と支配人から売春を強要されることも度々でした。仕方なかった
これが日本政府によるものだったら、いまごろこの女性は韓国社会でどんな立場にいたのか。
ちなみにこの問題は2013年に韓国の国会で取り上げられたし、2014年には元米軍慰安婦女性ら122人が「韓国政府に慰安婦として厳しく管理され、人権を侵害された」と国家賠償を求めてソウル中央地裁に訴えたから、文大統領がこうした被害者の存在を知らないはずはない。
「私達が苦労してドルを稼いだことが、韓国の高度経済成長のベースになったんじゃないの?」という叫びをいまの韓国社会は無視する。
周囲からは「ヤンガルボ」(売春婦への蔑称)と言われて非難され、いまは家族も友人もなく、生活保護費の4万円だけで暮らす慰安婦被害者はこう声を絞り出す。
私達はあんなに韓国のために働いたけど、国からは何もないよ。
もう長く生きるわけでもないし、私達はたくさん助けが欲しいわけじゃない。政府が責任を認めて、少しでも支援をして欲しいというだけなの
韓国の元米軍慰安婦はみんな悲惨な生活をしているという。
「被害者の痛みを癒す責任ある行動を示すべきだ」と何度も日本に要求する韓国文政権が、こうした自国女性の訴えに耳を貸したという話は聞いたことがない。
今週(4月15日)に総選挙をひかえていて、いま韓国ではいろんな候補者が国民にアピールしているけど、元韓国軍慰安婦の主張をすくい上げたという人も聞いたことがない。
「政府は被害者の尊厳と名誉を回復するため最善を尽くす。人類の普遍的な観点から、平和と女性の人権に対するメッセージとして国際社会で共有し、拡散していく」
そう語る文大統領の“被害者”にふくめてもらえず、韓国社会で細く小さな声を上げる慰安婦被害者に寄り添って、耳を傾けているのが日本人だ。
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